ビンゲンのヒルデガルトが書いた『天の啓示の調和のシンフォニア』から、2回公演で数曲ずつ演奏する予定です。
私たちは楽器のみで演奏し、言葉はありませんが、音楽から何か印象を受け想像するものがあると思います。
まず、祈りの曲から始めます。
「おお、魂の牧者よO pastor animarum」と、羊とヤギを導く牧者、天の番人に呼びかけます。大地に立って呼ぶ光景が見えます。根源的な内容を、D(レ)の旋法が安定した印象を与えます。私たちは苦しみと弱さから解放されるようまっすぐに願うのです。
修道女にとっての女性の中の女性(花の中の花)聖母マリアへ歌います。
「顔を赤らめし時にCum erubuerint」
E(ミ)から、さすらうような音の動き方で始まります。「堕落」という言葉が出てきます(蛇にそそのかされたエヴァが頭に浮かびます)が、誤りを犯して追放されても道を前へ進まなければならない。あなたの明るい大きな声で呼び、堕落の人間(魂)を高めてください。
深い神秘に満ちた言葉が歌われる予言の歌。
「おお、豊かな実りをもたらす根よO vos, felices radices」
Eから音は高みへ上がり転がるように下降します。荒れ野で叫ぶ、響き渡る燃えるような声を聴く。地上では見ることができないものを、「頂きにおいて喜びなさい」。
英知を賞賛する歌。
「おお、英知の力よO virtus sapientie」
「3つの翼があり、1つ目は高みに飛び、2つ目は地上で汗をかき、3つ目はあちこちへ動く」。Eが始終鳴り響く、空を飛び回り、風を感じる、環のように回るイメージ。
聖母マリアに。
「おお、紫衣をまとった王の若枝と王冠よO virga ac diadema purpurea regis,」
「ようこそ」人間が生まれる、生命の始まりの驚嘆。そして「なんという痛みと苦しみであろうか」。罪を背負って犠牲になる人間は、「万物の母に定められた女性」によって、「未知の傷でその子宮を痛めて、深い苦しみのうちに」生み出されたのです。しかし、「新しい光」は全ての罪を拭い去る。A(ラ)の旋法で身体感覚のある言葉を紡ぎだし丁寧に歌っていきます。