
今シーズンの無伴奏のプログラムで取り組んでいる、オーストラリアの作曲家スカルソープのレクイエム。
弾くたびにその音楽が身体に馴染んでいき、身の回りの自然の中にいるような、空気と一体になるような感じになります。
伝統的なヨーロッパ音楽とキリスト教のつながりは切り離せないものですが、世界には民族とその音楽(文化)はその数だけあります。
スカルソープの音楽では、西洋音楽とキリスト教カトリックの信仰と、彼が生まれ育った土地の風土や敬愛する先住民族アボリジニーの音楽(ディジェリドゥの響きがします)と信仰が、見事に融合しています。それは彼の生き方そのものなのだと思います。
頭での理解、頭の中で構築するのみにとどまらず、自然のテンポ感ーーー人の脈拍、動物の息遣い、風の速さ、光や音(波動)などーーーに身を置いて思考し仕事をし行動する、その生活に音楽があるのです。
文化や様式の融合が上部の形式でなく、作家の魂に出会う形で見られる、つまり芸術作品として昇華するとき、地球上の人類の共存(ともに生きる)を表しているのだと思います。
例えば、痛み、という言葉が出てきたとき、バロック時代には音がぶつかる不協和音で表します。
より現代では、木の枝が折れるような、それを身体で「痛い」と感じる、そのような音(音色)として表現できます。
「柔らかい」の表現は、羽毛や子猫を触っているような触感、そのような音。
ガット弦だからこそ、より体感できるように思います。
