飛ぶように月日が過ぎていきます。クリスマスが近づいてきました。
今年の冬は降雪が遅く、ここ信濃町では11月から2度積雪があったものの、数日でほとんど溶けてしまいます。それでも、妙高にちょっとだけ近い家の方は、町の他の地域と天気が違い、家に近づくと雪の量が多いです。明日から来週にかけて積もるでしょう。やっと雪のシーズン。
日が短く、夜が長くなるころ。冬至に向けて、活動時間が短いのに、年末の多忙な人間たち。他の哺乳動物と同じく、身体は冬眠を欲しているはず。
さて、今年のクリスマスコンサートは松本市の小さな教会で無伴奏チェロのコンサートをします。いつも応援してくださっている皆さまのおかげで、あっという間に定員の25名に達してしまいました。
よく知っているクリスマスソングを集めたコンサートではありません。とはいえ、最近の若い方は讃美歌やキャロル由来のクリスマスソングをあまりご存知ないとか。
カトリックの教会なら、ミサでは歌がつきものですし、音楽のミサ曲はまさにそのためのものです。プロテスタントの教会では、なかなか西洋音楽の歴史と結びつかないようです。バッハの音楽は好きな人が多いのにね。
聖書のクリスマス物語は降誕劇(ページェント)として子どもたちが楽しむ習慣がありますし、絵画や本、様々な媒体を通して馴染んでいる方も多いのでは。
この物語に沿って、内容に合わせた音楽を組み合わせて、まるでヨーロッパの古い石造りの教会で聖歌隊が歌うようなイメージを、チェロ一本でやってみたいと思います。中世のグレゴリオ聖歌やヒルデガルトの音楽、ヨーロッパ各地の民謡やキャロル、クリスマスキャロルを基にした20世紀の音楽を演奏します。ほとんどすべて編曲をしなければなりませんでしたが、おそらく、今後もコンサートに活用できるのではないかと期待しております。このプログラムで他の場所でも開催できたらと願っています。
プログラムはこちら。20211219クリスマスコンサートプログラム.pdf
無償のコンサート(そういう場合もちろん、経費はいただいています)でも、いつもと変わらずエネルギーをかけています。チラシも自前、もちろん宣伝も。こういうのを、「コスパが悪い」と今の人は言うのでしょう・・・(苦笑)。そもそも芸術は経済活動と相容れないので、私は内容重視、音楽に集中できることが一番大事。当然、仕事でもありますから、本来は働いた分は報酬をいただきたい。毎回、準備するために勉強ができるので、実力の蓄えとしては(笑)どんどんプラスになっているはず。今後を楽しみに!
コロナ禍が続いて、最低限の生活の補償や音楽活動を継続するための助成が必要です。チケットを購入して聴いてくださる人がいてこそ成り立つ興行。定員を制限している以上、入場料をあげる以外に収入を維持する方法はなく、それが不可能なら、助成してもらうしかないのです。活動イコール生活なのですから、赤字公演は続けられません。そう言う意味で、「おはなしコンサート@松本」は継続が困難でした。場所や入場料を見直したり、集客を倍に増やすしかありません。東京の料金、地方の料金という考え方も、もうやめにしませんか?コロナ禍以前から、興行のあり方には常に課題がありました。本気で「芸術音楽」を考えるとき、この社会に存在しているシステムに乗っかって活動するだけでは、それぞれの音楽家独自の創造性は発揮されません。
コロナ始まった当初は「不要不急」などと言われましたが、芸術はどんな時にでも継続されるものです。
その活動とは、内面の奥深くに入っていくのと同時に、外の目に(耳に)触れていること。どんなに高い志や理想を持ち、本質的なことを頭で理解していたとしても、日々の練習と人との試み、公の場での実践無くしては身につきません。内面のものを表出していくこと、未熟な自らを晒して、徐々に形にしていくこと。その繰り返しが芸術活動で、生きること。
自分を、人を、その魂を「生かす」ため、「生きる」ための音楽を続けていけたら!

年明け、長野市での無伴奏コンサート、お近くの方はぜひどうぞお出かけください。5月の連休には小布施でのコンサート(バロックとモダン両方使う)も予定しています。
