2021年07月11日

リズム・拍子と体の動き

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自然界は人間の行事や都合には構わずに、ときに優しく、ときに猛威を振るいます。人間がどんなに最先端の科学を利用しコンピュータを駆使したところで、自然の力はコントロールできません。

身体を使う運動や楽器演奏では、コントロールは常に必要なのでしょうか?
心の動きと、頭からの指令が筋肉へと伝達し、すべて繋がって身体は動くのでしょう。メカニズムに詳しい方はいらっしゃると思いますが、「自然に」というのはなかなか説明が難しいものです。でも、人はある動きが「自然」かどうか感じ取ることができます。

音楽にはリズム感がなくてはならないものです。外から与えられて頭で考えるものではなく、身体のなかに起こり、中から発するものです。外からの刺激がきっかけになる場合もありますが、何れにしても身体が反応します。
拍子を取るとき、一定のテンポを保てない人が多くいます。手で叩いたり、メトロノームに合わせてみたりしても、どうしても速くなるのは直せない。
拍の「点」(ポンっと打つ)は、突然そこに現れるのではありません。そして「点」から次の「点」のタイミングは、細かい物差しのようなもので数を数えて計る、一つの線上に平面的に存在するものではないのです。
拍には準備が必要です。音が始まる前に予想がある。動きの前に準備があります。
歩くときに、右を出したら左が出て、止めない限り足が交互に出て前進します。足を出すスピードが次の足を出すテンポを決めます。速さや足の上がる高さを変えると歩き方に変化が生まれます。下に足が着地するのだけを意識するのではなく、足が離れて上へ(小さな弧を描いて)空中で動くのを楽しむ。これはゆっくり歩くときに可能ですね。これがリズム感です。
色々なスピードや、足を上げる高さを一定にして歩いてみてください。拍の感じ方を身体が覚えます。
その感じで、手を打ってみる。手を打つ瞬間でなく、空中での動き、これが大事です。拍を打つ瞬間(「点」)は一瞬で、ベタっとした面積のあるものではないのです。拍と拍の間がリズムです。

発音や音を打つときの軽さや重さも、このリズム感や拍感が関連しています。弦楽器では弓が弦の上で弾み、バネを感じられるので、パーカッションの感覚がわかります。音の大きさや早さによって、弦にどのくらい深く食い込むのか、あるいは軽く触れるのか、直接感じることができます。その上、呼吸とともに弓を動かすことが容易なので、身体のあらゆる動きが楽器演奏に直結します。鍵盤奏者は実際に手が触れるのは目の前に並んだ鍵盤ですが、弦をハンマーが打ったり爪ではじいた時の振動や弾みをイメージするといいと思います。いいダンサーやフィギュアスケーターの動きを見るとイメージが湧きますね!

拍を感じようとして、頭を下に振る動作を多くの人はしますが、これが癖になると演奏中に音楽の流れやリズムを邪魔します。
18世紀イタリアのヴァイオリニスト、フランチェスコ・ジェミニアーニは彼が書いたヴァイオリン奏法(1751年)の中で「弓で拍を取ってはならない」と言っています。「なぜならそれに慣れてしまうとその癖から抜けられなくなるからである。それは不快であるばかりでなく、作曲者の意図を損ねることが多い。」

アンサンブルワークショップでは、このような動きの遊びもして、身体でリズムを感じて楽器演奏につなげていく試みをしています。
posted by makkida at 18:42| 楽器演奏と身体 | 更新情報をチェックする
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