2020年11月06日

音楽で人と交流することの喜び

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photo: Shinichi Kida
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8ヶ月ぶりのコンサート、喜びの一日でした。
ギャラリー古藤のオーナー様、お客様、お世話になった方々、どうもありがとうございました!ご予約いただいた皆さんが、体調も崩されずお集まりくださったことも本当に有難いことです。当日配布したプログラムは下に載せてあります。
定員を半分以下の10名にすることで、会場の響きがなくなることなく、お客様も演奏者もゆったり余裕がある中で、力が抜けて、気持ちいい集中ができたように感じます。3回公演でしたが、疲れもなく、かえってどんどん心身が元気になっていきました。やはり、人に聴いてもらう音楽をすることは、一人で楽器を弾くのとは別のエネルギーが得られます。

コロナ禍のなか、勉強や練習に没頭するはずが、2回の引越しで、その時間は思うように取れませんでした。でも、自分の生活が変わる中で、この社会に常にある困窮や世界の動きと芸術音楽の在り方、その中で自分はどのような音楽をしたいのか、音楽や弾き方のイメージトレーニングができていたと思います。
作品が生まれたときの時代背景、作曲家のおかれていた状況を想像することはとても興味深いことです。
勉強して知識を得ることが音楽の理解ではありません。作品の音は、作曲家の精神の表出であり、その人間そのものです。演奏する私は、その音楽そのものになりきって追体験することで、その場で新しく生まれ変わることができます。その仕事が私にとって手応えのあることで、喜びなのです。

世界では、まだまだ社会活動ができない国や人々がたくさんいます。今までも、コロナ以前でも、自由に活動できない境遇にある人々はいました。
音楽によって、人が生きる希望と勇気を与えられますように!人々が芸術を体感することで、責任を伴う自由の大切さ貴重さを受け止められるよう、自分にできることを前に進めて行きたいと思います。

秋も深まり、乾燥する季節になりました。身体も楽器もケアを十分にして、みなさまくれぐれもご自愛くださいますように。

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プログラム
2020年11月3日    *今日演奏する作品について*       富田牧子

 ディエゴ・オルティスDiego Ortizは1510年頃スペインのトレドに生まれ、スペイン支配のイタリアで活躍したルネサンスの作曲家・音楽理論家。ナポリで活動していた1553年に、ヴィオラ・ダ・ガンバのための装飾音技法の教科書である「装飾論ならびに変装法論」をローマで出版。その中にあるレセルカーダの中から一曲演奏します。
 1500年代に栄え、街の人口が増えて、ヨーロッパのキリスト教国の最大の街の一つとなったナポリ。1600年半ばにペストが流行し、人口は半減してしまいます。
 17、18世紀にナポリで活躍したチェロ奏者を二人ご紹介します。
 ジュリオ・ルーヴォGiulio Ruvoについては生年没年含め詳しいことは残されていません。ナポリの伝統的なダンスなどの様式を使った5つの無伴奏作品は1700年初めに書かれました。
 スプリアーニ(シプリアーニ)Francesco Paolo Suprianiは1678年、プッリャ州(イタリア南部の「かかと」に当たる部分)コンヴェルサーノ生まれ。バルセロナの王室礼拝堂で仕えた後、ナポリに戻って1753年に亡くなるまで活動しました。トッカータはチェロ演奏のための教則本と一緒に収められています。

 J.S.バッハの無伴奏チェロのための6つの組曲は、ケーテンの宮廷で仕えていた1720年頃(以前)に作曲され、無伴奏ヴァイオリン曲と一緒にまとめられました。チェロ組曲は、バロックの古典組曲の様式で書かれ、5つの舞曲と前奏曲から成っています。組曲第5番では最高弦のA線をGに一音下げるスコルダトゥーラという調弦法が用いられています。

 20世紀から現在に至るまで、無伴奏チェロのための作品が数多く書かれています。
 アルチュール・オネゲルArthur Honeggerは1892年スイス人の両親の元にフランスで生まれ、1955年に没した作曲家。パドゥアーナは1945年7月にパリで書かれました。ゆったりしたパヴァーヌの舞曲様式で、フランスの特徴的な和声が印象的な小さな作品。
 ジェルジュ・リゲティGyörgy Ligetiは1923年にトランシルヴァニア地方(ルーマニアとハンガリーの間で度々境界線が変更された)のユダヤ系の家系に生まれ、2006年に亡くなったハンガリーの作曲家。第2次大戦の独裁政権下、彼は強制労働として徴兵され、両親と兄弟はアウシュヴィッツに送られ、母しか戻ってきませんでした。戦後の社会主義体制下では人々の自由が制限され、1956年の
10月にソヴィエトがブダペストを侵攻、リゲティ夫妻は12月にハンガリーを離れました。ブダペストの音楽院に在学中の48年に、無伴奏チェロソナタの第1楽章「ディアーロゴ(対話)」が作曲されました。彼は憧れていたチェロ科の女性にプレゼントしましたが演奏されることなく、53年に第2楽章「カプリッチョ」の作曲後、別の女性チェリストによって初演されました。

✨1時の回 プログラム

ディエゴ・オルティス:レセルカーダ 第3番
 Diego Ortiz: Recercada Tercera
フランチェスコ・パオロ・スプリアーニ:トッカータ 第1番
 Francesco Paolo Supriani: Toccata Prima
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV 1009
 J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.3 in C major BWV 1009
〜休憩〜
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV 1011より 前奏曲
 J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.5 in C minor BWV 1011 – Prélude
アルチュール・オネゲル:パドゥアーナ
 Arthur Honegger: Paduana
ジェルジュ・リゲティ:無伴奏チェロソナタ
 György Ligeti: Sonata for Cello Solo
ロベルト・シューマン(富田牧子編曲):トロイメライ
 Robert Schumann (arr. by Makiko Tomita): Träumerei

✨3時の回 プログラム
ディエゴ・オルティス:レセルカーダ 第3番
 Diego Ortiz: Recercada Tercera
ジュリオ・ルーヴォ:ロマネッラ、タランテッラ、チャッコーナ
 Giulio Ruvo: Romanella, Tarantella, Ciaccona
フランチェスコ・パオロ・スプリアーニ:トッカータ 第1番
 Francesco Paolo Supriani: Toccata Prima
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV 1007より 前奏曲
 J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.1 in G major BWV 1007 - Prélude
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV 1009 より
 J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.3 in C major BWV 1009 〜サラバンドSarabande/ブーレI, II Bourrée I, II
〜 休憩 〜
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV 1011より 前奏曲
J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.5 in C minor BWV 1011 - Prélude
アルチュール・オネゲル:パドゥアーナ
 Arthur Honegger: Paduana
ジェルジュ・リゲティ:無伴奏チェロソナタ
 György Ligeti: Sonata for Cello Solo
ロベルト・シューマン(富田牧子編曲):トロイメライ
 Robert Schumann (arr. by Makiko Tomita): Träumerei

✨6時の回  プログラム

ディエゴ・オルティス:レセルカーダ 第3番
 Diego Ortiz: Recercada Tercera
ジュリオ・ルーヴォ:ロマネッラ、タランテッラ、チャッコーナ
 Giulio Ruvo: Romanella, Tarantella, Ciaccona
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV 1007より 前奏曲
J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.1 in G major BWV 1007 - Prélude
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV 1009 より
J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.3 in C major BWV 1009 〜前奏曲Prélude/サラバンドSarabande/ブーレI, II Bourrée I, II
〜 休憩 〜
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV 1011より 前奏曲
 J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.5 in C minor BWV 1011 - Prélude
アルチュール・オネゲル:パドゥアーナ
 Arthur Honegger: Paduana
ジェルジュ・リゲティ:無伴奏チェロソナタ
 György Ligeti: Sonata for Cello Solo
ロベルト・シューマン(富田牧子編曲):トロイメライ
 Robert Schumann (arr. by Makiko Tomita): Träumerei

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NECO QAVREENOさんが作ってくださった、ギャラリーをイメージした秋の花束
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