一日中、机の前、コンピューターの前に座っている仕事や研究をなさる方で、ずっと同じ姿勢のまま長時間集中している、という場合があるようです。気づかないうちに体が冷えて、筋肉が固まって、呼吸が浅くなり、動かしているのは頭がメインになり、意識が胸から上に行っているようです。
本が大好きな小さな子どもでも、同じ姿勢を保って読書に集中することはなく、本を読みながら移動して行ったり、体の向きをしょっちゅう変えたりします。寝ている間に寝返りを打つように、動かそうと意識しなくても、身体が固まってきたら気持ち悪いなと感じて、自然に身体が動くのでしょうか。
そんな感覚を、日常生活だけでなく、楽器の演奏にも取り入れるといいと思います。
弦を押さえる指。弓を動かす右手や弾き始めるときの指。
これらは単に指の運動ではありません。
どんな音を出すのか。柔らかいのか、力強いのか、太いのか。どんなリズムか。
音の性格によって、呼吸が変わります。押さえる指にかかる重さ、体の動き、音を出す直前の準備、すべて少しずつ違います。
無意識のうちに呼吸が止まっているような緊張があったり、身体や頭が固くなっていたら細やかな違いを感じることも生み出すこともできないでしょう(わざと呼吸を止めて緊張感のある音を出すとか、硬い音を求める場合は別)。
初心者でも、大人でも、愛好家でも専門家でも、楽器を弾くことで元気になったり、疲れが癒されたりすると幸せですね。
冒頭の環境にある方や、高齢の方、身体を壊した方にとって、一種のリハビリになるといいのではないかと考えています。
弦楽のためのワークショップでは、はじめに身体をほぐして、自分の身体を観察することをしています。「身体を観察する」とは、自分の内側を観るとも言えます。外から見て「動いている」と認知する動きはわかりやすいですね。ただ、動きが大きくなりすぎる傾向にあります。大雑把にもなりやすい。
意識を内側に持っていくことで、自分の内部から身体を動かすような感覚を掴みます。
音が消えていくのを最後まで見(聴き)とどけるとき、自分の呼吸を観る感覚に近いような気がします。
このようなことはワークショップでなくても、個人レッスンでも取り入れています。
都内での次回のワークショップは未定ですが、非公開の形で東京都府中市で行います。ご興味おありの方は直接こちらへご連絡ください。