2020年04月07日

気づきは突然やってくる:プレーンガット弦を張ったモダンの楽器とバロック弓の関係

KIMG1521.JPG
プレーンガット弦を張った私のモダンの楽器でバロック弓を使ってバッハを弾くこともある。
何が問題かって?
プレーンガットを張っているとはいえ、モダン調整のテンションは高い。バロックボウは緩めのテンションのバロック調整の楽器を弾くのに適した弓。毛の量だけの話ではなく、テンションが高い楽器全体を鳴らす、共鳴させることが困難になる。

弓が弦を噛み(圧力がかかる)、力を横に逃がす(腕を動かす)と発音になる。
弦から離れる瞬間、パッと速度が速い場合、pやkやtと発音するように、比較的圧力が少なく軽い音となる。
圧力が増えるとbやgの濁音のような発音や、重さをかけるとwの発音になる。

次に、弓元から弓先に向かって音が自然に消えて行くボーイング。
バロックボウでは、弓元が一番強いとは限らず、元から真ん中あたりの重さが乗りやすい場所で音が最も膨らみ、弓先へ向かって減衰する。弧を描く。
モダンボウでは、弓の根元の方3分の1辺りから真ん中の間でバランスが取れる構造になっている。どの部分でも強い音を持続することが可能とはいえ、弓先へ向かうとバランスが軽くなるので音は減衰するのが自然だ。
重音を弾いたときに波動がピタリと合うのは発音した瞬間ではなく、少し時間がかかる。それは音の重さのかけ方でタイミングが変わるし、テンションが低い調整と高い調整でももちろん合い方が違う。

その音楽のそれぞれの音に合った発音、響きがあって(頭に思い描くイメージ)、同時に、自分の今持っている楽器のキャパシティの自由と制約もある。いろいろな条件を考え合わせながら、イメージする音を出すための技術、身体の動かし方を試していく。この作業が練習、というもの。ああでもない、こうでもない、変化する毎日の体の調子も合わせて、試しながら弾き続ける。

無理だと思っていると無理なのである。
それでもうまく弓が吸い付くことも可能なのだ。

弓の毛の当たり・・・弦の吸い付きかたは、比較的ゆるいテンションのバロックでも大事な問題。
それぞれに合わせた体の使い方がある。身体の構え方(「構え」というと緊張感を感じるが、そうではなく、単に持ち方)が変わる。
その上で、モダン楽器を弾くときには、楽器と身体と右手(弓)がピッタリ来る瞬間の精度が高い。焦点が合っているというのか。

この「ピッタリ」感。
いつも感じている、気にしている大事なことなのだが、身体がピッタリきたときの安定感は素晴らしい感覚だ!
ずっと考えながら試しながらバロック弓を使っているが、突然、この感覚がやって来る。やっと!
リズムも、全体の音楽の構成もガラリと変わってしまうのだ。
もう、部分の技術を気にすることなく集中ができる。
これがあるから面白い。新鮮な気持ちでチェロを弾き続けられる。
KIMG1547.JPG
posted by makkida at 23:15| プレーンガット弦と楽器 | 更新情報をチェックする
当サイトの写真、記事の無断転載・無断使用はご遠慮ください。 Copyright 2022 Makiko Tomita Kida, all rights reserved.