久しぶりに聴いたら、やっぱり、いいなあ!こんな時期だから、心が軽くなります。
ハンガリーに留学していた頃にヴァイオリン科の学生に勧められたのが、G.カルミニョーラ氏のヴァイオリンでした。Vivaldiのコンチェルト。
すぐにCDショップに行って探すと、意外にも(東京のように何でも手に入るわけではないから)見つかりました。
"Antonio Vivaldi Late Violin Concertos"
Giuliano Carmignola, Baroque Violin
Venice Baroque Orchestra
Andrea Marcon, Harpsichord
家に帰ってCDラジカセで聴いて、本当にビックリ!こんな軽やかでキラキラしていて、爽やかで明るいヴァイオリン!曇り空を突き抜けるような高音、小鳥が歌っているような、この抜け感!なんてリラックスした、美しい音。生命ある音楽のための自由自在な技術、テンポ感。透明なアンサンブルの響き。和声の移り変わりが泣きそうになるほど・・・。
ヴェネチアの運河の波の動きが、ざわめきが聞こえてくるスイング感、リズム感。
こんなに自由な音楽があるんだ!
目から鱗が落ちるとはこういうことかと。
ブダペストのちょっと重い空気と、期待していた出会いに恵まれず、鬱屈していた私には、扉が開いて明るい光が差してきたようでした。そして、ただただ明るいラテンの国への憧れ、自由な音楽の交流、アンサンブルへの想いが募るばかりでした。
その年の夏にイタリアのシエナで参加した講習会のヴァイオリンクラスの講師は彼でした。
レッスンも聴きに行ったけれど内容はあまり覚えていない・・・。
でも、演奏会は覚えています。光景が蘇ってきました。ドキドキ期待に胸を膨らませて演奏を始まるのを待ち、感激でした。
日本に戻り、リサイタルを東京で開催するためにお願いしたマネージメント会社が、まさか、カルミニョーラを招聘しているなんて!
センスのいいバロックの演奏家を紹介してくれる会社だから、当然でしょうけど(笑)!
彼のヴィヴァルディは衝撃でしたが、すぐに自分がバロックをやってみようという気にはならず(すごく憧れはあったけれど、手がかりが掴めず)、初めて聴いてからやっと10年経ってガット弦とバロック弓を使うようになったという、腰の重さ・・・。
最近はレイチェル・ポッジャーのバッハばかり聴いていたけれど(バロックの演奏では、何故か聴くのはチェロではなくヴァイオリンが多い)、久しぶりに聴いたら、音と一緒に色々なことを懐かしく思い出してきました。