
今月末27日に予定している東京での小さなコンサートのご紹介です。
昨年1月末にBEATAオルガン練習室で行ったコントラバスと角谷朋紀さんとのコンサートの第2弾です。歴史的製法で作られたガット弦を使ったバロック調整の低音弦楽器のデュオ、今回はチェロとヴィオローネ。
バロック時代に使われていたViolone(ヴィオローネ)という楽器の名前と、それがどんな楽器をさすのか、という問題は複雑で謎も多く、正解も色々あるでしょう。
今回のコンサートでは、弓で弾く低音弦楽器として、ヴィオール家族とチェロの前身、の両面を取り上げます。
有名なフレスコバルディ のように、特に楽器指定されておらず、低音楽器(バス)のため、という情報しかない作品があります。管楽器でも弦楽器でもバスの音域がカバーできれば可能です。
ヴィオローネのための作品、と言っても、6弦のヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)と似た調弦なのか、4弦の現代チェロ(C-G-D-A)の1度ずつ低くされた調弦(Bb-F-C-Gなど)、あるいは5弦のチェロかもしれない、はっきりしない問題もあります。音域(最低音と最高音)が足りるかどうか、そして重音がある場合は一緒に弾ける調弦、開放弦の鳴り方など、向き不向きが考えられます。
オルティスやロニョーニ、ボニッツィの作品のように、当時流行っていた歌を使って作曲された4、5声の声楽アンサンブル作品を基に、当時の習慣の装飾を施し編曲され器楽で楽しむことのできる作品が16、17世紀に多く書かれました。装飾は、トリルや前打音のような現代よく使われているものだけでなく、ある音から次の音の間を細かい音符(4分音符を8分音符、16分音符など、分割された音価)で即興的なパッセージ(音型)を作ることも指します。
即興演奏で必要な装飾法を学ぶための楽譜も、有難いことに残されています。ロニョーニの作品はその教則本の中に、数多くの例題の最後に位置する装飾の実践の曲。
演奏者に任された即興、といっても何でもよいのではなく、当時でも「作品を台無しにする装飾ならしない方がマシ」と言われたほど、知性やセンスが問われるのですね(笑)。
今回のプログラムは私たち二人とも初めての作曲家や種類の音楽もあります。
今まで様々な本や文献で読んでいたことが、実際に作品を演奏するために取り組むと、「ああ、こういうことだったのか」という嬉しい気づきがあります。新しい気づきを喜び、試行錯誤できる、色々試す時間を楽しむことができる音楽家との共演は、なんと貴重で素敵な、そして幸せなことでしょう!
1600年代の低音弦楽器音楽の新鮮な発見を、ご一緒に味わいませんか?
ぜひ、お越しください!
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2025年1月27日(月)
ベアータコンサートシリーズ61
富田牧子(チェロ)× 角谷朋紀(ヴィオローネ)
ヒストリカルガット弦で愉しむ音楽の対話 2
〜17世紀のイタリア音楽
【プログラム 】D.オルティス、F.ロニョーニ、フレスコバルディ 、G.コロンビ、G.タリエッティ、D.ガブリエッリ
【時間】2回公演 14:00/19:00
【場所】BEATAオルガン練習室 (東京都新宿区山吹町261 トリオタワーサウス6階)
【料金】各回20席限定、要予約 4,000円
【主催/予約】BEATA(ベアータ) ☎︎03-6317-8916
e-mail: beata(a)ab.auone-net.jp

