
バロックと現代の楽器を使ってガブリエッリ、J.S.バッハからコダーイまでソロの録音をしました。

軽井沢のコルネさんにて。数年前にオルガンの原田靖子さんと共演させて頂いた、オーベルタンのパイプオルガンがあるお宅です。天井も高く、新建材ながら自然な響きがします。残響がよく、どんな小さな音も、音が消えて行くのも美しく聴こえます。こういう響きの中で弾くのは身体に無理がなく、お陰でストレスも少なく録音を終えられました。
特にバロック音楽やクルタークのP、PP、PPPを弾くのは、どんなにイメージが湧きやすく楽しいことでしょう!
弦楽器はやはりいい残響がある中で弾かなければうまくならないと改めて痛感しました。技術的精神的な面でも問題点が明解になります。
ちょっと疲れたら外にでると、澄みきった青空、まっすぐ伸びる木々が時たまさわさわと動き、静寂の中、小鳥の声が高いところから聞こえてくる・・・
弾くことだけに集中できるのはなんて幸せなこと!

ガット弦との付き合いはまだスタート地点、やっと繊細な手応えをつかみかけたところです。
気持ちがたくさんあって想いが先走る傾向なので、録音でシビアな作業をするのはいい勉強です。いかにいつも丁寧さが足りないかを思い知らされます。録音して失敗して、問題点が明らかになり、また練習して、技術を磨いて身につけていく。逃げても跳ね返ってきます。真正面から取り組むしかありません。演奏は生活態度と同じ。
20代、30代の頃、「本当にやりたいことはこれなんだろうか」居場所がここにあらずと思いながらも、演奏すればすぐ次の仕事があって、声を掛けてもらって・・・それがどんなに有難いことか今になってわかります。
とりあえず、いまの段階で出来るところまでやりました。20年逃げ続けてきたソロをCDという形にしたら、やっと自分で作る我が道が始まるのかなと思います。