2024年12月30日

11月23日チャリティコンサート(@信濃町)ご報告

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11月23日に長野県北部の信濃町で開催した、《羊とヤギ》による演奏による「能登半島地震と豪雨被災地支援 信濃村教会チャリティコンサート」のご報告が遅くなりました。
被災地で今年元旦から支援活動を続けている、信濃町在住の災害救援NGO「ヒューマンシールド神戸」の代表吉村誠司さんの活動に役立てていただこうと、寄付をお願いしたコンサートでした。

夏には全国各地(海外)から訪れる人々や別荘に滞在する人々で賑わう信濃村教会。秋も終わりを迎え、朝晩の冷え込みが厳しくなる頃、町の人々は冬支度に追われる時期のコンサート、どれくらいお客様に来ていただけるのか当日まで気がかりでした。
信濃町や近隣地域だけでなく、県内各地から37名のお客様にご来場いただきました。
お越しいただいた方々、告知・集客にご協力くださった方、当日お越しいただけないけれどカンパを下さった方々、多くの方のお力添えにより、小さな町でのチャリティコンサート企画を無事成功させることができました。ご支援くださった皆さま、本当にありがとうございました。
それに先立つ17日、東京は江古田のギャラリー古藤で行った《羊とヤギ》コンサートでも、このための寄付を呼びかけました。
皆様の温かなお気持ちに感謝申し上げます。
両方で集まった金額から経費を差し引き、109,000円を「ヒューマンシールド神戸」にお渡しすることができました。
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コンサート当日、寄付先の吉村さんからお寄せいただいたメッセージを牧師に読んでいただきました。以下の通りです。
「本日は、地震と豪雨災害の能登半島への支援チャリティコンサートへご来場ありがとうございます。
元旦から、少しずつ立ち上がって来た被災地は、能登半島豪雨では、再建したお店や家、ようやく入れた仮設住宅も水没し、泣く泣く故郷を離れる方々がいます。
私たち技術系ボランティアは、なんとか、寒い冬前に再び再建できるようにと今日も能登半島で活動を続けています。
また、被災地が忘れられ始めている中でのチャリティ企画を作っていただきました演奏家や教会の皆さまに感謝しています。
本日はありがとうございます。
ヒューマンシールド神戸代表 吉村誠司」

12月中旬から日本海側の地域は大雪が続いています。地球全体の気候の危機的な変動の表れでしょうか、冬になっても日本海の海水温が暖かいため、水分を多く含む重たい雪です。信濃町も新潟に近いため、年末も積雪が多く、除雪に追われる毎日です。能登半島はどんなに厳しい冬を迎えていることでしょう。
地震からもうすぐ一年が経ちます。こんな寒い時期だったか、と改めて辛い思いになります。
厳しい自然環境にある地域だからこそ、豊かな自然の恵みや、独特の風土があります。ですが、現実の生活は、東京との格差を思い知らされます。
どうか、遠く離れていても想像することを忘れないでください。
地球上で起こっていることは、すべて繋がりがあり・・・空が繋がっているように・・・自分とどこかで関わりがあるのだと思います。

戦争が終わらないまま新しい年を迎えようとしています。
お金や衣食住など目に見えるものは大事です。そして人間にとって、想像すること、精神的なこと、は生きる上で必要不可欠です。心を豊かに耕すために頭脳を与えられた人間。物の欲には限りがあるけれど、目に見えない可能性には限界がない。
希望を持って音楽を深め、広げ、続けていきたいと思います。
in terra pax.
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2024年11月22日

羊とヤギコンサート23日プログラム(2024年版)

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羊とヤギ2024年秋のツアー、いよいよ明日、待望の北信公演です。今週頭に雪が降り、10度以下の日が続く信濃町です。

コンサートを企画するにはスタッフに強力な理解者が必須です。その土地で幅の広い交友関係を持ちつつ、権威と関係なく自分で判断できる感性を持つ人に出会うのは簡単ではありません。
出会い、というのはあるものですね。コンサート開催は信頼できる協力者がいるかどうかにかかっています。
この町で自主企画はまだまだですが、とにかく無事に本番を迎えられて、本当に有難いことです。

24日の松本公演は満席になりました。いつも聴いてくださる方、近くから遠くから応援してくださる方、どうもありがとうございます!
23日の信濃村教会でのチャリティコンサートはまだお席に余裕がありそうです。両公演のプログラム内容は少し違いますが、もしよろしければ、信濃町の方へお越しいただけましたら幸いです。
明日のプログラムをご紹介します。

2024年11月23日(土)14時開演
能登半島地震と豪雨被災地支援 信濃村教会 チャリティコンサート
《羊とヤギ》 音楽による祈りと癒し
プログラム

バルトーク・ベーラ:農民の歌

イベリア半島、巡礼の旅
 『モンセラートの朱い本』(14世紀)より
   おお、輝く乙女よ
   山上に輝く星よ
   7つの悦び
   我らは死に向かって急ぐ

イタリア半島の旅
  イスタンピッタ「マンフレディーナとロッタ」(舞曲)(14世紀)    
  ジュリオ・ルーヴォ:タランテッラ (18世紀)

バルカン半島の旅
  ラチェニツァ(ブルガリアの舞曲)
  ブチミス(ブルガリアの舞曲)
 
〜休憩〜

ヒルデガルト・フォン・ビンゲン〜天啓の調和の旋律(12世紀)

 おお、魂の牧者よ
 いまわれらに開かれたり
 アレルヤ おお、仲立ちの若枝よ
 
J. S. バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調より プレリュード

J. S. バッハ:管弦楽組曲第3番 ニ長調より アリア 

バルトーク:ルーマニア民族舞曲
  
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2024年11月17日(日)ギャラリー古藤(東京・練馬区)&11月24日(日)  於 ギャラリー&カフェ憩の森(松本市)
《羊とヤギ》 富田牧子 (チェロ)× コスマス カピッツァ (パーカッション)
ヒルデガルト〜癒しの音楽 プログラム


イベリア半島の旅
 『モンセラートの朱い本』(14世紀)より Llibre vermell de Montserrat (14c.)
   おお、輝く乙女よ O Virgo splendens
   山上に輝く星よ Stella splendens in monte
   7つの悦び Los set gotxs
   我らは死に向かって急ぐ Ad mortem festinamus

 『聖母マリアのカンティガ(頌歌)集』(13世紀)より 第166番 Cantigas de Santa María (13c.) No.166

ペイレ・ダルヴェルニュ:日の短く 夜の長くなるころ
   Peire d’Alvernhe (ca1150-1215): Dejosta'ls breus jorns e'ls loncs sers


イタリア半島の旅
  トリスターノの哀歌とロッタ(舞曲)(14世紀)
Lamento di Tristano - La Rotta
サルタレッロ(舞曲)(14世紀)
   Saltarello
   
  ジュリオ・ルーヴォ:タランテッラ (18世紀)
Giulio Ruvo (fl. 1703-1716): Tarantella


バルカン半島の旅
  ラチェニツァ(ブルガリアの舞曲)
Rachenitsa
  ブチミス(ブルガリアの舞曲)
   Bucimis

〜休憩〜

ヒルデガルト・フォン・ビンゲン〜天啓の調和の旋律 (12世紀)
 おお、魂の牧者よ
  O Pastor animarum
 いまわれらに開かれたり
  Hodie aperuit nobis
 アレルヤ おお、仲立ちの若枝よ
  Alleluia. O virga, mediatrix
 おお、エクレシア(教会)よ
  O ecclesia
 
バルトーク・ベーラ:ルテニアのコロメイカ(ウクライナの舞曲)
 Bartók Béla (1881-1945): Rutén kolomejka

バルトーク:農民の歌
 Bartók Béla: Paraszti nóta (1908)

2024年11月12日

能登半島被災地支援チャリティコンサート(信濃町)

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11月23日(土)に長野県北部の信濃町にある信濃村教会で、能登半島被災地支援のチャリティコンサートを開催することになりました。
元旦の地震直後から現地で復旧活動を続けている吉村誠司さんを支援するためのコンサートで、
東京から友人のパーカッションのコスマス・カピッツァ さんを呼んでデュオの演奏をお届けします。
コンサートの収益は「ヒューマンシールド神戸」を通じて能登半島被災地の復旧・復興支援のために使われます。

元旦に起きた能登半島地震。そして9月、復旧への道を歩み始めたばかりの被災地を豪雨が襲い、再び甚大な被害をもたらしました。
能登の復興にどれほどの時間がかかることでしょうか。信濃町在住の吉村誠司さん(災害救援NGO ヒューマンシールド神戸代表)は、阪神淡路大震災をきっかけにその道に入った災害救援のエキスパートで、東日本大震災や熊本地震、各地の豪雨災害、5年前の台風19号による千曲川決壊災害ほか国内外の現場で活動を続けてきました。今回も地震発生直後に信濃町から出動、豪雨時には九州の現場から能登へ向かい、今も復旧支援を行っています。
これから冬に向けて過酷さを増す被災地を吉村さんの活動を通して支援すべく、チャリティコンサートを企画しました。信濃村教会での開催は3回目。
今回はパーカッションのコスマス・カピッツァ氏とのデュオ《羊とヤギ》で、被災された方々が一日も早く日常に戻れるよう、音楽による祈りを捧げたいと思います。
みなさま、ぜひお誘い合わせのうえお越し頂けましたら幸いです。

自然の中で心身が癒されるように、地に足がつき天と繋がる音楽にも心身に活力を与える役割があります。
そのような、太古から人間が生活の中で必要としてきた音楽の力を信じて演奏しているデュオ《羊とヤギ》をお聴きいただけましたら嬉しく存じます。
もしよろしければお越しいただけましたら、そして遠方でお出かけになれない方のご支援もいただけましたら大変有難く存じます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

能登半島地震と豪雨災害被災地支援 信濃村教会チャリティコンサート
羊とヤギ 音楽による祈りと癒し
【日時】2024年11月23日[土]14:00[13:30開場]
【場所】日本キリスト教団 信濃村教会 [長野県上水内郡信濃町柏原369−2]
【料金】 一般 2,500円 / 高校大学生 1,000円 / 小中学生 500円 未就学児無料
【予約/問合せ】 MA企画 kikaku_ma@yahoo.co.jp (メールによるご予約お問合せは前日18時まで)
        ぼーしやジャム工房(イケミヤ)電話 090-1437-1915
【チケット取扱い】 信濃村教会 電話/FAX 026−255−2075(当日連絡先)
     萬屋酒店 電話 026−255−2078 [受付時間 9:00〜19:00]
【共催】 信濃村教会 MA企画 (富田牧子)  
【協力】 萬屋酒店 ぼーしやジャム工房 (株)木田弁治商店 

【災害救援NGO ヒューマンシールド神戸(代表:吉村誠司)】
地震や洪水などの災害時に、いち早く現地に駆け付ける災害救援NGO。多くの団体・個人と
連携しながら各地で相次ぐ水害や震災の救援活動を行っている。代表・吉村氏は信濃町在住。
★今後も継続的な支援をお願いできれば幸いです。
 郵便振替 00980−7−264796 「ヒューマンシールド神戸」
(コンサート会場にも募金箱を用意いたします。寄付をお考えの方はご利用ください)

信濃村教会へのアクセス
[長野県上水内郡信濃町柏原369-2 電話026-255-2075]
しなの鉄道北しなの線「黒姫駅」下車徒歩約13分。 信越病院の向かい。
駅前広場から「しなの書房」と「旅館ふじのや」の間の道を進む。「萬屋酒店」の前を過ぎ道に沿ってまっすぐ、途中「JAながの」「野尻湖タクシー」を過ぎ、「柏原」交差点を渡り、右に「信越病院」左に「信濃村教会」の看板あり。

💡チラシ裏面20241123信濃村教会チャリティ裏.pdf
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2024年09月09日

秋の羊とヤギ公演

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この秋11月に、チェロとパーカッションのデュオ《羊とヤギ》のコンサートが東京の練馬区と長野の松本市であります。
コロナ禍を経て、昨年から「音楽は心身を癒す」という点をこのデュオの特徴として明確に打ち出しています。それ以前もその可能性を信じていましたが、精神的にも技術的にも、機が熟したように感じています。やっと目覚めた、という・・・腰を据えて音楽の原点に取り組もう、というわけです。
江古田のギャラリー古藤さんでは、もう何度もコンサートでお世話になっています。
今年は、一公演の定員を12名までに限定して、お一人お一人の心身に音とリズムの調和を直接届けたいと願っています。

そして、松本の皆さま、お待たせしました!7年ぶりのコンサートです。
自然豊かな城山公園の開放的な空気を感じながら、ゆったりした気持ちでお客様と音楽を味わいたい、と楽しみにしています。
ぜひお越しください!
会場にてお待ちしております。

2024年11月17日(日)
江古田のまち芸術祭
羊とヤギ ライヴ ”ヒルデガルト〜癒しの音楽”
富田牧子(チェロ)&コスマス カピッツァ(パーカッション)デュオ
3回公演 11:00/14:00/17:00(開場は各回15分前)
【場所】ギャラリー古藤(練馬区栄町9−16)
【料金】要予約 各回限定12名
一般4,000円/中高大学生2,000円/小学生500円 *未就学児無料(3名まで)
【主催/予約】MA企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(☆を@にタイプし直してください)メールでのお問合せは前日18時まで。
【当日連絡先】ギャラリー古藤 ☎︎03-3948-5328
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2024年11月24日(日)
〈羊とヤギ〉ライヴ ”ヒルデガルト〜癒しの音楽”
富田牧子(チェロ)&コスマス カピッツァ(パーカッション)デュオ
【時間】15:00(14:45開場)
【場所】Gallery & CAFE 憩の森[松本市城山11−17]
【料金】一般4,500円/中高大学生2,300円/小学生1,300円
未就学児無料3名まで (ドリンクご希望の方300円)
【主催/予約】MA企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp
(☆を@にタイプし直してください)メールでのお問合せは前日18時まで。
★駐車場案内★コンサートに車でご来場の際は、隣接の城山公園の駐車場をご利用ください
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2023年11月16日

出会いによる音楽〜《羊とヤギ》心身を癒す音楽

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1週間前とは打って変わって朝晩冷え込むようになりました。留守の間に黒姫山、妙高山に初冠雪がありました。
日々を回すことに精一杯の暮らしの中、世界では戦争が飛び火しており、悲惨なニュースに心が痛みます。一人一人の生活の中に平和が訪れるよう願って音楽を続けています。
京都のアイガットサロンで2回目のコンサートを終えました。
今回はバロックヴァイオリンの大内山薫さんとのデュオでした。イタリアのバロックのヴァイオリン曲を代表するコレッリのヴァイオリンソナタ。12曲ある中の後半の1曲目、勢いのあるソロヴァイオリンを模倣し、動きのある音型を持つ通奏低音が印象的な作品です。16、17世紀の音楽を得意とする、アイデア溢れるヴァイオリニストの通奏低音をさせていただけることは、とても刺激的で脳が活性化されます。そして、 J.S.バッハの有名な鍵盤作品、2声のインヴェンション、対等な2つのパートをヴァイオリンとチェロで、というアイデアが念願叶って嬉しかったです。バッハが楽譜を所蔵し、影響受けたかもしれないボンポルティのヴァイオリンと通奏低音のためのインヴェンツィオーネ。バッハとは別の「着想」で、はじめは捉えどころが今ひとつだったこの作品、本番を終えて楽しさを見出しました。そしてJ.S.バッハのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタの充実した音楽に満たされる思いでした。このような音楽ができる幸せ!
これからも、作曲家の「着想」「発明」を追体験し、新しい発見をし、理解を深める喜びを皆さまと味わうプログラムで音楽をお届けしたいと思います。

バロックのスペシャリスト達と共演する機会があるたびに、自分の未熟さ、理解の甘さを痛感してきました。
置き換え可能な誰か、ではなく、特別な出会いがあること、そしてその出会いによってコンサートが可能になることを喜び、感謝しています。出会いによる音楽活動を続けて行こうと、あらためて思いました。
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12月3日東京・練馬区のギャラリー古藤にて、コロナ禍の沈黙を経て、久しぶりの《羊とヤギ》ライヴをします。
初秋に偶然コスマスさんと会い、感染症流行や地球環境の変動、戦争によって人間が疲弊し痛めつけられている今こそ人々の心身に必要な音を届けたい、という共通の想いを確認し合い、その場で公演が決定しました。
コロナ禍の3年間にそれぞれの方法で「音」と向き合ってきました。コスマスさんは、身体の治療のために、また寺や神事で、そして二十四節気に合わせて太鼓を叩いています。一方、私は厳しい自然環境で生活し、キリスト教の祈りのための音楽、西洋音楽の原点を見直しています。
《羊とヤギ》が以前から大事にしてきた「音」。音楽が心身を癒すことができることを、言葉にして示す決意をしました。ヒルデガルトの音楽をメインに、民俗音楽のプログラムでお届けします。
ひとまわり大きくなった《羊とヤギ》の今を体験していただけますように!

13:30の回は残席1(11月18日現在 満席になりました。ありがとうございます!)、16:30の回は残席6、と残り少なくなっております。お早めにお申し込みいただけましたら幸いです。
会場でお会いできますのを楽しみにしております。
💡チラシ.pdfはこちらをご覧ください

11月23日、横浜・関内のBELUGAオルガン練習室での「おはなしコンサート」、まだお席のご用意できます。
J.S.バッハプログラムで、無伴奏チェロ組曲第1番と第3番。そしてコラール(ドイツ語による讃美歌)から。
天におられる私たちの父よVater unser im Himmelreich〜第4節の歌詞を使ったヨハネ受難曲の第5曲「あなたの御心がなされますようにDein Will gescheh, Herr Gott」、BWV126からコラール「恵みもて我らに平和を賜らんことを(恵み深く我らに平和をお与えください)Verleih uns Frieden gnadiglich」、受難曲からのコラール「いつの日かわれ去りゆくときWenn ich einmal soll scheiden」・・・これはJ.S.バッハの所蔵楽譜にあったカイザー伝のマルコ受難曲と、J.S.バッハのマタイ受難曲から、イエスが十字架上で生き絶えた直後のコラール。3つを取り上げてみたいと思います。
それから、リュートのための前奏曲BWV999のハ短調。
ヒストリカルな製法でのガット弦を張ったチェロの響きを味わっていただけたら幸いです。
ぜひお越しください。お待ちしております。
💡チラシpdfはこちらをご覧ください。

2019年09月24日

秋のコンサート@江古田

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ようやく秋空がやってきました。
台風の爪痕は深く、千葉ではまだ停電が続いている場所もあります。《羊とヤギ》で訪れた房総の方々が被害に遭われていることを心配しています。生活が元に戻るまでに、ご苦労と困難の連続だと思います。30度を越す日が続き、さぞお疲れが溜まっておられることと案じています。
都市で気温が100年で3度上昇したが人間は温暖化に適応している、乗り越えてきた、だから問題ない、お金でなんとかなる、対処できる、という考えは経済中心とする人間の奢りなのでしょう。200年前に作られた弦楽器は、少なくともさらにその100年前に生きた木を乾かして使います。名器が生まれた頃使っていた材木は、ちょうど地球が寒かった時代のもので、木の年輪が詰まっていました。いい音色、音質はまず材質から。建物や家具も同じでしょう。
地球はどうなってしまうのか・・・。
D62_1517edit2s.jpgphoto: S.Kida
11月2日に江古田のギャラリー古藤さんにて、無伴奏チェロコンサートと、チェロとパーカッションのデュオ《羊とヤギ》のコンサートを開催します。江古田音楽祭の一環です。
朝のコンサートは無伴奏チェロで、J.S.バッハの無伴奏組曲を2曲とコダーイの無伴奏曲。もちろん、バロックと現代の楽器を2台使います。
昨年ヨーロッパ旅行で訪れたドイツのライン河沿いの街、リューデスハイムにある聖ヒルデガルト修道院で夫が撮影した写真をギャラリーに展示します。修道院の教会堂では日課のミサが行われており、ドームに響く修道女たちの歌声と一緒に祈りを捧げることができます。
その雰囲気を写真で感じていただきながら、《羊とヤギ》でヒルデガルトの音楽を味わっていただければ、と願っております。
ぜひお越しください!
江古田でお会いできるのを心待ちにしております。
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2019年11月2日(土)江古田音楽祭参加公演
【場所】ギャラリー古藤(東京都練馬区栄町9−16 西武池袋線「江古田駅」西武有楽町線「新桜台駅」大江戸線「新江古田駅」)
☆富田牧子 無伴奏チェロコンサート SOLO CELLO!
〜ガット(羊腸)弦を張ったバロックと現代の楽器を使って〜

午前11:00開演(10:45開場)60分のプログラム
【プログラム】J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番ト長調&第2番ニ短調、Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタより第2楽章
【料金】大人2,000円/高校・大学生1,000円/小中学生500円  未就学児無料
☆富田牧子(チェロ)×コスマス・カピッツァ (パーカッション)デュオ
《羊とヤギ》の世界へようこそ!

午後3:00開演/午後7時開演(開場は各回15分前)
【プログラム】ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの音楽、中世のダンス、ブルガリアのダンス、バルトークの音楽など
【料金】予約2,500円(当日3,000円)/高校・大学生1,000円/小中学生500円  未就学児無料 *3時の回、幼児は床に座って聴けます
各回定員20名
☆同時開催!
「聖ヒルデガルト修道院 写真展」写真:木田新一

11月1日(金)12時〜夜7時、2日(土)の2日間開催
【ご予約・お問合せ】ギャラリー古藤 03−3948−5328
MA企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(☆を@にタイプし直してください)10月12〜14日は諸事情により、メールやファックスのお返事ができませんのでご了承ください。
💡1日の2時〜4時まで《羊とヤギ》リハーサルをすることになりました。予定が変更になり申し訳ありません。ご迷惑おかけしますがご了承ください。

💡チラシはこちら
20191102古藤ライヴ&写真展裏.pdf
20191102江古田羊ヤギ.pdf
20191102古藤ライヴ&写真展ss.jpg20191102江古田羊ヤギss.jpg

Sat. 2 November, 2019
at Gallery FURUTO, 9-16 Sakae-cho, Nerima, Tokyo
at 11.00 Cello Solo Concert
[program] J.S. Bach: Suite for cello solo No.1 in G major & No.2 in D minor, Kodály Zoltán: Sonata for cello solo- 2nd. movement
[Fees] Adult ¥2000 / Student, high school age and older ¥1000 / elementary & junior high school age: ¥500 children under age 6: free
Pecora e Capra, cello & percussion duo concert
at 3.00 pm / at 7.00 pm
[program] music of Hildegard von Bingen, Bartok, Recercada by Diego Ortiz, Medieval instrumental dances, Bulgarian dance
[Fees] Adult, advance¥2500 / doors ¥3000 / Student, high school age and older ¥1000 / elementary & junior high school age: ¥500
children under age 6: free
[Reservation] Gallery FURUTO ☎03-3948-5328
MA-kikaku 📩kikaku_ma@yahoo.co.jp (by the day before the concert)
Babies, children and adults of all ages welcome!
💡 Shinichi Kida Photo Exhibition “Abbey of St.Hildegard, Eibingen (Rüdesheim am Rhein)”

2019年03月01日

3月2日「カラダこころ ゆるむとき」羊とヤギライヴのプログラム

ヒルデガルト ・フォン・ビンゲン:
「いま われらに開かれたり」
「おお 仲立ちの若枝よ」
「アヴェマリア、おお 命の泉よ」
「おお 紫衣をまとった王の若枝と王冠よ」

パーカッションソロ
チェロソロ リゲティ:無伴奏チェロソナタより「ディアーロゴ(対話)」

中世のイスタンピッタ「ゲッタ」

😃お客さま参加お楽しみコーナー✨ 

バルトーク:ブルガリアのリズム

ブルガリアのトラキア地方の踊り
「ラチェニツァ」「ブチミス」

バルトーク:ルーマニア民俗舞曲


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✨中世の修道女・神秘家ヒルデガルトの音楽をたっぷりと!ヒルデガルトのお茶もご一緒に!
お客さま参加コーナー、新しい試みがあります。

2019 年 3 月2日(土)「カラダこころ ゆるむとき」
《羊とヤギ》ライヴ
【場所】ホームギャラリー ステッチ(西武拝島線・多摩都市モノレール「玉川上水駅」下車)東京都立川市柏町4-77-1
14:45開演(14:30 開場)
料金: 一般3500円 /15歳以下 500円 未就学児無料
お申込み: MA 企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(☆を@にタイプし直してください)
💡詳細はこちら
💡チラシはこちら
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2018年12月25日

3月2日「カラダこころ ゆるむとき」

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弦楽アンサンブルワークショップと《羊とヤギ》のライヴを組み合わせた「カラダこころ ゆるむとき」を開催します。
耳を澄まして、楽器の音を引き出す弦楽アンサンブルのワークショップでは、倍音を聴いて楽器を共鳴させ、お互いの音の調和を楽しみましょう!
初めはお一人5分程度、講師とマンツーマンでのクリニックをします。クリニックでは皆さんでそれぞれ聴き合います。そのあとアンサンブルを試みます。まず全身をほぐすことからスタート。音をよく聴き、開放弦をたっぷり鳴らし、倍音を聴きながら、オクターブ、5度、3 和音を重ね合わせていきます。こうしたアンサンブル的な思考はソロで演奏する時にもたいへん役立ちます。耳が慣れたところでバッハのコラール を弾いてみたいと思います。

《羊とヤギ》のライヴでは、床に座って聴くことができます(室内は靴を脱いでお上がり頂きます)。寝転がってもOK。もちろん椅子もあります。
乳幼児もご一緒にどうぞ!中世の修道女であり神秘家のヒルデガルト ・フォン・ビンゲンの音楽を全身に浴びたら、どんな感じでしょうね。
《羊とヤギ》と踊ろう!コーナーもあります。 中世の音楽や、ブルガリアンダンスで、音とリズムに合わせて歩いたり、踊ったり、 自由に体を動かしてみませんか?

2019 年 3 月2日(土)
場所: ホームギャラリー ステッチ(西武拝島線・多摩都市モノレール「玉川上水駅」下車)東京都立川市柏町4-77-1
12:30〜弦楽アンサンブルワークショップ
14:45〜《羊とヤギ》ライヴ

弦楽アンサンブルワークショップ
時間: 12:30(12:15 開場)〜14 時
参加費: 5000 円
定員: 6名
*譜面台はご用意いたします。
*動きやすい服装でお越しください
*チェロの方はエンドピンストッパー(ホルダー)をお持ちください。
お申込み: MA 企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(☆を@にタイプし直してください)
💡ワークショップ参加初めての方は
1)お名前 2) 楽器 3)携帯電話の番号 4)メールアドレス 5)最近練習している曲
をお知らせください。

《羊とヤギ》ライヴ
14:45開演(14:30 開場)
料金: 一般3500円 /15歳以下 500円 未就学児無料
* ワークショップ参加者は500円引き
お申込み: MA 企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(☆を@にタイプし直してください)

💡室内は備え付けスリッパをご利用いただきます。動きやすさを重視なさる方はご自身の部屋履きをご用意ください。

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チラシはこちらからご覧いただけます
20190302カラダこころ 2.pdf20190302カラダこころ裏.pdf
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2018年06月06日

羊とヤギの仙台公演「びすた〜りライヴ!2018」終了!

KIMG0166.JPG小梅をこれからつけます
爽やかな初夏の陽射しと風のなか、羊とヤギキャラバンの仙台公演は無事終了しました。仙台の長町にあるレストラン「びすた〜り」では昨年に引き続き2回目、今年もランチタイムはパスタランチのコース付き、ティータイムはケーキセット付きの2回公演をさせていただきました。びすた〜りの皆さま、お越しいただいた方々、宣伝してくださった皆さま、どうもありがとうございました。美味しい料理を楽しんだ後にじっくり音楽できるのは幸せです。いい雰囲気のなか密度の濃いコンサートとなりました。
演奏中、子どもたちには最前列の、演奏家と1、2メートルの近さのところに座って体感してもらいました。小さい人たちの反応と集中度は素晴らしいですね!身体に浸透するんですね。まっすぐに受け止めてもらえる心、姿に接するのは嬉しいです。

コンサートを開催するとき、音楽家は演奏のことのみ集中すればいい、と言われますが、昨今、いや昔からそんなことはなく、市場に乗って「売れて楽しく仲間と音楽すること」を目的とする活動でない場合、音楽家が表現し伝えたい内容は本来は自分しか分からないものです。演奏家自らが営業や告知、宣伝していると、否応無しに「なぜここでやるのか」「どういう内容なのか」「どうしてこんなに料金が高いのか」などを多くの色々な人に説明する必要があります。
今回は、震災後まだ復興途上の仙台で開催する意味をもう一度確認でき、原点に戻れたのは有り難たいことでした。
昨年《羊とヤギ》で行くまで、仙台では仙台フィルのエキストラとして、またはカルテットの仕事で演奏したことはありますが、自分で企画したことはありませんでした。演奏会はお客様に来ていただくために、当日心地よく過ごしていただく他に、何ヶ月も前からの準備を、開催場所や、宣伝を手伝っていただく方々と知り合い連携など、様々な人と一緒に作っていかなければ開催できません。
初めて「びすた〜り」を訪れて、代表の菊田氏にお話を伺った時の印象は忘れられません。障害を持つ人の就労支援の場としての役割を持ち、ゆっくりでも一緒に働く場として、地域に溶け込み、手のかかった美味しい食事を提供していること。そして、毎週のようにイベントを開催し、人が集まり、ともに時間を過ごす心地よい場所を作っていること。実際に形になっているのが感動です。その上、大震災を乗り越えてずっと続けていることを思った時、コンサートすることで支援になるのではないか、と私も励まされたのでした。
お金を支払うことは、相手の仕事や活動を支援すること。あなたの活動のおかげでこんなにいい形になりました、楽になりました、これからもいい仕事をしてくださいね、のように。私もあなたも支えられながら生きている形の表れで、人と人がつながることでもあると思うのです。そのようにお金が使われるためにも、自ら発信し動くのは大事だと思います。

来年も羊とヤギで仙台に行きたいな!
コンサートの他に、子どもたちとまたは親子のパーカッションワークショップもやってみたいです。もちろん、私もチェロのレッスンしますよ!

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当日のプログラム program

★ランチタイム★Lunch Time Concert
おお魂の牧者よ O pastor animarum/ Hildegard von Bingen

顔を赤らめし時に Cum erubuerint/ Hildegard von Bingen
トリスターノの嘆き〜ロッタ Lamento di Tristano - La Rotta
マンフレディーナとロッタ La Manfredina - La Rotta

セイキロスの墓碑銘 Seikilos Epitaph〜ミューズへの讃歌 Hymne a la Muse
〜ブルガリアのリズム(ダンスと民謡)Bulgarian rhythm (dances & songs)
〜パーカッション即興 Percussion improvisation
〜ブルガリアのダンス「ブチミス」Bulgarian dance "Bucimis"

ブルガリアのリズム Bulgarian rhythm/バルトークB.Bartók

パーカッションソロ Percussion solo

無伴奏チェロソナタより第1楽章 Sonata for solo cello -1st mov./コダーイ Z.Kodály

おお豊かな実りをもたらす根よ O vos, felices radices/ Hildegard von Bingen

ルーマニア民俗舞曲 Romanian Folk Dances/バルトーク B.Bartók


★ティータイム★Tea Time Concert
おお魂の牧者よ O pastor animarum/ Hildegard von Bingen

平和をお与えください Da pacem Domine/ グレゴリア聖歌 Gregorian chant
カンティガ(聖母マリア讃歌)166番 Cantiga de Santa Maria no.166
セイキロスの墓碑銘 Seikilos Epitaph〜ミューズへの讃歌 Hymne a la Muse
〜ブルガリアのリズム(ダンスと民謡)Bulgarian rhythm (dances & songs)
〜パーカッション即興 Percussion improvisation
〜ブルガリアのダンス「ブチミス」Bulgarian dance "Bucimis"

おお英知の力よ O virtus Sapientie/ Hildegard von Bingen

「フラトレス 」からの即興 Improvisation from "Fratres" by A.Pärt
〜鳥の歌 Song of the Birds/ Catalan carol

休憩 INTERMISSION

無伴奏チェロのための主題と変奏Thema and variations for cello solo/ シベリウス J.Sibelius

パーカッションソロ Percussion solo

おお紫衣を王の若枝と王冠よ O virga ac diadema purpuree regis/ Hildegard von Bingen

星めぐりの歌 Hoshi-meguri no uta/ 宮沢賢治 Miyazawa Kenji

2018年05月31日

ライヴの音楽

KIMG0145.JPG醤の7日目
世の中にはステキなメロディやハーモニーがいっぱい溢れています。
機械やコンピュータを使わない、生の楽器のみの音楽には、それに加えて、自然の中にあるリズム感があります。音と音の距離、または人と人の距離も、リズムのうちです。部屋の響き方や音の伝わり方も、その時のテンポやリズムに関係します。
音と音の間は直線に繋がらず、弧を描きます。上へ向かって弾かれ、頂点から自然な速さで落ちてくるのがリズムです。長く伸ばした一つの音も、ずっと同じではありません。リズムとともに膨らんだり、減衰したり、広がったり。これは自然の中にもともとあるリズムで、人間は音を発するときに毎回新たに見つけるのです。
湿度、温度も音の鳴り方に関わってきます。低気圧が近づいてきた時の身体のダルさ(実際に音が低く聴こえますし)、春の晴れた日と秋の晴れた日も少し違いますし(天の高さが違って感じられるし)、湿度が高く焼けるような溶けるような夏、乾燥した空気の硬い冬、気候が身体に及ぼす感覚は無視できません。実際に、太鼓の皮の張りが変わるので音程が違います。ガット弦も多大な影響を受けます。身体と一緒。

音は空気の振動です。それを肌で感じなければ、本来の音楽の即興性はないでしょう。
全く自由な新しくその場で作られる即興音楽(ジャズの即興も含め)でなくても、そこに集まった人のために演奏されるとき、音は当然いつも新しく生まれるもので、音楽は毎回その場で「はじめまして」です。
心がウキウキするのも、焦るのも、熱くなるのも、高揚するのも、すべて感情はリズムに結びつきます。音色は、まず感情が働き、空気の揺れ方やリズムとともに作られます。だから、音楽は直接に人へ伝わるのです。

musicの語源は古代ギリシャの音楽の女神ムーサが司る領域ムーシケーから来るものだと言います。古代ギリシャ時代には詩や劇が創造されましたが、それらは、都市国家ポリス共同体において、語り手(演じる人)と聴く人が同じ空間に存在する、つまりライヴパフォーマンスが前提でした。文字にされて広まったのではなくて、人々の前で演じられ(毎回、即興を加えたでしょう)、それを別の人が書き留めて後世に残っているのです。
語りには抑揚があり、言葉の持つリズムがあります。音程を伴うと歌になります。古い音楽は言葉を喋る音楽と言いますが、それは当然だったわけです。

今、音楽をするときにも、このような根源的なものを大事にしたいと思っています。

2018年05月29日

ヒルデガルトの音楽〜曲紹介その4[6月3日びすた〜りライヴ!]

KIMG0143.JPG醤の5日目
ビンゲンのヒルデガルトが書いた『天の啓示の調和のシンフォニア』から、2回公演で数曲ずつ演奏する予定です。
私たちは楽器のみで演奏し、言葉はありませんが、音楽から何か印象を受け想像するものがあると思います。

まず、祈りの曲から始めます。
「おお、魂の牧者よO pastor animarum」と、羊とヤギを導く牧者、天の番人に呼びかけます。大地に立って呼ぶ光景が見えます。根源的な内容を、D(レ)の旋法が安定した印象を与えます。私たちは苦しみと弱さから解放されるようまっすぐに願うのです。

修道女にとっての女性の中の女性(花の中の花)聖母マリアへ歌います。
「顔を赤らめし時にCum erubuerint」
E(ミ)から、さすらうような音の動き方で始まります。「堕落」という言葉が出てきます(蛇にそそのかされたエヴァが頭に浮かびます)が、誤りを犯して追放されても道を前へ進まなければならない。あなたの明るい大きな声で呼び、堕落の人間(魂)を高めてください。

深い神秘に満ちた言葉が歌われる予言の歌。
「おお、豊かな実りをもたらす根よO vos, felices radices」
Eから音は高みへ上がり転がるように下降します。荒れ野で叫ぶ、響き渡る燃えるような声を聴く。地上では見ることができないものを、「頂きにおいて喜びなさい」。

英知を賞賛する歌。
「おお、英知の力よO virtus sapientie」
「3つの翼があり、1つ目は高みに飛び、2つ目は地上で汗をかき、3つ目はあちこちへ動く」。Eが始終鳴り響く、空を飛び回り、風を感じる、環のように回るイメージ。

聖母マリアに。
「おお、紫衣をまとった王の若枝と王冠よO virga ac diadema purpurea regis,」
「ようこそ」人間が生まれる、生命の始まりの驚嘆。そして「なんという痛みと苦しみであろうか」。罪を背負って犠牲になる人間は、「万物の母に定められた女性」によって、「未知の傷でその子宮を痛めて、深い苦しみのうちに」生み出されたのです。しかし、「新しい光」は全ての罪を拭い去る。A(ラ)の旋法で身体感覚のある言葉を紡ぎだし丁寧に歌っていきます。

2018年05月28日

ブルガリアのリズム〜曲紹介その3[6月3日びすた〜りライヴ!]

KIMG0142.JPG醤の4日目。
ブルガリアの歌(独特な発声で、合唱が有名です)、踊りなどの民俗音楽には、拍子やリズムが特徴的なものがあります。バルトークの作品にはブルガリアのリズムがしばしば使われています。通常よく使われる2拍子、3拍子、4拍子もありますが、バルトークが用いたのは拍子の単位が細かく不規則で、非シンメトリックな、リズムパターンを繰り返す混合拍子・・・なんて説明されてもピンときませんね。ピアノのためのミクロコスモスにいくつかこの題名の曲がありますが、《羊とヤギ》のCDでは7/8拍子の曲を入れています。
ブルガリアの人たちはその踊りの様々なステップを楽しんで今でも踊っています。
耳に優しいクラシック音楽ではなかなか聴けないリズム。「うわっ難しそう」と計算し始めるのが教育を受けた音楽家で、このリズムに親しんでいる人たちは、1、2、3、4、5・・・なんて数えないでしょう。
インドの音楽ではリズムを言葉で言うことが出来ます。日本語なら、「リス、スズメ」「タカ、タカ、カケス」とか。学生時代、ソルフェージュの先生が、3連符、5連符は「ウエノ、オカチマチ」と言い換えれば簡単だ、と言ってましたが。
バルトークの残した逸話にこんなものがあります。ある時フランクフルトのラジオ放送で講演をした際、オーケストラの団員にいくつかの曲を演奏してもらった中にブルガリアの民謡があった。ところが何回やり直してもこのリズムを弾きこなすことが出来なかった、という。現在では世界中の様々な民俗音楽を聴く機会があるのでそんなことはないでしょうけど、頭で数えて(計算して)理解するのでしょう。
さて、ブルガリアの民族ダンス。地方によってたくさんの踊りがあり、それぞれ拍子も違います。《羊とヤギ》のCDに入れた「Bucimis」はトラキア地方の踊りです。これは15拍子。楽譜にすると15/16(16分の15拍子)です。恐るなかれ、タカ、タカ、タカ、タカ、タカタ、タカ、タカ、です。
古代ギリシア時代の頃からトラキアは栄えており、色々な国に支配された歴史を持ち、現在はブルガリア領、ギリシャ領、トルコ領にまたがっています。
ハンガリーもそうですが、大陸における国境を接する国々では、国境が変化したり、国がなくなったりした歴史があり、絶えず民族が移動したり移り住んでいるので、あちこちで文化が影響を受けるということが起こります。食べ物、音楽、踊り・・・。
トラキアの音楽には古いギリシャの音階によく似た増音程を含む半音階があります。Bucimisにもあります。

今回のプログラムでは、いろいろな拍子のブルガリアのリズムをパーカッションの即興を交えて続けてやってみようと考えています。変化に富んだリズムの組み合わせが即興の醍醐味!どんなリズムを叩いてくれるか楽しみです。音楽と一緒に、つい足が動いてしまうかもしれませんね!


2018年05月26日

A.ペルト〜鐘のような・・・曲紹介その2[6月3日びすた〜りライヴ!]

KIMG0139.JPG醤の三日目
大きく鳴らした鐘の響きのように。その放散された響きには複雑で、錯綜する、色々な音の要素が含まれています。豊かに鳴り響く倍音の集まり。うねりの中にいつしか聴こえてくる調和。余韻はゆるやかに広がり、そして消えて行く・・・。
エストニアの作曲家アルヴォ・ペルトは、大切でない全ての音は消えていって、調和する3つの音が残る、3和音はまるで鐘の響きのようだ、と言います。
彼はこの効果を使った作曲法をティンティナブリTintinnabuli様式と呼びます。
Tintinnabulumという古代ローマから使われてきたウィンドチャイム(風鈴)は、文字通り風に揺れて鳴らす鐘で、魔除けの役割もありました。《羊とヤギ》のCD「O Terra」の中に収録されているヒルデガルト・フォン・ビンゲンの「おおエクレシアよ」で、コスマスが冒頭で鳴らしたのがチャイムです。

静かに、そしてよどみなく流れて変化していく分散和音。その中に聴こえる単旋聖歌のような旋律のテーマが、曲を一貫して絶えず鳴り響く。強い印象を与える作品、ペルトの「フラトレス」。
ラテン語で「兄弟」を意味するFratres(frater)。祈れ、兄弟たちよ。
この作品は楽器を特定せず、様々な編成で演奏されます。
「私にとって音楽の最も高い価値は、音色そのものの向こう側にある。楽器の特別な音色は音楽の中の一部であって、最も重要な要素ではない。もしそうだとしたら、私は音楽の神秘に対して降伏することになるだろう。音楽は音楽自体で存在しなければならない・・・2つ、3つの音符・にもその神秘がなければならない。楽器には依存せずに。」(A.Pärt)

一音の鐘の響きに和音が秘められているように、彼は自分の音楽の音色を次のように例えます。
「私の音楽は全ての色を含む白色光と同じです。プリズム(三角柱)のみがその色を分けて、姿を表すことができます。このプリズムは聴き手の精神なのかもしれません」

そしてティンティナブリの技法では、1足す1は、2ではなく、1。旋律と伴奏形は一つになります。
音のひとつひとつが合わさって大きな一つになる、別の二つになるのではなく。鐘の響きも大きな一つとなります。まるで人間の身体、世界のような!
きっと宇宙ではそのようなうねりの音が聴こえているでしょう。
この調和は、ヒルデガルトの言う「天の啓示による交響楽的調和(調和のシンフォニー)」にもつながるのではないでしょうか?

2018年05月24日

曲紹介その1[6月3日びすた〜りライヴ!]

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醤(ひしお)作って1日目。
信仰は人それぞれの大事なもの。《羊とヤギ》でコンサートのプログラムを考えるとき、中世の聖母マリアの讃歌や修道女ヒルデガルト・フォン・ビンゲンなどキリスト教の音楽を入れるのは、私がクラシックを基礎にしている音楽家だからです。
どのように考えるかをキリスト教の音楽や言葉から受け取っているだけで、考えることの入り口。神様が一つであるか多数であるか、どなたであるか、形はそれぞれです。各宗教をお互いに良し悪しで批判することは、信仰の本質から離れることだと思います。
食べて寝て働いて、嫌がらせを受けることなく生きられることは、世界中の人の願いでしょう。太古から人間にとって「今日食べ物があること」は最も大切な問題でした。厳しい自然環境の中で食べ物を与えられること、日々生活をできることに感謝するのは、あらゆる信仰の原点だと思います。
草花は踏まれても起き上がり、砂漠の中のわずかな水分を得て、またはアスファルトのわずかな隙間から伸びてきます。植物は光を受けて、その土地に合った成長をし、酸素を作り空気を綺麗にしてくれます。自然は素晴らしい循環で生き続けています。
私たちの身体は、しなやかで繊細で力強い動きが自然とできたり、動かせない場所があれば他の場所を使って動作ができる。嫌なことは忘れるようにできていたり、悪い感情(脳の動かし方の癖)に支配されたり、いいことも悪いことも人に伝わります。
全ての生き物がお互いに影響を与え与えられてきました。自然の中で不思議さの前にまず謙虚であること、人間は完璧な存在ではない(完璧ってなんだろう・・・)ことを痛感し、人類は神(大いなる存在)への感謝を表すために、祭祀の中で祈りとともに歌い踊り、楽器を弾き、信仰に基づく生活をしてきました。

教えられなくても「出来る」ことがあります。小さな子どもが歌えたり、踊れたり。大人に見えないものが見えたり。見えないものと会話したり。
人間が作った社会の掟では「あり得ない」ことは、「無いこと」になってしまいます。変な人と呼ばれたり、昔なら魔女狩りもあったし、社会からはじき出されます。
ヒルデガルトは神様の声を聴くことが出来る人でした。彼女が残したものは天から与えられた言葉と音楽です。
(だからと言ってきっと自分の意思がどこかに反映されるはずだ、と思うならば、それは人それぞれが解釈すればいいでしょう)
勝手に舌が動く、という状態。
「見よ、わたしは口を開き舌は口の中で動き始める。
わたしの言葉はわたしの心を率直に表し
唇は知っていることをはっきりと語る。」旧約聖書のヨブ記33−2、3。

彼女がいかに優れた師からいい教育を受けたとしても、医学、政治、植物、鉱物、音楽、詩・・・後世の人に影響やインスピレーションを与えるものを「彼女の頭」だけで作り出したとは思えません。「私」個人がまっすぐに大いなるものとつながって、言葉や映像を受けることは、私ひとりのエゴではないと思います。自分本位で生まれたものは後々まで残らないでしょう。
一人一人の仕事は大きいですね!



2018年05月21日

6月3日羊とヤギびすた〜りライヴ!プログラム Program on June 3

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6月3日(日)《羊とヤギ》びすた〜りライヴ!プログラムです。
Programs for "Pecora e Capra" BISTARI Concert on June 3

🐏ランチタイム
おお、魂の牧者よ(ヒルデガルト・フォン・ビンゲン)
顔を赤らめし時に(ヒルデガルト・フォン・ビンゲン)
おお、豊かな実りをもたらす根よ(ヒルデガルト・フォン・ビンゲン)
トリスターノの嘆き〜ロッタ(14世紀イタリア)
セイキロスの墓碑銘(紀元前1〜2世紀トルコ)
ブルガリアのリズム
パーカッションの即興ソロ
ブルガリアのダンス「ブチミス」
Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタより1楽章
B.バルトーク:ルーマニア民俗舞曲

🐏Lunch Time
O pastor animarum (by Hildegard von Bingen)

Cum erubuerint (by Hildegard von Bingen)
Lamento di Tristano ~ La Rotta

Seikilos epitaph
Bulgarian rhythm
Percussion solo
Bulgarian dance "Bucimis"

Cello sonata -1st mov. (by Kodály Zoltán)

O vos, felices radices (by Hildegard von Bingen)

Romanian Folk Dances (by Batrók Béla)

🐐ティータイム
おお、魂の牧者よ(ヒルデガルト・フォン・ビンゲン)
おお、英知の力よ(ヒルデガルト・フォン・ビンゲン)
おお、紫衣をまとった王の若枝と王冠よ(ヒルデガルト・フォン・ビンゲン)
「フラトレス」(A.ペルト)による即興
パーカッションの即興ソロ
カタロニア民謡「鳥の歌」
カンティガ[聖母マリアを讃える歌](13世紀イベリア半島)
J.シベリウス:独奏チェロのための主題と変奏

🐐Tea Time
O pastor animarum (by Hildegard von Bingen)

O virtus sapientie (by Hildegard von Bingen)
"Fratres" (by A.Pärt) improvisation
Percussion solo
"Song of the Birds" (Catalan carol)

J.Sibelius: Thema and variations for solo cello

O virga ac diadema purpurae regis (by Hildegard von Bingen)
Cantiga166 "Como poden per sas culpas"

コンサート情報はこちら!
Concert Information is here!
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💡チラシはこちら
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2018年03月30日

今年も仙台で《羊とヤギ》ライヴ!開催します!

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チェロとパーカッションのデュオ《羊とヤギ》が6月に仙台へ行きます!

今年、私のコンサートは古民家で始まりました。
長い間に硬く引き締まった質のいい木で建てられ、大切にされてきた建物は、使う人によって様々に反応するように思います。普段コンサートに使っていない場所でも、楽器に息を通していくように、音を建物の隅々に馴染ませていくと、少しずつ息を吹き返すように応えてくれるようになり、響きが良くなることがあります。自然の資材は生きているのでしょう。楽器も生きもの。そして集まった人も一緒に呼吸して、反応し、何かが起こるのがライヴの素晴らしさですね。

築約130年の古民家(今年でオープンから10年なんですね)を再生したレストラン、「長町遊楽庵びすた〜り」では、障害を持った人も一緒に働き、ゆっくり時が流れています。びすた〜りとはネパール語で「ゆっくり」の意味。働く人がゆっくりのペースでも確実に、丁寧に、作り上げたものには、食べ物なら身体に優しく、きっといいエネルギーがあると思います。イタリアンをメインにした料理には、障害のある人が働くびすた〜りファームで作られた野菜も使われています。震災後の大変な時期を乗り越えて、美味しい食事を提供するだけでなく、人と人がつながる場として、多くの共感を得ながら続けてこられたことが素晴らしいです。その柔らかな雰囲気がとても居心地良かったので、昨年に引き続き公演を企画しました。

中世ドイツの修道女そして神秘家「ヒルデガルト・フォン・ビンゲンによる四大元素のハーモニー」をテーマに、ヒルデガルトの音楽、民俗音楽や自由な即興を織り交ぜながら、ランチタイムとティータイムそれぞれのプログラムで演奏いたします。昨年はCD"O Terra(大地よ)"の内容を中心に演奏しましたが、それ以来取り組んでいるヒルデガルトの音楽と思想からさらに広げた形を用意しています。それぞれのソロ演奏ももちろんあります。常に新しい試みや可能性を探しているデュオの今を、そしてこれからどのように発展していくか、そのアイデアの芽も楽しみにお聴きいただけたら嬉しく思います。ぜひお誘い合わせの上お越しいただけましたら幸いです。
ゆっくり美味しい食事を召し上がっていただいた後、ゆったりと《羊とヤギ》の音楽をお楽しみください。

料金には食事のお代が含まれます。
ランチタイムのお料理は、前菜盛り合わせ、スープ、パスタ、デザート&コーヒーか紅茶。子ども用はワンプレートランチです。
ティータイムは、ケーキとコーヒーか紅茶。カフェインダメな方は、直接お店の方にお尋ねして見てください。フレッシュハーブティーにしていただけるかもしれません!?

また仙台でお会いできるのを心待ちにしております!

2018年6月3日(日)《羊とヤギ》びすた〜りライヴ!2018(仙台)
【場所】長町遊楽庵びすた〜り(仙台市太白区長町3-7-1)アクセスマップ
🍴ランチタイム:11時半開場/12時〜食事/13時〜ライブ(約1時間)
【料金(ランチ付き)】
大人(高校生以上)4000円、中学生3000円、 小学生以下(子どもランチ(ワンプレート)付き) 2000円
ティータイム:15:15開場/15:30開演 
ケーキ&お茶の休憩を挟みます
【料金(ケーキセット付き)】
大人(高校生以上)3500円、中学生2000円、 小学生以下1500円 
💡乳幼児無料
【プログラム】詳細はこちらをクリック!
★ランチタイム★
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:「おお、豊かな実りをもたらす根よ」
ブルガリアのリズムによる即興、ブルガリアのダンス、B.バルトークの音楽、Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタより
★ティータイム★
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:「おお、英知の力よ」
A.ペルト「フラトレス」からの即興、カタロニア民謡「鳥の歌」、カンティガ、 J.シベリウス:無伴奏チェロのための主題と変奏
[ランチ・ティータイム共通] パーカッションによる即興 ・・・ほか
【予約】3日前までに要予約
びすた〜り☎︎022-352-7651
MA企画 📩 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(お手数ですが☆を@に変えてタイプし直してください)
💡チラシはこちら
20180603羊ヤギ@びすたーり.pdf
20180603びすたーり裏.pdf

2018年03月07日

平和の時の到来を望む!

20180304羊とヤギ_1のコピー.jpg 20180304羊とヤギ_4のコピー.jpgphoto&lighting by Shinichi Kida
ビンゲンのヒルデガルトによる四大元素のハーモニーシリーズ第2回”水”が終了しました。お越しいただいた皆さま、どうもありがとうございました。

ヒルデガルトが言うところの四大元素の「土、水、火、空気」は、それぞれ切り離して考えられないものです。互いに結びつき、影響し、関係することによって生物が作られます。その性質は明確であるものの、そこから何かを導き出すときにどちらとも取れ、はっきり分けられないのです。どの視点から考えるかによって、テーマからどのようなプログラムと内容になるか、変わってきます。
ヒルデガルトが残した「天の啓示による調和のハルモニア」約80曲の中から、選んだキーワードは「女性」でした。もちろん、「血」はキリスト教では重要な言葉ですし、水から容易に直結する言葉でもあります。聖ウルスラのために書かれた「おお、血の赤さよ」を一曲選びましたが、私は今の世において(このシリーズにおいても)この先へ続く開かれた世界にしたいと思いました。「水」の記号は子宮を指し示すことから、この言葉を歌詞の中に探すと、「女性に閉ざされていた門が開かれて、御子を宿し、痛みと苦しみを体験した末に命を産む、輝かしい喜び。この世界に新しい命を歓迎する」聖母マリアのための音楽に数多く登場するのです。その子にはこれからどんな受難が待ち受けているにもかかわらず。

宇宙が誕生し、星々や生命が次々に生まれ、今この瞬間も止まることなく勢いよく進んで行く渦巻く螺旋のうねりの中で、地球があり私たちの生活がある。どんなに人間が自然を破壊し汚して来ても、力強い自然界は青々とした生命を、息吹を作り出してくれました。でも、戦争はなくならず基地も無くならず、生活も体も心も壊され、核を大量に持つようになった現在、もうヒルデガルトが見た宇宙の終末は近いのかもしれません。
全て崩壊し、全ての汚れが消え去り、ゆっくり時間の流れが止まって行くのかもしれない。そして最後に無音の暗黒へ・・・
彼女が見たその先の平和の時「この日には愛すべき雲が細やかな空気を伴って大地に触れ、正気と実りの力で大地を湧き立たせる。・・・・・殺人のために鍛えられた全ての武器は禁止され、ただ畑の耕作に使われて人間の役に立つ道具類だけが制作を許される」
幻ではなく、見えないからと諦めるのでもなく。啓示も、夢の中で伝えてくれることも、信じなければ無かったことと同じ。そして、無関心は恐ろしいことになる・・・

なんとか音楽で形にして、いい響きにしていきたいと願っています。
明るく!笑顔で!(笑)
まだ毎回模索ですが、毎回見えて来て、一つでも二つでも輝く石が見つかっています。こうやってだんだんと羊とヤギの次のアルバム「水」が製作できればいいな、と考えています。
今年前半は「土、水」のプログラムを深めて行く場があれば嬉しいです。

行く先はロウソクの灯だけのライヴ。夢です。

空調の音を消すことができず、静寂の音楽を味わっていただけなかったのは申し訳なく思います。次回の東京での公演は、響きのある場所で開きたいと考えています。ぜひまた、そして別の土地でも、初めての方もお越しいただけましたら幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2018年03月03日

調和のシンフォニア

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Symphonia armonie celestium revelationum
ヒルデガルトの「天の啓示による調和のシンフォニア」のネウマ譜です。
今は便利ですね。楽譜がインターネット上で見つけられます。なんでも無料でいいのかどうか、現代の音楽家には難しい時代ですが。
歌う人ならこれを読みながら歌えると思いますが、楽器で弾くには小さすぎるし、言葉を調べる必要もあるので、私は歌詞を含めて五線譜に書き起こして使っています。

2018年01月26日

2018年1月28日版「ヒルデガルトによる四大元素のハーモニー プロローグ&土」プログラム

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〜おしながき〜

『アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳』より ミュゼットBWV Ahn. 126
J.S.バッハ(1685-1750):『フランス組曲第5番』BWV816より ガヴォット

ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179):おお、魂の牧者よ

ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:おお、永遠の力よ
トルバドゥールのP.ダルヴェルニュ(ca1150-1215):日の短く夜の長くなる頃

パーカッションソロ
ブルガリアのダンス ブチミス

ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:おお、豊かな実りをもたらす根よ
バルトーク・ベーラ(1881-1945): トランシルヴァニアの夕べ 〜
(ハンガリー民謡)黒い大地 〜 ジュラの野原で 〜 ケルトメグの野原で 〜
(『こどものために』より)兵士の歌〜豚飼いの踊り 〜
(2つのヴァイオリンのための44のデュオより)バグパイプ 〜
(ルーマニア民俗舞曲より)速い踊り

Z.コダーイ(1882-1967):無伴奏チェロソナタより 第2楽章
パーカッションソロ

ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:顔を赤らめし時に
H.パーセル(1659-95):『ディドとエネアス』よりラメント 私が大地に横たわる時

エスタンピ(14世紀) トリスターノのラメント 〜 ロッタ
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:聖霊は生の源の生

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番より ジーグ

2018年01月15日

ヒルデガルトによる四大元素のハーモニーその2”水”

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中世の女性神秘家ビンゲンのヒルデガルトの音楽と四大元素(土、水、火、空気)の思想からイメージを得た、全4回のシリーズです。
第2回のテーマは「水」。
水は地下から湧き出でて土の面を潤す。つねに流れている水。生き物の体内を流れる血のように、止まることのない地球の動きや時間のように。また新しい視点と響きをお楽しみいただけるプログラムです。

3月末で閉館となるグリーンプラザ、この音楽練習室では、思い起こせば自主企画コンサートを始めた2003年から、度々コンサートを開催してまいりました。アットホームな雰囲気で気軽に企画が可能な、特にパーカッションを思い切り鳴らせる場所を探すのはなかなか難しく、数少ない選択肢の一つがなくなり寂しいです。
夜遅い公演でございますが、もしよろしければお誘い合わせの上ぜひお越しください。

プログラム
「水」をテーマに曲をヒルデガルトでつなぎ、流れるように音楽を展開していきます。
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179):「血の赤さよ」「いまわれらに開かれたり」「聖なるマリアに〜紫衣をまとった王の若枝と王冠よ」
色々なパヴァーヌとパヴァーヌのリズムによる即興
オネゲル(1892-1955):「パドゥアーナ」
ペルト「フラトレス」からの即興
パーカッションソロ
ブルガリアのリズムによる即興
ブルガリアンダンス
・・・など

羊とヤギライヴ!「ヒルデガルトによる四大元素のハーモニー その2”水”」
2018年3月4日(日)19:30開演
(19:15開場)

府中グリーンプラザ 第1音楽練習室 地下2階(京王線府中駅北口)
【料金】一般2800円、ペア5000円、高校生1000円、小・中学生500円、未就学児無料
【予約】MA企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(恐れ入りますが☆を@に直してください)
💡チラシpdfはこちら20180304羊ヤギ府中.pdf20180304羊ヤギ府中チラシ裏.pdf
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