2017年08月04日

多湿と弦楽器

弦楽器には生きている材料が使われている。音楽的な耳と、それに基づく判断のできる大きな視点と繊細さを持つ職人の技術による手作業。美術品、工芸品と言ってもいいくらいのもので、音の出る箱ではない。普段からぶつけたりしないよう取り扱うのはもちろんだが、もし地震が起こってもダメージを受けないような保管を考える。物が上から落ちてこないように、とか、立たせておかないように、とか。

この楽器は、大きな音を出すために弦そして本体を十分に振動し、指板を縦横無尽に指を走らせ押さえることができる。素晴らしい設計でバランスが保たれているとつくづく思う。
そして4本の弦は強いテンションで張られている。湿度が高くなると弦が伸びてきて緩んでくる。そこから湿度が低くなったときに、張力が上がってしまうので、湿度の変化には要注意だ。長時間飛行機に乗るときには、気圧がかなり変わり乾燥するので、私は弦を緩ませておく。普段も、たまに弦を緩ませるとよい。楽器がホッとリラックスするように感じる(笑)。
多湿の夏、弦楽器にはエアコンと除湿機は必須。
膠で貼り付けている板の剥がれ、特にオールドの楽器は昔から今に至る間に生じた小さなひび割れ(修理済みであっても)には気をつけていないといけない。
弾いた後は、手で触れる部分は清潔な布で丁寧によく拭いておく。カビが生えるなどもってのほか!
昼間、車の中は冷房を止めるとすぐに気温が上昇する。50度の車内に楽器を置いておくことを想像すると・・・!ガラスを割って盗まれないためにも(!)置いたままは危険。
人が快適な温度と湿度より、ずっと管理がデリケート。これは湿気が気持ち悪いという問題ではない。残念ながら日本にいる限り省エネを実行できない。湿度を上げることは手作業でできるのに、逆は無理である・・・。

ガット弦を使うようになって、ますます手入れに神経を使う。
今年で終わりにしたい、と文句言いつつ、もう何十年も多湿の夏を過ごしているが、好きにもなれないし、馴れるものではない。
posted by makkida at 23:56| 楽器演奏と身体 | 更新情報をチェックする
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