2020年04月23日

プレーンガット弦をモダン楽器に張ること

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子どもたちのための哲学、philosophy for children (p4c) が小学校の授業で実践されているんですね。
「世界ってなんだろう」「生きるとはどういうことか」「平和とはなんだろう」「働くとはどういうことか」それぞれが「なんでだろう」と不思議に思い、自分の言葉で考え、意見を言い、聞き、質問し合う。子どもたちは真剣な目で、上手く言えなくても「こう思う。なぜなら・・・だから」と一生懸命話す。子どもたちだけでなく、学生も、働いている人も、高齢者も、誰でも少人数で「ともに考える」機会があるといい。
疑問を持ち自分で考えることは、民主的な社会の基本ですね。

全国の学校では3月頭に突然、一斉に休校を告げられ、みんなショックを受けた。先生たちは対応に追われ、生活して行くのがやっとという家庭もある中で、親たちもやり繰りに奮闘。では、子どもたちはどう思っているのだろう?一番ショックだったんじゃないかな。オトナの決めることって勝手だよ。コドモ扱いしないで。言いたいこと、考えていること、感じること、たくさんあるんじゃないかな。
授業がストップしているのも心配だけれども、子どもたち同士や先生とのふだんの対話の中で感じること思うことを話していた時間が、今、ありますか?
もし政府が休校にすると決めるなら、その時点で、全国の各家庭でリモート授業が可能な状況を準備できていなくてはいけないのでは?

さて。
プレーンガット弦を使うことは、「どうしてだろう」「どうなっているんだろう」と考えるのが好きな人に向いています(笑)!

弦楽器に張っている金属(スチール)やナイロン(金属巻も)の弦からプレーンガットに張り替えて、すぐ音が鳴らないことに戸惑う。はてさて、これはどうしよう。腹を括るしかない(ガットだけに)。
まず、調整を変えないといけません。弓で大きな音をブンっと鳴らしたときに、または強く弾いたときに、プレーンガット(金属巻きも)の振動は幅広い。スチール弦を張る幅のままだと、弦がぶつかり合ってしまいます。スチールやナイロンの方がガットより張力が強いのでしょう。ナットと駒を取り替え、場合によっては指板の横幅を確保する必要があります。
最高弦の音程の高さについては難しいです。例えば弦が同じ長さとして、スチールと同じくらいの音程までガットは楽に上げることができません。最も高音弦がバチン、と切れるギリギリの所の音程が問題となります。
ヴァイオリンのように楽器が小さいと高い音、反対にコントラバスのように大きい楽器では低い音になるので分かるように、弦の長さは音程に関係があります。それだけだと低い音はものすごく長さが必要になってしまうので、太くしないといけない。低い弦になるほど太くなります。
ガットだけで作る低音弦はかなり太くなります。金属の巻線を使えば、それほど太くしなくても質量を増やすことが可能です。芯がガットで金属を巻いている弦は17世紀から弦楽器に使われています。ただし、高音弦をプレーンガット、低音弦を金属巻きにした場合の全体のバランスの調整も必要です。

楽器の調整と弦の長さと太さのバランスを試行錯誤して、同時に弓の吸い付きかた、速さや重さ角度を試し、音の鳴らし方を身につけていくのです。
おそらく、200、300年前の演奏者たちも楽器の調整と弦のバランスを悩みつつ解決策を考えていったのだろうと思います。ガット弦の品質も関係ありますね。昔は自分で作る演奏家もいたとか。

こうすればこうなる、という精度が何百年前と今現在ではだいぶ違います。ガット弦を使うには、早く結果を出すのは向いてません。
どの時代の作品を演奏するかで、当時期待されていた音質、音程の精密さが違う、ということを考えながら腰据えて付き合っていかなければ、プレーンガット弦を使うことを諦めてしまうかもしれませんね。


posted by makkida at 10:15| プレーンガット弦と楽器 | 更新情報をチェックする

2020年04月07日

気づきは突然やってくる:プレーンガット弦を張ったモダンの楽器とバロック弓の関係

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プレーンガット弦を張った私のモダンの楽器でバロック弓を使ってバッハを弾くこともある。
何が問題かって?
プレーンガットを張っているとはいえ、モダン調整のテンションは高い。バロックボウは緩めのテンションのバロック調整の楽器を弾くのに適した弓。毛の量だけの話ではなく、テンションが高い楽器全体を鳴らす、共鳴させることが困難になる。

弓が弦を噛み(圧力がかかる)、力を横に逃がす(腕を動かす)と発音になる。
弦から離れる瞬間、パッと速度が速い場合、pやkやtと発音するように、比較的圧力が少なく軽い音となる。
圧力が増えるとbやgの濁音のような発音や、重さをかけるとwの発音になる。

次に、弓元から弓先に向かって音が自然に消えて行くボーイング。
バロックボウでは、弓元が一番強いとは限らず、元から真ん中あたりの重さが乗りやすい場所で音が最も膨らみ、弓先へ向かって減衰する。弧を描く。
モダンボウでは、弓の根元の方3分の1辺りから真ん中の間でバランスが取れる構造になっている。どの部分でも強い音を持続することが可能とはいえ、弓先へ向かうとバランスが軽くなるので音は減衰するのが自然だ。
重音を弾いたときに波動がピタリと合うのは発音した瞬間ではなく、少し時間がかかる。それは音の重さのかけ方でタイミングが変わるし、テンションが低い調整と高い調整でももちろん合い方が違う。

その音楽のそれぞれの音に合った発音、響きがあって(頭に思い描くイメージ)、同時に、自分の今持っている楽器のキャパシティの自由と制約もある。いろいろな条件を考え合わせながら、イメージする音を出すための技術、身体の動かし方を試していく。この作業が練習、というもの。ああでもない、こうでもない、変化する毎日の体の調子も合わせて、試しながら弾き続ける。

無理だと思っていると無理なのである。
それでもうまく弓が吸い付くことも可能なのだ。

弓の毛の当たり・・・弦の吸い付きかたは、比較的ゆるいテンションのバロックでも大事な問題。
それぞれに合わせた体の使い方がある。身体の構え方(「構え」というと緊張感を感じるが、そうではなく、単に持ち方)が変わる。
その上で、モダン楽器を弾くときには、楽器と身体と右手(弓)がピッタリ来る瞬間の精度が高い。焦点が合っているというのか。

この「ピッタリ」感。
いつも感じている、気にしている大事なことなのだが、身体がピッタリきたときの安定感は素晴らしい感覚だ!
ずっと考えながら試しながらバロック弓を使っているが、突然、この感覚がやって来る。やっと!
リズムも、全体の音楽の構成もガラリと変わってしまうのだ。
もう、部分の技術を気にすることなく集中ができる。
これがあるから面白い。新鮮な気持ちでチェロを弾き続けられる。
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posted by makkida at 23:15| プレーンガット弦と楽器 | 更新情報をチェックする
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