
12月16日(土)富田牧子チェロコンサート(3回シリーズ)
「vol.3 無伴奏チェロの愉しみ〜ガット弦で弾くJ.S.バッハ、コダーイ、クルターク〜」
December 16, 2017 BELUGA Concert Series〜Cello Solo〜play J.S.Bach, G.Kurtág & Z.Kodály with gut strings
on Mr Kodály's 135th Birthday
横浜は関内の賑やかな通りを入った裏路地、ラーメン屋や牛カツ屋、居酒屋を超えてたどり着く、音楽の隠れ家ベルーガオルガン練習室。ここでのコンサート3回目は、コダーイの誕生日に合わせて12月16日となりました。
コダーイ氏は敬虔なカトリック教徒で、日曜日にはアンドラッシー通りを通ってバジリカ(聖イシュトバーン大聖堂)へ出かけたそうです。とても大きな聖堂なので、クリスマスは華やかなお祝いだったでしょうね。私はここよりも、ブダの城にあるマーチャーシュ教会のコンサートや、用事ついでにカルヴィン広場の改革派教会によく立ち寄っていました。
さて今回は、コダーイはいよいよ最終楽章、クルタークの小品、そしてJ.S.バッハは5番の組曲です。
コダーイの無伴奏ソナタでは低い2つの弦を半音(短2度)ずつ下げる調弦(G→F# (Fis)、C→B (H))が指定されています。通常の調弦(チェロでは高い方からA、D、G、C)を変えて合わせる変則的な調弦方法をスコルダトゥーラscordaturaといいます。イタリア語の意味にはもともと「楽器の調子が狂っていること」とあることから想像すると、特殊な調弦でいつもと違う共鳴が起こる違和感が面白く感じられます。特にヴァイオリン属は完全5度調弦。そこから完全音程でない、ロ短調h-Moll(+ラA)の調弦になるということは・・・ぜひ、実際に聴いてみてください!
バッハのc-mollの組曲でも一番高い弦AをGに下げます。せっかくA線を下げるなら、ドメニコ・ガブリエッリのリチェルカーレも加えましょう。
クルタークは第一回で弾いた作品5の3曲をもう一度取り上げます。前置きがあって、テーマがあって展開して・・・という伝統的な手法ではなく、熟考の末に極限まで音を少なくして、しかも即興的で、あっと言う間に過ぎてしまう、まるで現代美術に出会ったような作品。「???」と思っているうちに終わってしまい、一回聴いてもよくわからない、違和感だけ残った、または覚えていない方もほとんどでしょう。目の前で聴く機会も多くはないでしょうから、これもご縁のひとつで。そのうち、クルターク全曲のコンサートはやってみたいと思います。
ガット弦を使う、ということに正解な答えはないと思います。何が正しい音なのか、という意味において。バロックの調整かモダンの調整かによっても、いい音や可能な表現は変わってきます。録音をしてみると、いかに音を出すことに対して神経が行き届いていないか、理解が浅いか、無知さを痛感します。音とは何か、気持ちいい音程とは何か、常に問われます。スチール弦に対してガットは振動がものすごく大きい。人口のものではない素材が持つ強靭さが、たくさんの音の成分を生みます。弓の角度、弓の毛の量、速さ、圧力、そしてイメージや感情に敏感に反応する説明しがたい弓の「当たり」が、ガット弦の表現に無限の可能性を与えます。裏返る音か、高音の倍音なのか。聴こえない振動も音に含まれます。
最近、私の楽器のかかりつけ楽器職人と話題になっていること。
ガット弦はスチールやナイロンに比べて、たくさんの音の成分(例えばAを出したときに何が聴こえるか)を含む。それは多くの倍音、弦の振幅、楽器本体への伝わり方、色々なことが機械でも計測できる。
動物の腸は強い。身体の中にいるときは消化液にも耐え、常に働いている。タンパク質の構造が分かる人ならもっと具体的で面白いだろう。ガット弦だけでなく、動物の一部を使った楽器が持つ音の存在感はそういうところから来るのではないか。雑味と思われる要素や、可聴範囲を超えた音もあるから、心地よかったりするのではないか。心に伝わる力が強いのではないだろうか。
演奏する本人はその命の振動を直接肌で感じます。音を耳から通すだけではなく、骨、皮膚から。
一度として同じ音はなく、正解はないのです。
楽器を知り、音を知り、身体との関係を知り、出来ることが見つかる。そんな小さな発見が、表現の幅を大きくしてくれます。生涯、発展途上です。
もしよろしければ、今年2017年が没後50年のコダーイの135歳の誕生日(12月16日)🎂を、225歳の私のチェロ(ずっとNoNameと思っていたのが、最近製作者名が判明したことも祝って!)と一緒にお祝いしませんか!
12月16日(土)富田牧子チェロコンサート(3回シリーズ)
「vol.3 無伴奏チェロの愉しみ〜ガット弦で弾くJ.S.バッハ、コダーイ、クルターク〜」
と き:2017年12月16日(土)17時00分(開場15分前)
ところ:BELUGAオルガン練習室(横浜・JR京浜東北線・関内駅から3分)
料 金:4,000円 / 7,500円(ペア券)(茶菓付き)
《プログラム》
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調BWV1011
Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタ 作品8より 第3楽章
G.クルターク:「しるし、遊び、メッセージ」より
💡チラシ表20171216BELUGA cello.pdf
【ご予約・お問い合わせ】
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BELUGAオルガン練習室
メール:belugaorgan@mbr.nifty.com
電話:045-662-5536(不定休)