2019年04月15日

上大岡教会オープンチャーチ チェロ・コンサート〜羊がもたらす いのちのうた

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2019年4月14日(日)13:30
<4月のオープンチャーチ>チェロ・コンサート〜羊がもたらす いのちのうた
日本キリスト教団 上大岡教会([京浜急行/市営地下鉄「上大岡駅」下車 徒歩約13分]神奈川県横浜市磯子区森が丘1-4-27)
【プログラム】 
G.B.ヴィターリ(1632-92):トッカータ
J.S.バッハ(1685-1750):無伴奏チェロ組曲第1番 ト⻑調 BWV 1007
リゲティ・ジェルジュ(1923-2006):無伴奏チェロソナタ(1948 年)より ディアーロゴ(対話)
林晶彦(1955- ):チェロの為の《エッサイの若枝〜母なる木の下で》
カタロニア⺠謡[富田牧子編曲]:鳥の歌
コダーイ・ゾルターン(1882-1967):無伴奏チェロソナタ 作品8(1915 年) より 第1楽章 & 第3楽章
2019 4月上大岡教会オープンチャーチ.pdf

2019年04月11日

新たな出発に:リサイタル終了

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新たな気持ちを持って迎えたガット弦での無伴奏リサイタル、無事終了いたしました。
お越しいただいたたくさんのお客さま、近くから遠くからの応援、マネジメントの皆さま、いつも協力してくれ励ましてくれる家族や友人、皆様のおかげです。お客さまは温かでゆったりした呼吸を一緒にしてくださって、言葉にできない感覚と時間の流れを体験しました。
どうもありがとうございました!

演奏する行為に一生懸命になりすぎない、つまり、うまく弾こうと無理をしないこと。
本番へ向けて準備して行く過程で、ガット弦で弾くのに、「正確に」「正しく」音を出そうと無理をしていたことに気づきました。全ての曲を、目をつぶって、右手も左手も指先の感覚に集中し、弓と弦の当たりに集中し、心の目で見て、耳で弾く、という練習をすることで、ガット弦の繊細さ、そしてやはり、ガットは生き物だと再認識しました。そして何より、楽器の演奏は「奏法」「方法」ではなく、身体で覚えた不思議な感覚を信じることが大切だと・・・。
ガット弦で弾く意味が身体的に音楽と繋がることができ、今回のプログラムに、またコダーイを入れて良かったと思いました。バッハもコダーイもずっと弾き続けています。もっと作品を理解したいとか、弾けない技術を克服しようとか、目に見えてわかりやすい課題はいつでもあるわけですが、結局は自分と楽器と音楽との対話になる訳です。いつ弾いても新しいものが見えてきて、少しずつ音楽や人を理解して行く。気持ちのいい修行をずっと続けるために、バッハとコダーイは私にとって大切な、いや、心身に合う音楽なのです。
他の作曲家については、それぞれのチェリストが自作を弾くとき、会場によってもその日の体調によっても毎回違う状況でどう弾いていたか想像することは楽しいことです。湿度や自分の汗でうまくガット弦をスライドできない、とか、凍るように寒かったり乾燥していれば、全然違う演奏になっただろうということ。楽譜や様式がある以外には、本当に自由であるだろうということ。
「正解がない」とは面白いことです。
「損得」とか、「合理的」とか、現代社会で必要とされる、生命にとっての「不自由さ」から程遠い。「生命力を有する」有機的なガット弦はこんなことを教えてくれます。

私の音やプログラムに身を委ねて聴いて頂けるような、自然と大いなる音楽の力に包まれるような演奏を目指して、磨いていきたいです。

リサイタルを終えて、そんなに大変だった気はしないのですが、身体は嘘をつかないようです。
優しい色の花、木々の芽吹き、風、光、青い空、夕焼け、形が変わる雲、ぽっかり浮かぶ雲・・・それらが私に新たな内的な力を徐々に与えてくれます。そして、内なる音楽が身体を満たして、次の仕事へと向かうことができるだろうと信じています。

感謝とともに。

当日お配りしたプログラムを下記に載せます。

〈ガット弦で弾く無伴奏チェロ作品〜オーガニック(有機的)な音楽〉  富田牧子

 様々な金属のスチール弦からナイロン弦、金属巻きガットを経て、裸ガット弦を使うようになり、今まで身につけた技術や耳の感覚の認識を改めています。天然素材の羊の腸はしなやかで、そして呼吸する生き物のように、無理やり強引に鳴らされるのを嫌います。
 弦楽器はひとつとして同じものはなく、300、400年前の楽器は時代に合わせて調整されながら人から人へ大事に使われてきました。金属(木製やカーボン製もありますが)のエンドピンが現代の形で一般に使われるようになったのは20世紀に入ってから、スチール弦はさらに半世紀後と言ってもいいでしょう。
 音楽家が宮廷に仕えていた時代から、特にフランス革命が大きな転換期となり、一般市民が広い会場で音楽を楽しむようになりました。
 作品が書かれた当時の音楽の特質を表現するために、どのような形の弓、どのような調整やスタイルの楽器であったかを知り、まず使ってみることから始まります。弓は年代によって形の傾向があり、音楽の様式と同じで様々な形が混在しながら移り変わっていきます。
 時代だけでなく、国(土地)、各作曲家でそれぞれの(音楽)語法があります。一つ一つの違いを表現するために技術があり、その探求には終わりがありません。現代の価値観で過去の音楽を遡って見るのではなく、過去から時間の流れを追って行く作業。ガット弦を使って演奏するとき、本質を見つめ、生命の繋がりと出会っていくのだと思います。

 18世紀後半から19世紀前半、独奏楽器としてのチェロ演奏技術は飛躍的に発展します。多くの演奏家が同時に作曲家であったように、ダッラーバコ、グラツィアーニ、フランショーム、セルヴェ、ポッパーはその時代を代表するチェロ奏者でした。自分が弾くため、あるいは生徒のための教育的目的に作曲したものが多く残っています。
 ダッラーバコは、イタリア出身の音楽家の父がブリュッセルにいた時に生まれ、若い頃はドイツで活躍し、40歳をすぎてからイタリア・ヴェローナに移住し、1770年代にカプリスを作曲しました。
 弦楽器ではヴァイオリンやヴィオラを弾いたJ.S.バッハは、無伴奏チェロの可能性と魅力を引き出した、それぞれ前奏曲と5つの舞曲から成る6つの組曲を書きました。生涯ドイツから出なかったバッハですが、新しい様式を次々に取り入れました。その知的で多様なアイデアと、深い信仰に基づく高い芸術性を持つ音楽は、今に至る音楽家に影響と喜びを与え続けています。
 イタリア出身のグラツィアーニは若い頃から外国へ出て、プロシアのフリードリヒ・ウィルヘルム2世のチェロの教師になり亡くなるまでベルリンにいました。1773年にその後を継いだのがフランス出身のジャン・ピエール・デュポールです。弟のジャン・ルイも兄と共にベルリンの宮廷で働いたチェロ奏者で、現在も使われている練習曲を残しました。モーツァルトやベートーヴェンがそれぞれベルリンを訪問した折、モーツァルトはジャン・ピエールの作品からの主題を使った変奏曲を書き、ベートーヴェンは初期のチェロソナタを彼と共演しました。
 フランスのチェリスト、次はフランショーム。ポーランドからパリへ逃れてきたショパンと生涯親友でした。ショパンの晩年の名作チェロソナタは彼に献呈され、フランショームも友のピアノ曲をチェロとピアノで弾けるよう編曲しました。
 同世代のセルヴェはベルギー出身、ブリュッセルで学んだ後パリへ行き、ロシアや東欧、北欧でも演奏しました。彼が使ったストラディヴァリウスのチェロは1600年代によく使われた大きなサイズの楽器でした。楽器を支えるため(あるいはお腹が大きかったため)、セルヴェはエンドピンを使って演奏しました。エンドピンを使うことで左手の自由が生まれ高いポジションでも楽に弾けるようになります。
 オーストリア=ハンガリー帝国のプラハに生まれたポッパーは、ウィーンを中心に各地で活動しました。技巧を駆使した大小様々の曲を書き演奏しましたが、エンドピンを使うことはありませんでした。1886年からブダペストの音楽院(リスト音楽院)に新設されたチェロ科で教えました。
 その音楽院で1900年代初めに作曲科教授だったのがバルトーク、そしてコダーイでした。コダーイはケチュケメートで生まれ、現在スロヴァキア領の町で音楽に囲まれながら育ちました。ブダペストの大学では哲学科に籍を置き、語学や文学の授業を取り、同時に音楽院にも入って作曲を学びました。当時ハンガリーの音楽教育はドイツの影響を濃く受けており、ハンガリー的なものを重要視していませんでした。コダーイとバルトークは民謡調査旅行をし、研究を始めます。古い農民の歌とヨーロッパの優れた芸術音楽を同時に吸収して、狭い民族主義に陥ることはありませんでした。コダーイは哲学博士号の取得後、勉強のためにパリに行きドビュッシーの音楽を知ります。室内楽作品は主に若い頃のもので、独創的で音楽的創意に溢れた無伴奏チェロソナタは1915年に書かれました。この曲では、17、18世紀に行われていた調弦(スコルダトゥーラ)が用いられており、低い2弦を半音ずつ下げて演奏します。

2019年03月31日

春です!4月2日リサイタル

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色々な人が関わってくれて、何よりお客さまがお越し下さって、頭の中で想像している形が表現できることに感謝です。
春がやってきて、桜が咲いて、巷では新元号が騒がれていますが、周りには、介護が必要な人や、心が風邪ひいている人、思うように動けない人がいる中で、無事行われるということは奇跡かもしれない。自分自身の身体の調子も含めて、理想は大事だけれど、完璧を求めることは欲だと思う。
メンタルが問題なのだなあ、とつくづく感じるこの頃です。
音楽に携わる者の長い旅です。

メールでのお申し込み、お問い合わせは1日までになります。
夜公演のご予約は、アレグロミュージックさんまたはオペラシティチケットセンターへお電話でお申し込みいただけましたら幸いです。
昼公演については、予約無しでも大丈夫ですので、直接会場へお越しください。
よろしくお願いいたします。

2019年03月24日

4月2日無伴奏リサイタル昼公演プログラム

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昼公演では曲間に短いトークがありますので、その間の出入りはご自由にできます。
お子さんお連れの方、お手洗いに不安な方もどうぞご遠慮なくお越しください。
車椅子でお聴きになれるようにスペースも作ります。
予約無しでも大丈夫ですので、直接会場へお越しください。
みなさまお誘い合わせの上お出かけください。お待ちしております。

プログラムは次の通りです。

G.M.ダッラーバコ:無伴奏チェロのためのカプリッチョより 第1番 ハ短調

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV 1007

C.グラツィアーニ:チェロのためのカプリッチョ ハ長調

F.セルヴェ:チェロのための6つのカプリス 作品11 より 第4番 イ長調

D.ポッパー:40の練習曲 作品73より 第36番 ハ長調
     
Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタ 作品8より 第1楽章

💡詳細内容はこちら
💡maki-190402recital.pdf
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2019年4月2日(火)3:00pm開演(2:45開場)
【会場】近江楽堂東京オペラシティ3階)
【料金】高校生以上2000円/小中学生1000円 *未就学児無料
【お問合せ】ベアータ☎︎ 03−6317−8916
💡(昼夜)全体のお問い合わせ・ご予約は・・・MA企画 📩 kikaku_ma☆yahoo.co.jp (☆を@にタイプし直してください)

💡夜の部のプログラムはこちらです。
2019年4月2日(火)7:00pm開演(6:30開場)
無伴奏チェロリサイタル「ガット弦の魅力〜無伴奏チェロ作品の変遷 その1」

【場所】近江楽堂東京オペラシティ3階)
7:00pm開演(6:30開場)
【プログラム】  
  J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番
  G.M.ダッラーバコ、C.グラツィアーニ、A.フランショーム、 F.セルヴェのカプリス
  J.P.デュポール、D.ポッパーの練習曲
  Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタ 作品8
【料金】一般前売4000円[当日4500円] 
【ご予約・お問合せ】アレグロミュージック☎ ︎03−5216−7131

2019年03月19日

4月2日プログラム program for my recital

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4月2日の無伴奏チェロリサイタルのためのプログラムです

G.M.ダッラーバコ:無伴奏チェロのためのカプリッチョより 第1番 ハ短調、第11番 へ長調

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV 1007

C.グラツィアーニ:チェロのためのカプリッチョ ハ長調

J.P.デュポール:練習曲 第8番 ニ長調(J.L.デュポール「21の練習曲」より)

A.フランショーム:チェロのための12のカプリス 作品7 より 第9番 ロ短調

F.セルヴェ:チェロのための6つのカプリス 作品11 より 第4番 イ長調

D.ポッパー:40の練習曲 作品73より 第36番 ハ長調

〜休憩〜
     
Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタ 作品8 


✨Program for Solo Recital on April 2

Johann Sebastian Bach: Suite for solo cello No.1 in G major BWV 1007
Prelude / Allemande / Courante / Sarabande / Menuet I, II / Gigue

Giuseppe Marie Dall’Abaco: Eleven Caprices for cello solo
No.1 in C minor / No.11 in F major

Carlo Graziani : Caprice for Violoncello in C major

Jean Pierre Duport : Etude No.8 [Adagio cantabile] in D major (From "J.L.Duport's 21 Etudes")

Auguste Franchomme : Caprice No.9 [Larghetto con dolore] in B minor (From "Twelve Caprices op.7")

Francois Servais : Caprice No.4 [Allegretto] in A major (From "Six Caprices op.11")

David Popper : Etude No.36 [Allegro vivace] in C major (From "Forty Etudes op.73")

Kodály Zoltán : Sonata for Violoncello solo op.8
 Allegro maestoso ma appassionato / Adagio / Allegro molto vivace

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💡チラシはこちらmaki-190402recital.pdf
2019年4月2日(火)7:00pm開演(6:30開場)
無伴奏チェロリサイタル「ガット弦の魅力〜無伴奏チェロ作品の変遷 その1」

【場所】近江楽堂東京オペラシティ3階)
【料金】一般前売4000円[当日4500円] 
【ご予約・お問合せ】アレグロミュージック☎ ︎03−5216−7131
💡詳細内容記事はこちらです

✨昼間の60分公演もあります!✨3:00pm開演(2:45開場)
【料金】高校生以上2000円/小中学生1000円 *未就学児無料
【ご予約・お問合せ】ベアータ☎︎ 03−6317−8916
💡(昼夜)全体のお問い合わせ・ご予約は・・・MA企画 📩 kikaku_ma☆yahoo.co.jp (☆を@にタイプし直してください)
💡昼公演のプログラム詳細はこちらです。

2018年11月15日

ソロリサイタル2019「ガット弦の魅力」

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2019年春の無伴奏チェロリサイタル「ガット弦の魅力〜無伴奏チェロ作品の変遷 その1」のお知らせです。

「無伴奏チェロ作品の変遷」と題してはじめる新しいリサイタルシリーズでは、ガット弦を張ったバロックと現代のチェロ、バロック、クラシカル、モダン弓を使い、J.S.バッハから、19世紀に活躍したチェロ奏者たちの作品、そして20世紀のコダーイの名曲をお届けします。
今回のプログラムは楽器と弓の組み合わせによって、バロック音楽、19世紀の音楽、20世紀のコダーイの3つの部分に分かれます。

 今やバロック音楽をピリオド奏法で演奏するのは当たり前のことになりましたが、フランス革命以降の、音楽や楽器の変化が著しい19世紀の音楽については、世界的にみてもまだ十分な取り組みがなされているとはいえません。今回取り上げる19世紀の作品は、優れた演奏技術を持つチェロ奏者たちによるものです。彼らは交流のあった同時代の大作曲家たちに刺激を与え、チェロの名曲が生まれるきっかけを作りました。ベートーヴェンの初期のソナタを初演したデュポール、ショパンと親しかったフランショーム、セルヴェ、ポッパーなど、今もチェロ専攻の学生たちが練習に励むカプリスや練習曲を、今回はガット弦を使い、エンドピン無しで弾く、という当時のスタイルで演奏することを試みたいと思います(セルヴェは大きなサイズのストラディヴァリウスを弾くためにエンドピンを使いましたが、それはごく例外的なことだったようです)。
 そして20世紀に入ると、1915年にハンガリーのコダーイが独創的でスケールの大きなチェロソナタを発表します。一台のチェロとは思えないほどの音の広がりを持つ作品で、かなりの超絶技巧が要求されますが、当時はまだまだガット弦の使用が一般的でした。超絶技巧はスチール弦で弾く方が楽ですが、ガット弦で弾いてみると、ガット弦独特の音域による均一性を求めない、そしてたくさんの倍音成分を持つ性質が、この作品の魅力を際立たせるように感じられます。
 自然界の木や波、風などの音のように、抑揚、陰影、音色、表情の奥行きがあり、凹凸のある表現が可能なガット弦で、無伴奏チェロの豊かな世界を楽しんでいただけたら幸いです。
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無伴奏チェロリサイタル「ガット弦の魅力〜無伴奏チェロ作品の変遷 その1」
Makiko Tomita Solo Cello Recital 2019 “Gut Feeling!” Baroque and modern cellos played with gut strings.
2019年4月2日(火)
近江楽堂
(初台・東京オペラシティ3階)

7:00pm開演(6:30開場)
【プログラム】*プログラム詳細記事はこちら  
  J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番
  G.M.ダッラーバコ、C.グラツィアーニ、A.フランショーム、 F.セルヴェのカプリス
  L.P.デュポール、D.ポッパーの練習曲
  Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタ 作品8
【料金】一般前売4000円[当日4500円] 
【ご予約・お問合せ】アレグロミュージック☎ ︎03−5216−7131

✨昼間の60分公演もあります!✨
3:00pm開演(2:45開場)
【プログラム】*プログラム詳細はこちら 
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番
  G.M.ダッラーバコ、C.グラツィアーニ、F.セルヴェのカプリス
  Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタより第1楽章
【料金】高校生以上2000円/小中学生1000円 *未就学児無料
【ご予約・お問合せ】ベアータ☎︎ 03−6317−8916
*昼の部はチケットはございません。お電話(ベアータ)やメール(MA企画宛)にてご予約ください。

全体のお問合わせはMA(エムエー)企画へお願いいたします!ご予約も承ります!
📩 kikaku_ma☆yahoo.co.jp (☆を@にタイプし直してください)
💡チラシはこちらからご覧いただけますmaki-190402recital.pdf

2018年10月30日

ガット弦の魅力

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11月11日カフェ・プレイエルさんに於けるコンサートのプログラムのために。そして来年4月の東京でのソロリサイタルにむけて。

プレイエル、といえば。プレイエルの楽器を好んで弾いていた音楽家で、真っ先に名前が出るのはフレデリック・ショパンでしょうか。
彼が生きた19世紀前半は、チェロの演奏技術も飛躍的に発達した時代でもありました。ショパンと親しかったフランスのチェリスト、オーギュスト・フランショーム。彼にはショパンが最晩年に書いたチェロソナタが献呈されました。
ショパンがチェロのための室内楽曲を残してくれたのはなんと幸せなことでしょう!叙情的な面、孤独、内面性、 感情の幅、強い愛情、ドラマ性、拡がりのある華やかさを持つ彼の世界を表現するには、ピアノ以外には、チェロがぴったりの楽器だと思います。
余談ですが、私が学生時代初めてリサイタルを開いたときのプログラムのメインがこのチェロとピアノのためのソナタでしたので、この曲には思い入れがあります。いつか、ヒストリカルなピアノと一緒に、モダンピアノとでは理想のバランスにならないこの曲を、デュオとして弾きたいとずっと願っています。
ショパンが若い頃に書いたチェロとピアノのための「序奏と華麗なポロネーズ」は、ウィーン出身のチェリスト、ヨーゼフ・メルクに献呈されました。メルクがウィーンで活躍していたときはまだベートーヴェンも生きていて、彼のトリプルコンチェルトも演奏しました。同じウィーンの音楽家フランツ・シューベルトとも親しく、メルクはエチュード(練習曲)をシューベルトにプレゼントしています(初版が1833年なので亡くなった友人の思い出に、かもしれません)。

ベートーヴェンの活躍した19世紀前後以来、多くのチェリストは人前で演奏するために、ピアノ(鍵盤楽器)とチェロや、2つのチェロ(チェロ伴奏つきの独奏チェロ)用の作品を書き、演奏してきました。
ベートーヴェンがベルリンのフリードリヒ・ヴィルヘルム2世を訪ね、自作の1番と2番のピアノとチェロのためのソナタを演奏した時、チェロパートを弾いたのはその宮廷に仕えていたフランス出身のデュポール兄弟でした。
また、1720年代にバッハが書いた組曲のような(それ以前にもイタリアのチェロ奏者たちが書き残していますが)無伴奏で成り立つ作品の他に、それ以降のチェリストは自らの技術を魅せるため技巧を駆使したカプリスなど、または生徒たちに弾かせる教育目的に練習曲を書きました。デュポール、フランショーム、セルヴェ、ポッパー、ピアッティ・・・などなど、今日も学生たちが練習に励む作品を、ガット弦で弾いたらどうなるでしょう?
勿論、当時の弦楽器奏者はガット弦を使っていましたし、ほとんどのチェロ奏者は膝の間に楽器を挟んで演奏していました。1800年代半ばにベルギーのチェロ奏者セルヴェ(フランショームとは友人でもありました)が、贈られた大きいサイズのストラディヴァリウスを弾くためにエンドピンを使い始めても、エンドピンの使用は20世紀になるまでは主流ではなかったようです。女性のチェリストにとっては有り難い道具だったでしょうが。

エンドピンの材質によって楽器のなり方が変わります。床に刺すことによって音の伝わり方も変わります。私はエンドピンを使わない方が楽器そのものの響きがいい(その楽器本来の良さが聴こえる)と感じます。ガット弦と金属のエンドピンの相性も難しいです。楽器が持っている倍音の多くを消してしまっているように感じる時があります。

1915年にハンガリーのコダーイがチェロのために書いた独創的なスケールの大きなソナタ。作曲当時もまだガット弦が一般的に使われていました。一台のチェロと思えないほどの音の広がりを持つ作品です。音域によって均一性を求めない、そしてたくさんの倍音成分と雑味を持つガット弦だからこそ、この曲の魅力がもっと現れるかもしれません。

コンサートではそれぞれの時代の作品に合わせて、バロックとモダンに調整した2台の楽器、弓を使い分けて演奏します。
スチール弦が一般的に使用される前までの音楽を、ガット弦を張ったチェロで味わいたいと考えています。手の掛かる楽器をさらに手を掛けて、呼吸する生きた楽器をさらに生命のあるものにして、生き生きした音楽をしたいものです。
スチールよりもひと回りもふた回りも抑揚、陰影、音色、表情の奥行きがあり、凹凸のある表現が可能なガット弦で、それぞれの時代の音楽を楽しんで頂けたら幸いです。

2018年07月06日

羊の腸の音色と力強さ

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「ガット弦はあまり好きじゃない。音色がないでしょ」と、たまに言われます。
正直いうと私も以前は、ガット弦は音がこもっているし、音程が悪く聴こえると思っていました。自分で使い始めるまで、潜在能力と魅力に全く気づきませんでした。
考えてみると、20世紀初めまでは、ほとんどの有名な演奏家はガット弦を使っていたのですから、そして、まだその古い録音は現代の私たちに幸福を与えてくれるのですから、そんなに不完全で貧弱なものではないはずです。

もちろん、モダンのオーケストラやスタジオ録音の仕事には向いていません。演奏不能な現代曲もあります。
向き不向きはスチール弦だって同じです。

表現力の引き出し、喋り方の多彩さ、音色のパレットの豊富さは素晴らしいです。
私はモダン楽器にガット弦を使って、目から鱗が度々落ちています。見えないもの、見えるはずの見たかったものが見えるようになってきます。
ベートーヴェンはもちろん言うまでもありません。
ブラームス!
あんなに音を出すのに苦労したブラームスが、弾けそうなはずなのになかなかイメージのような音が楽器から引き出せなかったブラームスが。パワーが足りず私はまったく力不足だ、と感じていたけれど、一方で、こんなに重く力で弾く音楽なはずがない、と弾くたびにわからなくなっていたブラームス。
こんなに弾くのが楽しいなんて!
どんどん奏法のインスピレーションが沸きます。音を出すときに、体のどこかに止まっている、自分で無意識に止めている部分があると、楽器はよく鳴ってくれません。それがガットだと体の一部のようにわかるのです。滞りをなくすと、ドッペルコンチェルトだってどんどん鳴ってくるのです。びっくり!

シューベルトやシューマン、とにかく19世紀の音楽には欠かせないはず。
本当は、小品なども、十八番のショパンだって、ロマン派はどんどん弾きたいのだけど!

今、スチール弦を張っていて、「音が小さい、もっと鳴らせ」と言われるのにうまく音が出せない人、違和感をずっと持ち続けている人、ガット弦を張ってみたら変わるかもしれません。ガット弦に真正面から取り組んでみるのには勇気がいるかもしれませんが。今後の長い演奏活動を思えば、近道でもあると思います。
私は遠回りと寄り道をしてきました。バロックなどピリオド奏法の意義はわかるけれど、生の音を聴いたときに音楽のエネルギーを感じず、扉を開ける気持ちが動きませんでした。20年前にガット弦の良さを知ってから留学できていたら・・・と考えることもしばしば。
今、40代の演奏家は中堅の一番稼ぎ時なのでしょうが、私はとても若い気分でもあり、遠回りと寄り道を十分な経験として捉えてもいます。

2018年02月26日

ソロの録音

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バロックと現代の楽器を使ってガブリエッリ、J.S.バッハからコダーイまでソロの録音をしました。
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軽井沢のコルネさんにて。数年前にオルガンの原田靖子さんと共演させて頂いた、オーベルタンのパイプオルガンがあるお宅です。天井も高く、新建材ながら自然な響きがします。残響がよく、どんな小さな音も、音が消えて行くのも美しく聴こえます。こういう響きの中で弾くのは身体に無理がなく、お陰でストレスも少なく録音を終えられました。
特にバロック音楽やクルタークのP、PP、PPPを弾くのは、どんなにイメージが湧きやすく楽しいことでしょう!
弦楽器はやはりいい残響がある中で弾かなければうまくならないと改めて痛感しました。技術的精神的な面でも問題点が明解になります。
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ちょっと疲れたら外にでると、澄みきった青空、まっすぐ伸びる木々が時たまさわさわと動き、静寂の中、小鳥の声が高いところから聞こえてくる・・・
弾くことだけに集中できるのはなんて幸せなこと!
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ガット弦との付き合いはまだスタート地点、やっと繊細な手応えをつかみかけたところです。
気持ちがたくさんあって想いが先走る傾向なので、録音でシビアな作業をするのはいい勉強です。いかにいつも丁寧さが足りないかを思い知らされます。録音して失敗して、問題点が明らかになり、また練習して、技術を磨いて身につけていく。逃げても跳ね返ってきます。真正面から取り組むしかありません。演奏は生活態度と同じ。

20代、30代の頃、「本当にやりたいことはこれなんだろうか」居場所がここにあらずと思いながらも、演奏すればすぐ次の仕事があって、声を掛けてもらって・・・それがどんなに有難いことか今になってわかります。

とりあえず、いまの段階で出来るところまでやりました。20年逃げ続けてきたソロをCDという形にしたら、やっと自分で作る我が道が始まるのかなと思います。

2018年01月22日

茶房ライヴシリーズ第1回終了しました

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1月21日、中町蔵シック館茶房にて茶房ライヴシリーズ第一回、新春チェロコンサートは、たくさんのお客様にお集まりいただき無事終了しました。寒いなかお越しくださったみなさま、手伝ってくださったみなさま、どうもありがとうございました。市民タイムスやタウン情報をご覧になってお申し込み下さって、満席でお越しいただけなかった方々、申し訳ありませんでした。次回ぜひ、またどうぞよろしくお願いいたします。
特別ゲストは松本で活躍する友人のオルガニスト、原田靖子さんで、ベビー(リード)オルガンで共演していただきました。
プログラムは以下の通りです。(ベビーオルガンとの共演は*)

G.B.ヴィターリ(1632-1692):トッカータ
J.S.バッハ(1685-1750):無伴奏チェロ組曲第1番ト長調BWV1007
J.S.バッハ:アリオーソ(公現後第3主日のカンタータBWV156「片足は墓穴にありて我は立つ」より)*
G.フォーレ(1845-1924):子守唄*
F.P.シューベルト(1797-1828):歌曲集『冬の旅』より「ライヤー回し(辻音楽師)」*
P.I.チャイコフスキー(1840-1893):感傷的なワルツ*
休憩
Z.コダーイ(1882-1967)富田牧子編曲:「夕べの歌」
Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタ 作品8より 第1楽章、第3楽章
アイルランド民謡「サリー・ガーデン(柳の園のそばで)」*
E.ブロッホ(1850-1959):ユダヤ人の生活より「祈り」*
C.サン=サーンス(1835-1921):祈り*


2017年12月29日

茶房ライヴ@松本

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2018年初めは、長年の夢、蔵でのコンサートが実現!
〜築140年の蔵と、226歳のイタリアのチェロとの出逢い〜
中町通りの落ち着いた蔵の空間、茶房。
長い年月を経て硬く締まった材木が床や梁などに使われている蔵。
音を出してみると、 想像以上にチェロの低音がよく鳴り、高音も柔らかく、気持ちのいい理想的な響きだと感じました。 演奏者の息遣いまで聞こえる距離で、ガット (羊腸)弦を張ったチェロの音色を身体で感 じてみませんか?
J.S.バッハの無伴奏組曲から第1番、コダーイの無伴奏チェロソナタより第1&3楽章を演奏予定です。
特別ゲストの飛び入り参加で、チェロの小品も加わるかも!?
【満席御礼】このコンサートは満席になりました。どうもありがとうございます。ご予約できなかったみなさま、申し訳ありません。次回お会いできましたら嬉しく存じます。
2018年1月21日(日)17:00(16:30開場)
茶房ライヴシリーズ その1CELLO SOLO!
富田牧子(チェロ) 無伴奏チェロの愉しみ〜ガット(羊腸)弦の音色
【場所】中町・蔵シック館 茶房(長野県松本市中央2-9-15)
【料金】要予約  一般3200円/高校生以下1200円(1ドリンクつき)未就学児無料
【電話予約・問合せ】 0263−87−7723(茶房)070−4314−3735(えびはら)
💡チラシはこちら20180123茶房ライヴA4.pdf

💡当日のプログラムはこちら

2017年12月09日

クルタークの音世界

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Abbado & Wien Modern II の"Hommage A Andrei Tarkovsky"に入っているG.Kurtág「サミュエル・ベケットーことばとは何」を聴いて、作品5bサイン"Jélek"の音のイメージが見えた気がする。

2017年10月15日

10月28日(土)無伴奏チェロコンサート@ギャラリー古藤 EKO ON!!

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無伴奏チェロコンサート〜ガット(羊腸)弦を張ったバロックとモダンのチェロを使って
今年初の江古田音楽祭、江古田の街のあちこちでクラシック、ジャズ、ポピュラーのライブが期間中に160公演も!どうなるのでしょうねえ。
10月28日(土)にギャラリー古藤さんにて無伴奏チェロコンサートがあります。
最近の私のスタイル、バロックと現代の楽器を使ってJ.S.バッハと近現代の無伴奏曲を組み合わせるプログラムです。今回は、あまり弾かれることのないシベリウスの若い駆け出しの頃の作品も入れます。
ガット弦や楽器の紹介、それからコダーイやシベリウスを演奏する前に、ハンガリーやフィンランドで伝承されてきた歌も合わせてプログラムを組む予定です。
ハンガリーとフィンランドの人は、遡るとルーツが同じです。初めてヘルシンキへ行ってフィンランド語を聞いたとき、一瞬ハンガリー語かと思ったほど似た音を持っています。芸術音楽で民俗音楽を大事にしているのも共通です。ただ、フィンランドには北極圏のサーミの人たちの文化があるので、民俗音楽といっても一概に語れなさそうです。自然や生活必需品全てに魂があるという信仰の中で生きているサーミは、アイヌにも似ています。
世界には民族の数だけ音楽があり、言語、食べ物、衣装、生活の形があります。その扉を開けると、次々にそれらが飛び込んできます。
音楽を足がかりに知る、こんな楽しい体験をちょっと味わってみませんか?
リラックスしてもカジュアル過ぎず、お祭りの中の心鎮めるひとときを過ごしていただけたら嬉しく思います。

2017年10月28日(土)13:30〜14:30
江古田音楽祭〜無伴奏チェロコンサート
会場:ギャラリー古藤(練馬区栄町9−16)
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調 BWV1009
J.シベリウス:無伴奏チェロのための主題と変奏
Z.コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ 作品8より
・・・他
【公式WEB】江古田音楽祭http://www.eko-on.jp
【予約・問合せ】fwge7555@mb.infoweb.ne.jp(ギャラリー古藤)
MA企画でも予約受け付けます。kikaku_ma☆yahoo.co.jp(恐れ入りますが☆を@にタイプし直してください)

2017年09月26日

コダーイの誕生日に🎂〜BELUGAコンサート

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12月16日(土)富田牧子チェロコンサート(3回シリーズ)
「vol.3 無伴奏チェロの愉しみ〜ガット弦で弾くJ.S.バッハ、コダーイ、クルターク〜」
December 16, 2017 BELUGA Concert Series〜Cello Solo〜play J.S.Bach, G.Kurtág & Z.Kodály with gut strings
on Mr Kodály's 135th Birthday


横浜は関内の賑やかな通りを入った裏路地、ラーメン屋や牛カツ屋、居酒屋を超えてたどり着く、音楽の隠れ家ベルーガオルガン練習室。ここでのコンサート3回目は、コダーイの誕生日に合わせて12月16日となりました。
コダーイ氏は敬虔なカトリック教徒で、日曜日にはアンドラッシー通りを通ってバジリカ(聖イシュトバーン大聖堂)へ出かけたそうです。とても大きな聖堂なので、クリスマスは華やかなお祝いだったでしょうね。私はここよりも、ブダの城にあるマーチャーシュ教会のコンサートや、用事ついでにカルヴィン広場の改革派教会によく立ち寄っていました。

さて今回は、コダーイはいよいよ最終楽章、クルタークの小品、そしてJ.S.バッハは5番の組曲です。
コダーイの無伴奏ソナタでは低い2つの弦を半音(短2度)ずつ下げる調弦(G→F# (Fis)、C→B (H))が指定されています。通常の調弦(チェロでは高い方からA、D、G、C)を変えて合わせる変則的な調弦方法をスコルダトゥーラscordaturaといいます。イタリア語の意味にはもともと「楽器の調子が狂っていること」とあることから想像すると、特殊な調弦でいつもと違う共鳴が起こる違和感が面白く感じられます。特にヴァイオリン属は完全5度調弦。そこから完全音程でない、ロ短調h-Moll(+ラA)の調弦になるということは・・・ぜひ、実際に聴いてみてください!
バッハのc-mollの組曲でも一番高い弦AをGに下げます。せっかくA線を下げるなら、ドメニコ・ガブリエッリのリチェルカーレも加えましょう。
クルタークは第一回で弾いた作品5の3曲をもう一度取り上げます。前置きがあって、テーマがあって展開して・・・という伝統的な手法ではなく、熟考の末に極限まで音を少なくして、しかも即興的で、あっと言う間に過ぎてしまう、まるで現代美術に出会ったような作品。「???」と思っているうちに終わってしまい、一回聴いてもよくわからない、違和感だけ残った、または覚えていない方もほとんどでしょう。目の前で聴く機会も多くはないでしょうから、これもご縁のひとつで。そのうち、クルターク全曲のコンサートはやってみたいと思います。

ガット弦を使う、ということに正解な答えはないと思います。何が正しい音なのか、という意味において。バロックの調整かモダンの調整かによっても、いい音や可能な表現は変わってきます。録音をしてみると、いかに音を出すことに対して神経が行き届いていないか、理解が浅いか、無知さを痛感します。音とは何か、気持ちいい音程とは何か、常に問われます。スチール弦に対してガットは振動がものすごく大きい。人口のものではない素材が持つ強靭さが、たくさんの音の成分を生みます。弓の角度、弓の毛の量、速さ、圧力、そしてイメージや感情に敏感に反応する説明しがたい弓の「当たり」が、ガット弦の表現に無限の可能性を与えます。裏返る音か、高音の倍音なのか。聴こえない振動も音に含まれます。
最近、私の楽器のかかりつけ楽器職人と話題になっていること。
ガット弦はスチールやナイロンに比べて、たくさんの音の成分(例えばAを出したときに何が聴こえるか)を含む。それは多くの倍音、弦の振幅、楽器本体への伝わり方、色々なことが機械でも計測できる。
動物の腸は強い。身体の中にいるときは消化液にも耐え、常に働いている。タンパク質の構造が分かる人ならもっと具体的で面白いだろう。ガット弦だけでなく、動物の一部を使った楽器が持つ音の存在感はそういうところから来るのではないか。雑味と思われる要素や、可聴範囲を超えた音もあるから、心地よかったりするのではないか。心に伝わる力が強いのではないだろうか。
演奏する本人はその命の振動を直接肌で感じます。音を耳から通すだけではなく、骨、皮膚から。

一度として同じ音はなく、正解はないのです。
楽器を知り、音を知り、身体との関係を知り、出来ることが見つかる。そんな小さな発見が、表現の幅を大きくしてくれます。生涯、発展途上です。

もしよろしければ、今年2017年が没後50年のコダーイの135歳の誕生日(12月16日)🎂を、225歳の私のチェロ(ずっとNoNameと思っていたのが、最近製作者名が判明したことも祝って!)と一緒にお祝いしませんか!

12月16日(土)富田牧子チェロコンサート(3回シリーズ)
「vol.3 無伴奏チェロの愉しみ〜ガット弦で弾くJ.S.バッハ、コダーイ、クルターク〜」

と き:2017年12月16日(土)17時00分(開場15分前)
ところ:BELUGAオルガン練習室(横浜・JR京浜東北線・関内駅から3分)
料 金:4,000円 / 7,500円(ペア券)(茶菓付き)
《プログラム》
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調BWV1011
Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタ 作品8より 第3楽章
G.クルターク:「しるし、遊び、メッセージ」より
💡チラシ表20171216BELUGA cello.pdf
【ご予約・お問い合わせ】
ご予約には、コンサート名・枚数・お名前・ご連絡先を記載の上、メールにてお申込みください。お電話でも承ります。ご予約後、こちらから改めてご連絡いたします。
BELUGAオルガン練習室
メール:belugaorgan@mbr.nifty.com
電話:045-662-5536(不定休)

2017年06月06日

G.クルタークの器楽作品

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クルターク夫妻の素敵な写真。
子どもの時にピアノで遊んだ、高音と低音を交互に鳴らしたり、ペダルを踏みっぱなしにして音階を弾いたり、そんなのを思い出す。遊びのようだけれども、ジェルジュ氏とマールタ夫人の出すピアノの音は温かく、澄んでいて、迷いがなくシンプルだ。ツィンバロンのイメージなんだろうなあ、とか、小さい生き物が飛び跳ねてユーモラスだったり、いたずらしたのが失敗して丸見えになっちゃったり、尻もちついたり、さーっと動く風だったり、いろいろなイメージが目に浮かぶ。まさに「遊び」Játékok(Games)。
抽象画のような音世界以外にも、1950年ごろの民謡風な連弾曲もある。
こんなに自在に楽器で遊べると楽しいだろうなぁ・・・

クルターク・ジェルジュの弦楽器のために書かれた作品の特徴について、まず、一つの音から始まって次へまた次へと辿る音のつながり。コンサートでは数十秒で終わる曲を題材にちょっとお話してみようと思います。
つぎに、言葉。発音がそのまま音になる。日記や手紙の断片を音楽にしたカフカ断章が明解かもしれない。器楽の音は言葉で、歌の言葉は音である。音による詩とも言えるだろうか。


音が多くなく曲が短いところがウェーベルンに似ている、とよく引き合いに出されるが、あちらは20世紀前後のウィーンの世紀末の匂いが充満していて、空間の密度などまったく違うし別世界のように感じる。感覚的だけれども。

クルタークの友人たちの思い出に書いたものは、それぞれ大切な友人や過去の芸術家に対する個人的なメッセージだ。彼の考える友人像だったり、残した詩や言葉だったり、その作曲家のスタイルを使って音にしたものだ。彼が惹かれた人や物を知ることは、思考の道筋に少しでも近づく手がかりになるのではないかと思う。
例えば、よく取り上げられるハンガリーの詩人ピリンスキー・ヤーノシュ(1921-1981)。クルタークの5歳年上で、第二次大戦中に強制収容所で経験し、戦後の共産主義の独裁政権下ハンガリーの難しい時代に生きた、カトリック教徒としての土台がある人だ。これは詩人自身の朗読による彼の傑作"Apokrif(Apocryphaアポクリフ(聖書外典))"


なぜ作曲家が「ゲーム」「メッセージ」「しるし」や「誰それへのオマージュ」を書いたのか、少しの文章の情報はあったとしても、本人しか解らない背景や思考やイメージ、その人との思い出があるのだと思う。調べれば調べるだけ見えてくるものがあり、すこしずつ近づくことができる。けれども、これはこうだ、とはっきり解らない。

音はダイレクトにイメージを伝えることができる。回り回って、一番のヒントは楽譜にある。
行きつく先は、言葉を超越してダイレクトに来る質感、温度感・・・つまり音そのもの、でありたい。

もう一つ。作曲家による演奏で。なんて美しいグリッサンド!まるでハープで弾いているようにも聴こえ、ときにダイナミック。白、ピンク、赤紫の光で照らされた、とても柔らかな雲の上を漂っているような。

2017年05月13日

無伴奏シリーズ@ベルーガ

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先日は仙台に行き一日街中歩き回って、《羊とヤギ》コンサートのチラシをあちらこちらに置かせて貰った。東京にいると情報や人の多さに参って、軽く引きこもりになってしまう。仙台では中心地は徒歩で動き回れるし、地下鉄でも人と人との空間が保たれているので、移動が身軽にできる。大きなコンサートやセミナーなどの情報が多くないため、共有し易い気がする。チラシを置かせてください、と頼んで、断られた場所がひとつもなかったのには驚いた。とにかく、東京で私はちっとも必要な情報を得られていないことに改めて気づいた。この点はいつになっても不可能であろう。

さて、横浜は関内のベルーガオルガン練習室に於ける、バロックと現代のスタイルの楽器を使った無伴奏シリーズ、第2回は6月11日です。
「古楽」や「モダン」という枠で分けられると、その分野で名を成していない中途半端な音楽家ではありますが、私は「音楽」は音楽、音楽が生かされ、人間も楽器も生かされればいいと考えています。ピリオド奏法をするのは作品の良さを最大限に味わえるため、それによって自分自身も気持ち良いからです。
共鳴してくださる方が少しずつ増えて、生命力のある音楽が拡がり、それぞれ個人の身体と心が楽になることを願っています。

無伴奏シリーズに向けてはこちらをご覧ください。
http://tomitamakiko.seesaa.net/article/448802581.html
https://belugaorgan.wordpress.com/2017/04/20/1045/

2017年05月08日

ガットの喋りと歌で表す宇宙

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BELUGAコンサートシリーズ、第2回にむけて。
今年はコダーイ没後50年です。節目の年に、J.S.バッハと組み合わせたシリーズで演奏できる機会が持てたことを幸いに思います。

第1回は、チェロという楽器が現れた1600年代の、イタリア・ボローニャで活躍したヴィターリとD.ガブリエッリを加え、J.S.バッハへ繋ぎました。前回の不足も生かしたく、次回は、20、21世紀のコダーイとクルタークに至る旅も工夫するつもりです。バッハを敬愛した二人のハンガリーの作曲家は、独奏チェロのために個性的な作品を残してくれました。バッハの組曲が書かれてから、コダーイの無伴奏ソナタは約200年、クルタークの方は260年〜290年後に生まれました。バッハの無伴奏チェロ組曲という圧倒的な存在が、小さな川(Bach)のように近現代の音楽家それぞれに注ぎ込む、またはその逆を想像できるようなプログラムを構成したいと思います。

大雑把な歴史の流れを踏まえた上で、それぞれの音楽家の独自性を見ていきたいと思います。
教会や宮廷の王侯貴族のための限られた場所での音楽から、フランス革命が起こり市民が生活の中で芸術音楽を楽しむようになる。職人的だったものが、音楽家も個として自立し、やがてスターのような演奏家が現れる。サロンのような小さな空間で演奏されていたものが、1000人以上の大ホールで演奏される音楽になる。産業革命が及ぼす楽器の移り変わり。20世紀前半は大きな戦争が今に至る悲劇を引きずり、コンピュー社会が人々の生活に大きく影響を与え、それぞれの音楽家が色々なスタイルで活動する現代・・・。
そんな膨大な情報量を、一つのコンサートで消化するのは不可能です。

大きな歴史の流れの中でも、個々人が何百年、何千年の昔の何かと直接つながることはあります。
コダーイやクルタークが一人の人間としてバッハを見つめ、それを私が捉え、今、演奏する不思議さ!
それは、単に過去に遡って古いものを再現しているだけではありません。
自然界に存在する素材を使った、木の楽器に羊の腸の(ガット)弦を張り、それぞれの音楽家の世界の人となって言葉を喋り、歌を奏でる、という私だけで成り立たない、私個人をも離れた人間の仕事。何が起こるか分からない良さ、ワクワクも含めて(生きもののである木とガットは、まさに何が起こるかわからない)・・・。ガット弦の多彩な表現や喋り方は弾くたびに新しいものです。何年も使っている楽器とはいえ、いつも新鮮な気持ちで彼(彼女)の調子に耳を傾けながら弓を当て、私の呼吸と一緒になると、楽器が鳴り出し私の身体が巡り出します。
人間の身体や楽器の小さな宇宙から、芸術、そして大きな宇宙まで、自然に繋がるような音楽をしたいと思います。

2017年6月11日(日)昼の部13時半/夜の部17時半
BELUGAコンサートシリーズ
チェロコンサート全3回シリーズ vol.2
「無伴奏チェロの愉しみ〜ガット弦で弾く J.S.バッハ、コダーイ、クルターク」

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV1009
Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタ 作品8より 第2楽章
G.クルターク:『しるし、遊び、メッセージ』より 「バラトンボグラールの思い出〜シェルター・ユディットの誕生日に」、「ソクラテスの別れ」
・・・ほか
於 BELUGAオルガン練習室(横浜市中区常盤町3−34 和風ビル202)
💡チラシはこちら20170611Beluga.pdf

2017年03月12日

ガット弦で言葉を喋る

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あることに気づいて、その切り口から見てみると、同じものの別の面が見えて来る。音楽でも同じこと。
人には「できること」があんなにも、こんなにもあると思えばいい、と言うのに、自分のこととなると「あれもできない」「これもできない」と出来ていないことばかり目につく。ある日突然「まったく出来ていない」と愕然とする。もっとも、「私にはこれが出来る」と胸を張って言えることなど100に一つくらいだけれど。
語学は大事だ。
ドイツ語圏の音楽はドイツ語、ハンガリーの音楽はハンガリー語、フランスもイタリアもどこの音楽も、作曲家の母語での喋り方や発音、発声や文章の作り方と密接に関わっている。たとえ言葉がついていない器楽作品でも、その言語は直接つながっており、音楽による言語である。特にバッハは、ドイツ語で話すこと、そのものだ。
例えば、リズムは単語のリズムだし、休符は喋り方である。リズムは音符の正しい分割ではなく、言葉の抑揚でもある。
身体のどこから言葉が発せられるかは、言語によって違う。これは音楽の本質だと思う。
そして、ガット弦だからこそ微妙で豊かな喋り方や発音、そして核心的な表現が可能になる。

こうやって理解が一つ増えると、レパートリーも新たに学び直し。
結局、いつまでたっても「出来る」なんて言えないのだが、「解る」ことを増やしていくだけなのかと思う。

何度も弾いているバッハやコダーイを、また新たに見直しています。私にとっては「ガット弦で弾く愉しみ」、かな。
ベルーガオルガン練習室の響きならクルタークを弾くのに向いているかもしれない、と思い組み合わせました。沈黙、最小限の音、強い音圧が共存し、言葉(セリフ)があり、幻想や夢のように空間で自由自在に動き、力が抜けて聡明な音楽。音そのものが印象となる・・・。
androidapp/658160809163810-1142538910.pngKurtag: Signs I
コダーイはもちろん民謡、ハンガリー語の歌。歌はチェロの声、老若男女の人間の声。ときに一人、大平原に佇む。ときに大勢で踊るダンス。そして、一人オーケストラ。

バロックと現代のスタイルのチェロと弓、それぞれの楽器や作品の簡単な紹介も交えて演奏します。アットホームな場で、ガット弦での音楽の喋りと歌を味わっていただけましたら幸いです。もしよろしければお越しください。

2017年4月1日(土)昼の部14時/夜の部18時
BELUGAコンサートシリーズ
チェロコンサート全3回シリーズ vol.1
「無伴奏チェロの愉しみ〜ガット弦で弾く J.S.バッハ、コダーイ、クルターク」

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV1008
Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタ 作品8より 第1楽章
G.クルターク:「しるし、遊び、伝言」より 作品5b I,II,III ほか
於 BELUGAオルガン練習室(横浜市中区常盤町3−34 和風ビル202)
💡コンサートについてのメッセージはこちら
💡チラシ20170401表.pdf
20170401裏.pdf
料金:4000円/ペア7500円
予約・問合:☎︎045−662−5536(不定休) 
      📩 belugaorgan☆mbr.nifty.com (☆を@に直してください)

2016年12月20日

J.S.Bach & G.Kurtag

ギャラリー「ときの忘れもの」さんでの今年全4回のコンサートシリーズ、いよいよ22日が最終回!
クルタークはそれぞれとても短い曲ですし、詩が付いているものもあるので、一度弾いたあとに詩を読んでもう一度演奏する、ということもやってみたいと思います。
ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート 
第4回「ガット弦で弾く、J.S.バッハとG.クルタークの無伴奏チェロ作品」

曲目:
J.S.バッハ (1685-1750)
無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV1008より
 プレリュード
 アルマンド
 クーラント
G.クルターク (1926- )
 メッセージ −クリスチャン・ズッターへの慰め
 メッセージ −クリスチャン・ズッターへの慰め(アリオモード)
 ピリンスキー・ヤーノシュ「ジェラール・ド・ネルヴァル」
 民謡風に
 ヴィルハイム・フェレンツを悼んで
 バラトンボグラールの思い出〜シェルター・ユディットの誕生日に
 ブルム・タマーシュの思い出に
 アンチェル・ジェルジュの思い出に
 ソクラテスの別れ
J.S.バッハ
無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV1008 より
 サラバンド
 メヌエット1、2
 ジーグ

日時:2016年12月22日(木)18時〜
会場:ときの忘れもの
出演:富田牧子(チェロ)
プロデュース:大野幸

ご予約はこちら↓「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。
E-maii. info@tokinowasuremono.com

2016年10月06日

木坂宏次朗氏展"Monas(モナス)"のためのコンサート

イメージは芸術家の頭のなかにある断片や言葉から生まれるもの。突如出てきたようでいて、直感というのは、潜在的なものから発する。創造する人のなかにある意志を持ったアイデアは、作品を創作していく過程で、裏から表から、内面から外観から、あちこちの角度から思考され、その身体を動かしていく。
もうこれ以上分割できない「個」「単一」Monas(Monade)。
別の個である他の人が複数集まって、同じ空間で共同作業をすることで、アイデアはさらに発展してゆく。
音楽ではそれぞれの作品が、意志を持った時間を持つ。絵を描くことも、一筆一筆が時間の経過、足跡を表す。ここから向こうへ。不思議と、それを感じる絵もある。
作り出す人はイメージから始まり、見る人や聴く人はイメージする。創造する者の内面の動きを辿ることができるだろうか。

京都在住の美術家、木坂宏次朗さんの「モナス、光の始まり」と題する展覧会のなかで、ソロコンサートをいたします。町家を改築した森田建築設計事務所さんの、雰囲気のいい、そして音響もいい素敵な空間で、木坂さんの絵の世界を味わい、そこに音楽がどう加わるか・・・その場に身を置き、音を出すのが楽しみです。

森田建築設計事務所のHPで詳細が御覧いただけます。
展覧会
2016年10月21日(金), 22(土)
27日(木) → 30日(日)   
時間 11:00 ~ 18:00
( 22日  チェロコンサートの為16時半にて展覧会終了、準備の為一度閉場 )
場所:上門前の家 森田建築設計事務所(京都市北区紫野上門前町5)  

10月22日(土) 富田牧子 チェロコンサート
〜ガット(羊腸)弦で弾く 独奏チェロのための音楽〜
 
プログラム
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番
P.ヒンデミット:ソナタ作品25
J.シベリウス:主題と変奏
Z.コダーイ:ソナタ作品8より 第1楽章
G.クルターク:サイン I、II、III 作品5b 
              
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