2017年04月17日

自分で観察する

プロの演奏家は身体の痛みがつきもの。
演奏家自身、10代や20代の頃からそう信じている人が多い。
腱鞘炎で弾けなくなった天才が伝説のように語られ、手や肩の痛みは勲章のよう。痛みをこらえて本番を乗り切るのがプロのように描かれてみたり。
でも、痛みがない方が楽しく音楽ができると思いませんか?

身体の小さな日本人には西洋の楽器はサイズが大きい、と言われるのは間違えではないと思う。
メニューインがヨガをやっていたのは有名。楽器をなるべく楽に持ちたいし、心地よく音を出したいのは皆の望みではないだろうか。
楽器をどう構えるか、弓を持つときどこに何指を置くか、左指をどうやって広げるか、指をどう早く均一に動かすか・・・いつも問題にしやすいのは道具である楽器に関してだ。もちろん、誰でも初めて楽器に触れるときに構え方、持ち方を学ぶ。弓のここの場所に何の指が当たって、この角度で楽器をどこに当てて、エンドピンは何センチで・・・鏡で見て確認しているうちに、良くないことにガチガチに身体が固まってしまう。身体の調子は毎日違うし、1日のうちでも変化するのだ。
いつになっても「楽器を弾く」と「音楽をする」がなかなか結びつかない。
いい音を出すには、身体がどのようになっているときか。音楽が欲しているものを音にするときに、自分の身体が自由に反応できるようにしたい。では、どうすれば自由になれるか。
力を入れる、緩める、とはどういう状態か。常に自分で観察することが必要だと思う。
多くの場合は、ひどい痛みは突然やってくるのではなく、大変なことが起こる前に、なにか前兆があるはず。
ちょっとした痛みがあるときに、その痛みがどこから来るのか。
痛みが根深くならない前に、自分で毎日少しでも対処できるといい。

自分で対処できないほど辛くなったら、考え方も否定的になりがち。手術などの深刻な事態になる前に、信頼する整体や医者にお世話になるしかない。

指が痛むとき、それは肩甲骨周りとつながっている。腕に違和感があるときは腰も疲れている可能性がある。
逆に、大きい部分から末端へと見ることもできる。
疲れると身体のバランスが崩れ、腰の動きが硬くなる。腰や背中の動きが柔軟でなくなると、腕、足、肘、膝、手、指が部分で頑張らなければならなくなり、全体の関連した自然な動きでなくなるので無理が生じ、痛みが出る。
また、身体の左右どちらかを酷使すると、それをかばうように逆側が痛んだりする。
バランスと言うけれども、左右対称がいいとは思わない。元々その人が持っている弱さや強さがあるのが自然で、歪みもあるかもしれない。

考えることはたくさんあるけれど、まず楽器を持たないで単純なところから。

ちいさな子どものように起きてすぐ走り回れない身体になっている人は、布団から起きだす前にちょっとずつモゾモゾ身体を動かす。少しずつ身体が動くようになるまで徐行運転。
今日の身体の様子はどうかな?コリを感じる部分、詰まっている場所、違和感はどこにあるかな?
動き出しても、固まってきたな、疲れてしんどいなと感じたら、前かがみになってぶらぶら〜っと身体を揺する。立って両手の重さを使って左右に回したり、ぴょんぴょん跳ねてみたり。

ストレッチは、筋を伸ばしすぎるとかえって痛めるので結構難しい。パーソナルトレーナーなどについて一緒にやるのがいいと思う。
自分でやるときは、手足の関節をピンと伸ばしすぎず、だらんだらんとだらしなく。ここを伸ばすと気持ちいなあ〜、あくびが出るくらいがいいのでは。地面に足の裏がどんな風についているか感じてみる。

瞬時に筋肉を使うためには、まず緩んでいなければならない。
「緩む」ということが理解できない人は、ギュッと力をいっぱい入れてみるといい。息を止めて。
そしてパッと離す。そのとき呼吸は吐いた?呼吸がとまったまま?
息を吸いながら拳をぎゅっと握ったり、息を吐きながら握ったり。パッと離したときに呼吸が自然に伴うかな?
では、ずーっと鼻から呼吸を吐いて行く。もう空気がない・・・というところで、スッと空気が入る。何回かやっていくと、空気の入っていき方も勢いよく入っただけだったのが、じわ〜っと広がっていったり、入る場所も変化してくる。そのときに、身体も一緒に膨らんだりするだろうか。もしかしたら、途中で詰まって楽に息が入っていかないかもしれない。
呼吸が自然に、自分なりに深く楽にできると、楽器の音の出し方も変わってくるでしょう。
posted by makkida at 16:43| 楽器演奏と身体 | 更新情報をチェックする
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