2019年01月11日

ココロは嘘をつく

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久々に行ったハーモニー体操(フェルデンクライス)のクラスで、講師のコンラッドさんが話してくれた「体と心の関係について」がとても興味深かった。
心はたまに嘘をつく。
「私は元気。疲れていない」と思っていても、例えば頭を動かすときに、体の他の部分が固まってしまって連なって動いてくれないことがある。まだ動ける、まだ大丈夫と思った時、体がそれについて来るかどうか。体の動きをチェックすることが、疲れ具合や怪我回避のバロメーターになるかもしれない。
心は簡単に嘘をつくけれど、体は嘘をつかない。

学生の頃、私はチェロの先生(教授)に「君は音楽はいいから、もっと技術を磨きなさい」と言われていた時期があった。室内楽が楽しくて、デュオ、トリオ、カルテットなどに手を広げていた。自分では本気に取り組んでいたつもりだけれど、気持ちはソロ曲の練習より室内楽に向いていた。
ある時、進路がうまくいかなかったことがあり、「これから基礎をやり直すつもりで取り組みなさい」と言われ、私は落ち込んでいたこともあり、その言葉に素直に(?)従い、ひと夏、音階、指の練習やポジション取り(シフト)の反復練習など、基礎練習に1日何時間も費やした。
それでどうなったかというと。
楽器を弾くことが怖くなり、5キロ痩せた。
心が蓋をしてしまったように、固くなり、閉じこもってしまった。気持ちが動かなくなった。水面の上の一部分だけが反応しているような感じだった。
本当にチェロが弾けなくなってしまった。

これは、嘘ついたのかどうかわからない。
見ようとしなかった結果、自分をいじめてしまった。
やらねばならない、これを克服しなければならない、と決めてしまった。頭を動かさずに行動する方が楽だから。もっと考えなければならないことがあったのに。音楽をしたいのに、音楽を無くして楽器の訓練をしてしまったのだ。

その後もしょっちゅう。30代の苦しかった時期もずっと。
たくさん練習してリハーサルでは弾けているのに、本番で体が自由に動かなくなり固まってしまい、響く音を鳴らせないし、音は外すし・・・。

専門家になるために、小さな嘘をつき続けているのではないか。
理想を持つことは大事だけれど、何を考えるか的が外れていては、何年経っても芽が出ず、変わらない。やみくもに練習だけ重ねていても、弾けるようにはならない。表現者は、自分のやっていることを理解することが大切で、自分のしたいことを大切にしなければならなくて、それが良さを伸ばすことになる。

世の中の評価はそんなに間違っていないと思う。
商業ベースに乗れる演奏家になるより、一音出して、それが心を打つような音楽をしたいと思っているのだもの。
posted by makkida at 20:05| 楽器演奏と身体 | 更新情報をチェックする
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