2022年01月03日

見えないものを感じ、見えるものを生かす

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新しい年になりました。明けましておめでとうございます。
雪に囲まれた家の中で暖かく、静かに過ごせることに感謝。ヒルデガルト の音楽から心の落ち着きをもらって新しい年を始めます。
天からまっすぐに降りて来た言葉と音楽。そこには体裁も頭だけの理解、人間社会のしがらみもない。そのまま、ありのままで受け止めるヒルデガルト 。その音楽を奏でるだけで、宇宙の中の自分を感じ、音楽に深く入っていける幸せ。
「今われらに開かれた 閉ざされていた門が」Hodie (Nunc) aperuit
この詩に限らず、ヒルデガルトが啓示を受けた詩には、処女マリアが新しい生命を受け入れる、性のことを赤裸々に綴ったとも言える内容の聖母マリアを讃美するものが多いのです。
当時の権力者や頭脳優先の学者にとって恐ろしい存在だったでしょう(今でも避けたり怒ったりする人はいるでしょうね)。
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以前も紹介したかもしれませんが・・・
イギリスのWigmore Hall の András Schiff Beethoven Lecture-Recitalsが素晴らしくて。ベートーヴェンのピアノソナタは、もちろん、楽器としてのピアノの目覚ましい発展が大いに影響しているのですが、オーケストラの響き、ベートーヴェンの以前の作品、彼が影響を受けた尊敬する過去の音楽や文学などとの関わり(それらを楽譜(作品)から見つけて音や性格やテンポ、本質的なものにたどり着くのが本当に楽しい作業!)思想や人間の理想が前提として存在します。それから、冗談、ユーモアも!だからベートーヴェンの音楽は興味が尽きない。
語りながら次々に弾いていく様は圧倒されるけれど、何より、シフ氏の音楽への愛に感動する(ユーモアがあって親しげで!)。特に後期の音楽を聴いたり演奏するときに体が震えるほどの感動は、人間が作り上げる世界でなく、天体の動きを感じ、人間は目に見えるものを超越するものを感じる感覚を共有できる、ということから来るのだと思います。シフ氏が宇宙を感じているのが音から伝わることに感動・・・。

言葉は、誰が発するかによって変わり、その人がその言葉をどう解釈し考えているか表れます。
それによって、言葉が生きてきます。
音楽と同じ。
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年末に溜まった新聞を読むと、感染症に関わる貧困や困窮、国の予算や防衛、軍備など穏やかでない重要な問題が、毎日のようにこれでもかと記事になっていることに気持ちが重くなります。政治や自然環境を守ることは、個人の生活と繋がっています。使われる(問題になっている)言葉の本来の意味をまっすぐに捉えて、人が繋がって小さなコミュニティから動いていけたら。
小さな自治体では、みんなの目が見ている、というのがポジティブな方向に働けばいいのでは。少し人と行動がずれるのは好かれない狭い地域で、「失敗」をすることにビクビクするのがマイナスだけれども。それでもやはり、人によるのでしょうね・・・。
小さな町に住んでいると、農産物では地元の新鮮で安いもの、有機や自然栽培のもの、季節で採れるものが美味しい。ブランド米でなくても、町で作る米がある。菜種油や小麦粉を輸入しなくても、米粉や米油は身体に引っかかりなく入る気がします。
生きている場所から近いところで採れるものを生かす。目に見えるもののいい点はこういうことでしょう。
自由な発想を実現できるようにしたいものです。
音楽では、どんなことやっても自由だよ!と、それぞれの人の心や気持ちを解放できるようなレッスンやコンサートをしたいと、改めて思います。自分自身が解放されていないと!身体も緩んで、心も自由で、それを演奏につなげていきたいです。
「開け、わが心よ」Öffne dich, mein ganzes Herze
ちょうど見ていた楽譜がBWV61 Nun komm, der Heiden Heiland「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」のアリア。啓示ですね。
posted by makkida at 15:16| 楽器演奏と身体 | 更新情報をチェックする
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