
関西や関東ではあっという間に桜が満開になり、いっせいに様々な花が咲き、新緑が美しい頃。今年は花粉の量が多くて、花粉症の方はさぞお辛いこととお察しいたします。ここ長野の北部でもやっと残雪がわずかとなり、草木の芽吹きや花々が咲き始めました。散歩すると地面の暖かさが伝わります。ああ、春だなあ、と感じます。
今は受難週。
イエスがロバに乗ってエルサレムに入城した日曜には大勢の人々が喜んで迎えたのに、その週の木曜の夕食で弟子たちの足を洗い、捕らえられた時には群衆に唾を吐きかけられ、罵声を浴びせられ、十字架につけられた(その群衆の中に私がいる、と言った詩人がいる)・・・そして金曜日に息を引き取る。マタイやヨハネなどの福音書を基にした受難曲、エレミアの哀歌からの歌詞によるルソン・ド・テネブル。聖金曜日のための音楽には、ジョン・タヴナーのトレノスThrenosも。
イエスの受難を今の世の中の出来事として重ね合わせ、追体験しながら、ろうそくの灯りで演奏される・・・。イベントとしてでなく、聖書の言葉を味わうための音楽として、生活とともにありたいと渇望します。
季節は巡っても、世界で武力の暴力や人権侵害は止みません。ずっと受難が続きます。それでも、命の循環はあります。日々新しくなり、生まれ変わる可能性や希望はあります。
3月26日に松本市の波田教会で開催した「平和への祈りコンサート」は、冷たい雨の降る日でしたが、多くの方にご来場いただきました。入場料に加えて献金箱へのカンパも頂戴しました。
教会から日本チェルノブイリ連帯基金へは35,009円の寄付金を送金しましたので、ご報告申し上げます。
お越しいただいた方々、カンパをくださった方々、助けてくださった方々、多くの皆様に感謝申し上げます。
当日のプログラムをご紹介いたします。
重い内容だとお感じになられた方もいらっしゃったと思います。今起こっている戦争や人々の苦しみと、今までの人間の歴史を聖書と合わせて読み、それを音楽での祈りに表わそうとすると、軽く聴きやすいプログラムにはできません。深く心に留めて、何年後、何十年後に、ふとしたことで思い起こしていただけたら幸いです。
〜プログラム 〜
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:おお魂の牧者よ
Hildegard von Bingen (1098-1179): O pastor animarum
マルティン・ルター:〈コラール〉詩編12篇「ああ神よ、天より見そなわし」
Martin Luther (1483-1546): Psalm 12 Ach Gott vom Himmel sieh darein
〜 J. S. バッハ:カンタータ第2番より第6曲コラール「この御言をば、神よ」
J.S.Bach (1685-1750): Das wollst du, Gott, bewahren rein BWV 2-6
J. S. バッハ:無伴奏組曲第2番ニ短調 BWV 1008より
プレリュード、アルマンド
J.S.Bach (1685-1750): Suite for cello solo in D minor BWV 1008 - Prelude, Allemande
ウクライナの歌 [タラス・シェフチェンコ詩]:
バンドゥリスト、私の灰青色の鷲よ
Banduryste, orle syzyi (lyrics: Taras Shevchenko / Ukrainian Song)
ミコラ・リセンコ [タラス・シェフチェンコ詩]:広きドニプロの嵐
Mykola Lysenko (1842-1912): Reve ta stohne Dnipr shyrokyj (lyrics: Taras Shevchenko)
チャイコフスキー:
ワーニャは長椅子に座ってパイプをふかしてた(ウクライナ民謡を基に)
Pyotr Ilyich Tchaikovsky (1840-1893) : Vanya sat on the divan and smoked a pipe (based on the Ukrainian folk song)
バルトーク・ベーラ:花嫁を送り出す歌(ルテニアの旋律) 44の二重奏曲より
Bartók Béla (1881-1945): Menyaasszonybúcsúztató from 44 Duos for two violins
コロメイカ(ウクライナの踊り)
Kolomyika
バルトーク:ルテニアのコロメイカ 44の二重奏曲より
Bartók: Rutén kolomejka from 44 Duos for two violins
ルター:コラール 詩編130篇「深き淵より われ汝に呼ばわる、主よ」
M. Luther: Psalm 130 Aus tiefer Not schrei ich zu dir
リゲティ・ジョルジュ:無伴奏チェロソナタより ディアーロゴ[対話]
Ligeti György (1923-2006): Sonata for cello solo - Dialogo (1948)
ヒルデガルト:いま われらに開かれたり
Hildegard von Bingen: Nunc aperuit nobis
カタロニアのキャロル:聖母の御子、鳥の歌
Catalan carol: El cant dels ocells
アントニーン・ドヴォルジャーク:わが母の教えたまいし歌
Antonín Dvořák: Als die alte Mutter
J. S. バッハ:おお人よ、汝の大いなる罪を悲しめ (受難節コラールに基づく)
J.S.Bach: O Mensch, bewein dein Sünde groß BWV 622
J. S. バッハ:無伴奏組曲第4番 変ホ長調 BWV 1010より サラバンド
J.S.Bach: Suite for cello solo in E flat major BWV 1010 - Sarabande
ルター:〈コラール〉天にましますわれらの父よ[主の祈り]
M. Luther: Vater Unser im Himmelreich
〜 J. S. バッハ:あなたの御心がなされますように[ヨハネ受難曲第5曲]
J.S. Bach: Dein Will gescheh, Herr Gott BWV245-5
コダーイ・ゾルターン(富田牧子編曲):孔雀は飛んだ(ハンガリー民謡を基に)
Kodály Zoltán (1882-1967): Fölszallott a páva (based on the Hungarian folk song)
ヒルデガルト:慈愛は万象に満ち溢れ
Hildegard von Bingen : Caritas abundat in omnia
