2018年05月26日

A.ペルト〜鐘のような・・・曲紹介その2[6月3日びすた〜りライヴ!]

KIMG0139.JPG醤の三日目
大きく鳴らした鐘の響きのように。その放散された響きには複雑で、錯綜する、色々な音の要素が含まれています。豊かに鳴り響く倍音の集まり。うねりの中にいつしか聴こえてくる調和。余韻はゆるやかに広がり、そして消えて行く・・・。
エストニアの作曲家アルヴォ・ペルトは、大切でない全ての音は消えていって、調和する3つの音が残る、3和音はまるで鐘の響きのようだ、と言います。
彼はこの効果を使った作曲法をティンティナブリTintinnabuli様式と呼びます。
Tintinnabulumという古代ローマから使われてきたウィンドチャイム(風鈴)は、文字通り風に揺れて鳴らす鐘で、魔除けの役割もありました。《羊とヤギ》のCD「O Terra」の中に収録されているヒルデガルト・フォン・ビンゲンの「おおエクレシアよ」で、コスマスが冒頭で鳴らしたのがチャイムです。

静かに、そしてよどみなく流れて変化していく分散和音。その中に聴こえる単旋聖歌のような旋律のテーマが、曲を一貫して絶えず鳴り響く。強い印象を与える作品、ペルトの「フラトレス」。
ラテン語で「兄弟」を意味するFratres(frater)。祈れ、兄弟たちよ。
この作品は楽器を特定せず、様々な編成で演奏されます。
「私にとって音楽の最も高い価値は、音色そのものの向こう側にある。楽器の特別な音色は音楽の中の一部であって、最も重要な要素ではない。もしそうだとしたら、私は音楽の神秘に対して降伏することになるだろう。音楽は音楽自体で存在しなければならない・・・2つ、3つの音符・にもその神秘がなければならない。楽器には依存せずに。」(A.Pärt)

一音の鐘の響きに和音が秘められているように、彼は自分の音楽の音色を次のように例えます。
「私の音楽は全ての色を含む白色光と同じです。プリズム(三角柱)のみがその色を分けて、姿を表すことができます。このプリズムは聴き手の精神なのかもしれません」

そしてティンティナブリの技法では、1足す1は、2ではなく、1。旋律と伴奏形は一つになります。
音のひとつひとつが合わさって大きな一つになる、別の二つになるのではなく。鐘の響きも大きな一つとなります。まるで人間の身体、世界のような!
きっと宇宙ではそのようなうねりの音が聴こえているでしょう。
この調和は、ヒルデガルトの言う「天の啓示による交響楽的調和(調和のシンフォニー)」にもつながるのではないでしょうか?
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