2022年01月13日

無伴奏プログラム@長野 解放の詩と音楽

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週末の小さなコンサートの内容のご案内です。
まず、12世紀ドイツの修道女、ビンゲンのヒルデガルトの聖母マリアのための歌でプログラムを始めます。
「いま われらに開かれたり 閉ざされていた門が」
イザヤ書60章11「あなたの城門は常に開かれていて 昼も夜も閉ざされることはなく 国々の富があなたのもとにもたらされ その王たちも導き入れられる」と通じる内容です。ヒルデガルトの目は女性に向けられています。男性優位の社会が女性に閉ざしていた門、厳しいしきたりやタブーに、今、光が差し込み、女性が明るく輝く。処女マリアが生命を受け入れることによって、すべての人の自立した新しい生き方が始まるのです。
「城門を通れ、通れ、民の道を開け。」

時が止まらないように、プログラムも続けて次へ進みます。
イタリアのボローニャとモデナで活躍したG.B.ヴィターリのヴィオローネのための音楽、そしてJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲から第1番。

19世紀終わりから20世紀前半に活躍したフィンランドのシベリウスの作品。
いつの時代も人間は国や人を支配しようとします。隣の大きな国の圧政に長く苦しめられていたフィンランド、隷属から解放され、目覚めの朝が始まります。「おお スオミ あなたの日は近づいている 夜の脅威は既に消え去り そして輝いた朝に雲雀は歌う それはまるで天空の音楽のよう・・・」有名なフィンランディア讃歌です。
遡って学生の頃に書かれたチェロのための作品、民謡風のテーマと変奏曲が続きます。

そして、ハンガリーのコダーイの作品から。
よく知られた民謡「孔雀は飛んだ」をもとに、19世紀に詩人アディ・エンドレ(1877〜1919)が詩を膨らませました。元の民謡の歌詞は、かつてオスマントルコ帝国の支配下にあったマジャール人、鎖なき囚人の自由を願った歌。
「飛べよ孔雀 飛べ 牢獄の上に 哀れな囚人たちを解放するために
孔雀は飛んだ だが囚人たちは解放されなかった
孔雀は飛んだ 哀れな囚人たちを解放するために」
コダーイは1935年にその民謡を採取し、アディ・エンドレの歌詞を使って1937年に合唱曲を作曲。時代は、ファシズムがヨーロッパを支配しつつあり、ハンガリーにも台頭した頃。コダーイは非人道的な政権に対する抗議を込めました。「孔雀は飛んだ 多くの貧しい者たちに自由を与えるために」
ここでまたイザヤ書61章1節から。
「わたしを遣わして 貧しい人に良い知らせを伝えさせるために。
打ち砕かれた心を包み 捕らわれた人には自由を つながれている人には解放を告知させるために。」

ハンガリー民謡の研究に取り組みながら、パリで短期間学んだ若きコダーイ。第1時対戦中の1915年に作曲したチェロのための大曲、無伴奏チェロソナタから第1楽章。低音弦2本を半音ずつ下げる調弦スコルダトゥーラの指示があります。ハンガリー語のアクセントやリズム、民俗音楽が土台にある音楽です。
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