2018年05月28日

ブルガリアのリズム〜曲紹介その3[6月3日びすた〜りライヴ!]

KIMG0142.JPG醤の4日目。
ブルガリアの歌(独特な発声で、合唱が有名です)、踊りなどの民俗音楽には、拍子やリズムが特徴的なものがあります。バルトークの作品にはブルガリアのリズムがしばしば使われています。通常よく使われる2拍子、3拍子、4拍子もありますが、バルトークが用いたのは拍子の単位が細かく不規則で、非シンメトリックな、リズムパターンを繰り返す混合拍子・・・なんて説明されてもピンときませんね。ピアノのためのミクロコスモスにいくつかこの題名の曲がありますが、《羊とヤギ》のCDでは7/8拍子の曲を入れています。
ブルガリアの人たちはその踊りの様々なステップを楽しんで今でも踊っています。
耳に優しいクラシック音楽ではなかなか聴けないリズム。「うわっ難しそう」と計算し始めるのが教育を受けた音楽家で、このリズムに親しんでいる人たちは、1、2、3、4、5・・・なんて数えないでしょう。
インドの音楽ではリズムを言葉で言うことが出来ます。日本語なら、「リス、スズメ」「タカ、タカ、カケス」とか。学生時代、ソルフェージュの先生が、3連符、5連符は「ウエノ、オカチマチ」と言い換えれば簡単だ、と言ってましたが。
バルトークの残した逸話にこんなものがあります。ある時フランクフルトのラジオ放送で講演をした際、オーケストラの団員にいくつかの曲を演奏してもらった中にブルガリアの民謡があった。ところが何回やり直してもこのリズムを弾きこなすことが出来なかった、という。現在では世界中の様々な民俗音楽を聴く機会があるのでそんなことはないでしょうけど、頭で数えて(計算して)理解するのでしょう。
さて、ブルガリアの民族ダンス。地方によってたくさんの踊りがあり、それぞれ拍子も違います。《羊とヤギ》のCDに入れた「Bucimis」はトラキア地方の踊りです。これは15拍子。楽譜にすると15/16(16分の15拍子)です。恐るなかれ、タカ、タカ、タカ、タカ、タカタ、タカ、タカ、です。
古代ギリシア時代の頃からトラキアは栄えており、色々な国に支配された歴史を持ち、現在はブルガリア領、ギリシャ領、トルコ領にまたがっています。
ハンガリーもそうですが、大陸における国境を接する国々では、国境が変化したり、国がなくなったりした歴史があり、絶えず民族が移動したり移り住んでいるので、あちこちで文化が影響を受けるということが起こります。食べ物、音楽、踊り・・・。
トラキアの音楽には古いギリシャの音階によく似た増音程を含む半音階があります。Bucimisにもあります。

今回のプログラムでは、いろいろな拍子のブルガリアのリズムをパーカッションの即興を交えて続けてやってみようと考えています。変化に富んだリズムの組み合わせが即興の醍醐味!どんなリズムを叩いてくれるか楽しみです。音楽と一緒に、つい足が動いてしまうかもしれませんね!


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