
今年1月から始まりました、松本市は中町の蔵シック館・茶房での「築140年の蔵と、226歳のイタリアのチェロとの出逢い」コンサートシリーズ。茶房のマスターとご一緒に不定期に開催させていただいています。
長い年月を経て硬く締まった材木が床や梁などに使われている蔵の店、茶房。チェロを弾いてみると、想像以上に低音がよく鳴り、高音も柔らかく、気持ちのいい理想的な響き!築140年の蔵とガット(羊腸)弦を張った226歳のチェロが織り成す特別なハーモニーを、皆様にも味わっていただきたく、コンサートを企画しました。
シリーズ2回目は、ヨーロッパで育ち教育を受けた若き俊英、木下雄介氏を迎え、ヴィオラとチェロの音楽をお届けします。明るく爽やかな音色を持つヴィオラ奏者木下氏とのアンサンブルは、知的な音での遊びが楽しく、頭が快適に働き高揚感があります。2年ぶりの共演です。作曲当時の様式に合った奏法を大切にする二人による音の対話で、ヨーロッパ諸国の古今の作品をお楽しみください。
プログラムは、1720年初めに書かれた有名なJ.S.バッハの鍵盤楽器のためのインヴェンションで始まり、18世紀終わりに書かれたベートーヴェンのユニークな題名の二重奏、そして20世紀に作曲された作品を集めました。もともと、ヴィオラとチェロのための二重奏曲は(この二つの楽器だけの演奏会自体が!)少ないので、この日には、滅多に演奏されない曲を聴くことができます。ドイツのパウル・ヒンデミット、ポーランドのヴィトルト・ルトスワフスキ。そして第二次大戦中ナチスによって迫害されたユダヤ人の作曲家の一人ジクムント・シュールの、テレジン強制収容所の音楽家メモリアルプロジェクトとして出版されているデュオも演奏します。
そのほか、木下氏が育ったイギリスの有名な作曲家ベンジャミン・ブリテンのヴィオラソロのための作品や、フィンランドを代表するジャン・シベリウスの若い頃の珍しいチェロソロのための作品も。ヨーロッパの様々な国の薫り、人々の生活を感じていただけたらと思います。
クラシック愛好家にも手応えのある直球のプログラムを、息遣いの聴こえる至近距離で、まさに弾き手と聴き手が一体となって味わえる室内楽コンサートになるでしょう。
東京でのコンサートは予定しておりませんので、季節のいいこの時期、松本へ観光がてらお出かけいただけましたら幸いです。
ぜひ、雰囲気のある蔵のコンサートにお越しください!
2018年6月24日16時
富田牧子茶房ライヴその2 「Viola & Cello! 」ヴィオラとチェロのデュオ
〜蔵で聴く弦楽器のアンサンブル、中低音の響きを味わうコンサート
ゲスト:木下雄介(ヴィオラ)
【場所】蔵シック館・茶房(松本市)
【プログラム】
J.S.バッハ:インヴェンションより
L.v.ベートーヴェン:2つのオブリガート眼鏡付きの二重奏曲
P.ヒンデミット:二重奏曲(1934)
W.ルトスワフスキ:牧歌集(1952/62)
Z.シュール:2つのハシディック・ダンス(1941/42)
B.ブリテン:エレジー(1930)[ヴィオラソロ]
J.シベリウス:主題と変奏(1887)[チェロソロ]
【料金】要予約 一般4000円/高校生以下2000円 *1ドリンク付き 未就学児の膝上鑑賞無料
【予約・問合せ】☎︎070−4314−3735(えびはら)
📩MA企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(☆を@にタイプし直してください)[メールでのご予約・お問合せは前日まで]
💡チラシはこちら
20180624茶房ライヴ2表.pdf
20180624茶房ライヴ2裏面.pdf
出演者プロフィール
木下雄介(ヴィオラ)
岡山市生まれ。8歳から25歳までの17年間をイギリスで過ごす。マンチェスター・チータムズ音楽学校 、英国北王立音楽大学を卒業。これまでに今井信子、トーマス-リーブル、アネット・イッサーリス、デイヴィッド・タケノ各氏に師事。イソラーニ・カルテットのメンバーとしてイギリス各地で演奏、メルボルンで開催された2009年第一回アジア・パシフィック室内楽コンクールにて、セミ・ファイナリスト。2010年ロンドン交響楽団のオーケストラアカデミーでトレーニングを受ける。これまでに、ハレ管弦楽団、エイジ・オブ・エンライテンメント管弦楽団等で弾き研鑽を積む。2010年よりバロックオーケストラ ウォルフィッシュ・バンドで活動後、2012年日本帰国。これまでにイギリス・ケント、倉敷、広島にてソロリサイタルを開催。2014年フィリピン・マニラにてソロリサイタル及びマスタークラスを開催。現在大阪フィルハーモニー交響楽団トップ奏者として活動する 傍ら、岡山大学交響楽団、京都大学交響楽団にて後進の指導に情熱を燃やしている。
富田牧子(チェロ)
東京芸術大学在学中にリサイタルを行い、演奏活動を始める。イタリア、フランス、ドイツ、オーストリアの音楽祭や講習会に参加、ニューヨークでハーヴィ・シャピロ氏の指導を仰ぐなど、ソロと室内楽の研鑽を積む。大学院修士課程修了後ハンガリー・ブダペストに留学、バルトーク弦楽四重奏団チェロ奏者ラースロー・メズー氏に師事。
NHK-FM「名曲リサイタル」、ORF(オーストリア放送)の公開録音に出演。各地でソロリサイタルを開催するほか、弦楽四重奏団メンバーとしての活動を行う。その後ピリオド奏法への関心を深め、バロックと現代の楽器にガット(羊腸)弦を張り、様式の異なる弓を使い分けながら、様々な楽器との組み合わせによる「充実した内容の音楽を間近で味わうコンサート」の企画を続けて15年になる。J.S.バッハと20、21世紀の作品を組み合わせたサンドイッチ・コンサートも好評継続中。パーカッションのコスマス・カピッツァ氏とのデュオ《羊とヤギ》でCD「O Terra(大地よ)」をリリース。