自らを助ける。
前の首相が口にしていた意味ではなく。そういう圧力やストレスや理不尽な事、行き詰っている現状から、自分の心が少しでも逃れる時間を作って、自分を楽にする、という話です。
新型コロナウィルス流行がこの先まだ何年続くかわかりません。自分の仕事がこの先どのようにやっていけるか、新しく人と出会う機会を作れるか、何処でどうやって生活していけるかもわかりません。
家を出たくても出られない、悶々とした未成年に舞い戻ったよう・・・。
「家にいよう」なんて言われて、ものすごくストレス貯めている子どもたち、苦しんでいる人たちにとって、今は闇の中。
自分の夢中になれること、集中できること、これをしている間は嫌なことを忘れる、ということに没頭できる時があったらいいな。
家にいて「手伝いもしない!」と親に怒られようと、自分がキレなければ、その方がいい。
怒りの方が始末が悪い。怒りは周りの人の心身を害する。周りも自分も傷つける。
「今日の糧をお与えください。」
今日もご飯が食べられた。ありがとうございます。
周りの人とうまくいかなくても、仕事が継続的になくても、食べられさえすればなんとかなる。
また明日から大雪が降るそうです。
隣近所の人が雪かきしてなくても、人にはいろんな事情があるんです。体が痛いかもしれない、熱があるかもしなれない、風邪っぽいかもしれない、明日大事な試験や本番があるかもしれない。
身体が丈夫な人や動ける人には、どうして動かないのか理解できない、という考えもあるみたいです。
動けない人もいるんです。
動ける人が動けばいい。
バランスよく、なんでも食べたり、鍛えたり、運動するのがいい、という人もいます。
スポーツ選手でも膝に故障があって正座ができない人もいる。ある部分が動かなくても、スポーツを楽しんだり、専門にしている人がいます。
楽器演奏でもそうです。
骨格がよく、全ての筋肉が強く、柔軟でよく動く、体に恵まれた人だけがいい音楽をできるわけではありません。指が10本ない人もいるし、関節が硬い、腰が弱い、身体が小さい、細い、長時間立って(座って)いられない、耳が繊細すぎる、目が見えない(耳が聴こえない!)・・・弱いところを持っている人も音楽を楽しんだり、素晴らしい音楽の感覚を持っていたりします。
音楽は私たちを助けてくれます。
人とうまくいかなくて仕事もなくて、明日が来るのが嫌だというときでも、音楽に深く入っていければ今を生きられるんです。自分が呼吸できるし、安心できて、幸せな気持ちになれる。24時間のうちにそんな時間が10分でもあれば、1分でも音楽に触れれば、そのエッセンスをもらえれば、生きられる。
コンサートに足を運んでくださる方に、そのような時を過ごしていただけたら、素晴らしいだろうなあ!
新しい年始めのソロ、そして誕生月の、今週末の長野での小さなコンサートで、心を満たす時にできたらと思います。
楽器を弾けるかどうか、音楽を続けられるかどうか。自分自身がやるかどうか、これだけです。
家事や雪かきで身体を痛めるのは言い訳です。外に一歩も出られなくても、音楽家でありたいかどうか。
自らを助ける。
身体を痛めてでも弾けるまで長時間弾き続けるのは、経験上、大事なものを壊しているように思います。
楽器を弾く前に10分でも、身体を緩め、ゆっくり深呼吸し、暖かな血が廻るようにする時間を作る。弾いていて痛みを感じたらすぐやめる。こちらの方が楽なようでいて、ずっと忍耐強さが必要です。自分と向き合う、精神的に豊かな、瞑想のような音楽になります。

20220115cellosoloカフェパーシモン.pdf