2024年12月31日

音楽と祈りの応答

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高齢の家族を介護している方は、コミュニケーションに葛藤の毎日だと思います。
脳の働きがうまくいかない症状の人に、こちらが「どうにか良くしてあげよう」と過度な助言や期待は、気持ちの空回りになります。体がうまく動かなくなっても、人は、日々上達する、という考えにとらわれています。それがあるから希望もあるのかもしれません。いいときも悪いときもある。でも、長い目で見て「上手くなる」「できるようになる」と思えるのは有難いことなのかも。
脳の動きは常に身近な人に影響を与えるようです。思考の癖が感染るような気がします。頭がうまくまとまっていないときには、考えがあちこち飛びます。出てきた言葉にすべて付き合っていたら、こちらの頭も振り回され、気持ちが浮ついてきます。
心が元気にいられるよう、精神状態を整えるのは、自分を大事にすることだと思います。人のために働く人、生活のために許容範囲を超えて仕事をする人、24時間介護をしている人にとって、本当に切実な問題ですね。
人のために動けることは自分のため、と言える人は素晴らしい。

さて、年末にプライベートで小さなクリスマスコンサートをお届けしました。
魂の交流をさせていただいている横田幸子牧師親娘のお宅に伺い、チェロと歌(我が夫のドイツ語とラテン語による歌。グレゴリオ聖歌やヒルデガルトの聖歌は私のチェロ)、そしてチェロの伴奏に乗ってみんなで讃美歌を歌う、というプログラムです。
幸子先生は私の音楽を心で受け止めてくださり、上辺でなく、音の中にある言葉を聴いてくださいます。ヒルデガルトの音楽を聴いて、その歌詞の内容を知らせずとも、驚くほどその音楽の本質を捉え、直感が働いて、想像力が豊かになり、情景が見えるのです。

この日のプログラムは次の通り。

グレゴリオ聖歌「幼な子 われらに生まれ」
聖書朗読 イザヤ書9章1〜6節
14世紀のキャロル「甘き喜びのうちに」In dulci jubilo 〜讃美歌「今こそ声あげ」
グレゴリオ聖歌「今日キリストはお生まれになった」
16世紀のコラール「一輪のバラが咲いて」 〜讃美歌「エッサイの根より」
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン「おお、われらに開かれたり」
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン「おお、緑に輝く若枝よ」
16世紀のコラール「いと高きところには神にのみ栄光あれ」(ドイツ語のグロリア唱)
J.S.バッハ「いと高きところには神にのみ栄光あれ」BWV 711
カタロニアのキャロル「鳥の歌」
ラテン語聖歌「神の御子は今宵しも」Adeste fideles 〜讃美歌「いそぎ来たれ、主にある民」

ヒルデガルトの曲の後に、幸子さんの口から自然と祈りの言葉が出てくるのです!感動を伴う、心から発せられる長い祈りでした。輝く光の中にいるような気分でした。
そして、バッハの曲の直後には「アーメン(まことにその通り)」!
そうです。コラールの最後の言葉は「すべての争いはいまや断たれたり」なのです。まさに「まことにその通り」と応答されたのです。
このように音楽を魂で聴いてくださる方に演奏できるのは、本当に幸せなことです。
これ以上の音楽的な、スピリチュアル(精神的、霊的)な聴き方があるだろうか、と感動します。

最近は、日々の生活でうまくできないことが増え、頭の動きがよくなくなっているとのこと。でも、精神に潤いが与えられれば、脳の動きが良くなって言葉が淀みなく出てこられます。精神的な豊かさを持ち続けておられます。幼い頃の姿がそのまま今も健在です。

素晴らしいクリスマスの贈り物をいただきました。今年最後の小さくて大きな出来事でした。

2025年が皆さまにとってよい一年になりますよう。地球上から「争いが断たれる」年になりますように。
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2023年07月25日

平和を与えてください!

今週末30日(日)、松本市の波田教会の礼拝で、「音楽による平和への祈り」と題して話と演奏をします。
こんなに破壊が止まない毎日。1秒でも早く武器を捨て、戦いをやめるように!
「戦い疲れた民に平和。壊れた世界に、今、平和を。(讃美歌21)」
「国は国に向かって剣を上げず もはや戦うことを学ばない(イザヤ書2:4)」
願い祈ってばかりでは現実的ではないと多くの人が言うでしょうが、戦争は嫌だ!、これに尽きます。

私たちに平和を与えてください!
Dona nobis pacem.
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讃美歌第二編、Evangelisches Gesangbuchより。
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2023年04月06日

【御礼】受難のプログラム・平和への祈りコンサート終了

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関西や関東ではあっという間に桜が満開になり、いっせいに様々な花が咲き、新緑が美しい頃。今年は花粉の量が多くて、花粉症の方はさぞお辛いこととお察しいたします。ここ長野の北部でもやっと残雪がわずかとなり、草木の芽吹きや花々が咲き始めました。散歩すると地面の暖かさが伝わります。ああ、春だなあ、と感じます。
今は受難週。
イエスがロバに乗ってエルサレムに入城した日曜には大勢の人々が喜んで迎えたのに、その週の木曜の夕食で弟子たちの足を洗い、捕らえられた時には群衆に唾を吐きかけられ、罵声を浴びせられ、十字架につけられた(その群衆の中に私がいる、と言った詩人がいる)・・・そして金曜日に息を引き取る。マタイやヨハネなどの福音書を基にした受難曲、エレミアの哀歌からの歌詞によるルソン・ド・テネブル。聖金曜日のための音楽には、ジョン・タヴナーのトレノスThrenosも。
イエスの受難を今の世の中の出来事として重ね合わせ、追体験しながら、ろうそくの灯りで演奏される・・・。イベントとしてでなく、聖書の言葉を味わうための音楽として、生活とともにありたいと渇望します。

季節は巡っても、世界で武力の暴力や人権侵害は止みません。ずっと受難が続きます。それでも、命の循環はあります。日々新しくなり、生まれ変わる可能性や希望はあります。
3月26日に松本市の波田教会で開催した「平和への祈りコンサート」は、冷たい雨の降る日でしたが、多くの方にご来場いただきました。入場料に加えて献金箱へのカンパも頂戴しました。
教会から日本チェルノブイリ連帯基金へは35,009円の寄付金を送金しましたので、ご報告申し上げます。
お越しいただいた方々、カンパをくださった方々、助けてくださった方々、多くの皆様に感謝申し上げます。

当日のプログラムをご紹介いたします。
重い内容だとお感じになられた方もいらっしゃったと思います。今起こっている戦争や人々の苦しみと、今までの人間の歴史を聖書と合わせて読み、それを音楽での祈りに表わそうとすると、軽く聴きやすいプログラムにはできません。深く心に留めて、何年後、何十年後に、ふとしたことで思い起こしていただけたら幸いです。

〜プログラム 〜

ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:おお魂の牧者よ
Hildegard von Bingen (1098-1179): O pastor animarum

マルティン・ルター:〈コラール〉詩編12篇「ああ神よ、天より見そなわし」
Martin Luther (1483-1546): Psalm 12 Ach Gott vom Himmel sieh darein
〜 J. S. バッハ:カンタータ第2番より第6曲コラール「この御言をば、神よ」
  J.S.Bach (1685-1750): Das wollst du, Gott, bewahren rein BWV 2-6

J. S. バッハ:無伴奏組曲第2番ニ短調 BWV 1008より
プレリュード、アルマンド
J.S.Bach (1685-1750): Suite for cello solo in D minor BWV 1008 - Prelude, Allemande


ウクライナの歌 [タラス・シェフチェンコ詩]:
バンドゥリスト、私の灰青色の鷲よ
Banduryste, orle syzyi (lyrics: Taras Shevchenko / Ukrainian Song)

ミコラ・リセンコ [タラス・シェフチェンコ詩]:広きドニプロの嵐
Mykola Lysenko (1842-1912): Reve ta stohne Dnipr shyrokyj (lyrics: Taras Shevchenko)

チャイコフスキー:
ワーニャは長椅子に座ってパイプをふかしてた(ウクライナ民謡を基に)
Pyotr Ilyich Tchaikovsky (1840-1893) : Vanya sat on the divan and smoked a pipe (based on the Ukrainian folk song)

バルトーク・ベーラ:花嫁を送り出す歌(ルテニアの旋律) 44の二重奏曲より
Bartók Béla (1881-1945): Menyaasszonybúcsúztató from 44 Duos for two violins
コロメイカ(ウクライナの踊り)
Kolomyika
バルトーク:ルテニアのコロメイカ 44の二重奏曲より
Bartók: Rutén kolomejka from 44 Duos for two violins


ルター:コラール 詩編130篇「深き淵より われ汝に呼ばわる、主よ」
M. Luther: Psalm 130 Aus tiefer Not schrei ich zu dir

リゲティ・ジョルジュ:無伴奏チェロソナタより ディアーロゴ[対話]
Ligeti György (1923-2006): Sonata for cello solo - Dialogo (1948)


ヒルデガルト:いま われらに開かれたり
Hildegard von Bingen: Nunc aperuit nobis

カタロニアのキャロル:聖母の御子、鳥の歌
Catalan carol: El cant dels ocells

アントニーン・ドヴォルジャーク:わが母の教えたまいし歌
Antonín Dvořák: Als die alte Mutter


J. S. バッハ:おお人よ、汝の大いなる罪を悲しめ (受難節コラールに基づく)
J.S.Bach: O Mensch, bewein dein Sünde groß BWV 622

J. S. バッハ:無伴奏組曲第4番 変ホ長調 BWV 1010より サラバンド
J.S.Bach: Suite for cello solo in E flat major BWV 1010 - Sarabande


ルター:〈コラール〉天にましますわれらの父よ[主の祈り]
M. Luther: Vater Unser im Himmelreich
〜 J. S. バッハ:あなたの御心がなされますように[ヨハネ受難曲第5曲]
J.S. Bach: Dein Will gescheh, Herr Gott BWV245-5

コダーイ・ゾルターン(富田牧子編曲):孔雀は飛んだ(ハンガリー民謡を基に)
Kodály Zoltán (1882-1967): Fölszallott a páva (based on the Hungarian folk song)


ヒルデガルト:慈愛は万象に満ち溢れ
Hildegard von Bingen : Caritas abundat in omnia
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2023年03月08日

【追加公演決定!】3月26日「平和への祈りコンサート」2回公演

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3月26日(日)、松本市の波田教会主催「平和への祈りコンサート」は、おかげさまで告知から数週間で満席になりました。ウクライナでの戦争が続く今、そして福島の原発事故から12年を迎えようとしている時期に、多くの方に賛同してくださったことを感謝申し上げます。今回のコンサートでは収益の一部を、チェルノブイリ原発事故の健康被害を調査し医療支援や福島の子どもたちの支援をしてきた日本チェルノブイリ連帯基金へ寄付いたします。
新型コロナ感染症予防対策で定員を25名としているため、チャリティとはいうものの寄付できる額は限られていますが、主催の私たちとお客様の気持ちの表れです。まだご案内差し上げて間もない方もいらっしゃるのに、あっという間に定員に達してしまい、これから多くの方のお申し込みをお断りするのも残念です。
そこで、急遽、公演を追加して同じ日の16時から2回目を開催いたします。
💡3月26日(日)16:00開演(15:45開場)です。

もしよろしければ、ぜひお越しください!
今、14時にご予約いただいている方で16時の方がご都合良い方も変更可能です。

なお、休憩あり1時間半のコンサートと告知させて頂いていますが、プログラムの流れを一息にまとめて、休憩無し70分のコンサートに致します。
心よりお待ちしております。
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2023年02月27日

3月26日「平和への祈りコンサート」@松本

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寒さが少しずつ和らぎ草木が起きだす頃、新型コロナ感染症流行から3度目のこの季節、いかがお過ごしでしょうか?
いつも私の活動をお励ましいただき、どうもありがとうございます。

ロシアによるウクライナ侵攻が始まって一年が経ってしまいました。世界中で独裁体制が力を増し、自国を防ぐため武装する方へ向かっています。戦争は始まったらなかなか終わらせることができません。東日本大震災と人災である原発事故から12年、そして最近のトルコ・シリア大地震で故郷を追われ衣食住に困窮する人々があとを絶たないというのに、そしてコロナ禍で子どもや学生は学ぶ場だけでなく様々な機会を奪われてきたのに、戦争によってさらに多くを失います。今、地球の最大の課題になっている環境破壊に、もっとも貢献している戦争。それを引き起こすのは私たち人間です。 
命の尊さ、生かされていることへの感謝や喜びから、そして人間の愚かさへの反省から、芸術や文学が生まれてきました。しかし、また戦争を繰り返す人間の歴史・・・。
武力ありき、では地上に永遠に平和は訪れないでしょう。
人が人を支配し、人が自然を金儲けのために利用するこの地球上で、本来どうあるべきか自分の頭で考え口に出すことが無意味に感じ、諦めたくなるけれど、理不尽な人間社会の中で、芸術は常に「私はどう生きるか」を探求し問い続けます。音楽は「目に見えないもの」の大切さを気づかせてくれ、いつもどこかで誰かの生きる希望になっています。
 
西洋音楽はキリスト教と切っても切り離せない関係があります。何百年もの間、クリスマス、受難、復活だけでなく教会暦に沿った音楽が必要とされ、数多くの作品が生まれました。宗教曲で歌われる詩の多くは、聖書の言葉の引用です。言葉は、その文字を知ってるだけでは意味をなさず、内容の理解に心を向けることによって言葉が音になるのだと思います。
「平和への祈りプロジェクト」のコンサートを1月に東京で開始しました。
このコンサートでは、言葉と音楽の繋がりを意識して、中世の修道女・神秘家ヒルデガルトの歌や、ドイツ語で歌われるコラール、そしてウクライナやハンガリーなど様々な民謡、それぞれにつけられた詩を土台にして、全体を1つの流れに編んでプログラムを構成します。一般の社会で、生活の中で、平和を願う音楽の波紋が広がったらいいな、と思います。過去や歴史と向き合い、初めてのことや他の国や文化、違う価値観に気づくことを恐れずに。
今回は、「目に見えないもの」の尊さを身体で表現しているインド舞踊家、横田ゆうわさんに詩を朗読して頂き、言葉を味わいながらプログラムを進めます。

命あってこそ、隣の人が喜んでくれて、それを感じて心が温かくなります。荒れた世界情勢やコロナ禍で分断された人との繋がりが、一人、また一人と繋がっていけますように。疲れた心身が和らぎますように。
松本近隣の方、もしよろしければぜひお越しください。
 
また、この企画の趣旨に賛同してくださり、今後、コンサートをご一緒に開催してくださる方がいらっしゃいましたらご一報いただけましたら嬉しく存じます。
💡チラシpdfはこちら20230326波田教会コンサート.pdf
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2023年02月02日

平和への祈りプロジェクト第1回終了、御礼

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東京のギャラリー古藤での「平和への祈り」無伴奏チェロコンサート、無事終了いたしました。
今回の趣旨は、芸術の本質を通して平和を祈る、という内容でご案内しましたが、たくさんのお客様にお越しいただき感謝申し上げます。
コロナ禍始まってから、11時の回が最も人気の時間のようです。

今回、言葉(詩)と音楽のつながりを意識して悩みに悩んでプログラムを組みました。が、当日のお話の中で、私の頭の中で繋がっている点をお伝えすればよかったものの、曲の紹介になってしまったのが反省です。恐らく、曲数を減らして、最も大切なことを明確にする必要があるでしょう。言葉(詩)の意味に乗って行ければ、身体で受け止めた反応を音楽でさらに広げられるだろうと感じます。
実験的なプログラムで、未熟な出来で申し訳ありませんでした。
それでも、温かな反応とご感想を頂戴でき、皆さんの想いも感じられ、胸がいっぱいになりました。遠方にお住まいでお越しいただけない方からもお励ましをいただきました。ひとつひとつ、一人一人と繋がって、仕事(音楽)が生かされ、命がつながるのですね。どうもありがとうございました。

当日のプログラムと、詩とのつながりをここで書き留めておきます。

ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:おお魂の牧者よ
Hildegard von Bingen (1098-1179): O pastor animarum
はじめに言葉ありき。この世を創造した大いなる存在、世界の牧者を地上から呼ぶ。祈り。

マルティン・ルター:詩編12篇「ああ神よ、天より見そなわし」
Martin Luther (1483-1546): Psalm 12 Ach Gott vom Himmel sieh darein
J. S. バッハ:カンタータ第2番より第6曲 コラール「この御言をば、神よ」
J.S.Bach (1685-1750): Das wollst du, Gott, bewahren rein BWV 2-6
神を蔑ろにする人、偽りを語る高慢な者が世にはびこることを嘆く。何百年前と同じ、今も尚。

J. S. バッハ:無伴奏組曲 第2番 ニ短調 BWV 1008 より プレリュード
J.S.Bach (1685-1750): Suite for cello solo in D minor BWV 1008 - Prelude

ウクライナ民謡:バンドゥリスト、私の灰青色の鷲よ
Banduryste, orle syzyi [Bandurist, my blue-grey eagle]
 (lyrics: Taras Shevchenko / Ukrainian Song)
民謡は生活に根付いている(生活の中の)音楽。信仰と同じように。

ルター:詩編130篇「深き淵より われ汝に呼ばわる、主よ」
M. Luther: Psalm 130 Aus tiefer Not schrei ich zu dir
文字通り、深い悩みの淵から、暗闇のどん底の状態から、ただあなたを呼ぶ。ひたすらに。それしかない。

ジョルジュ・リゲティ:無伴奏チェロソナタ より ディアーロゴ[対話]
György Ligeti (1923-2006): Sonata for cello solo - Dialogo (1948)
長い歴史上、ユダヤの人々が受けてきた迫害、虐殺。世界のあちこちの民族がそのような目にあっている現実。

ミコラ・リセンコ:広きドニプロの嵐
Mykola Lysenko (1842-1912): Reve ta stohne Dnipr shyrokyj [The Mighty Dnieper] (lyrics: Taras Shevchenko)
農奴出身の詩人が、制度反対に立ち上がる。言葉の力で。

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー:
  ワーニャは長椅子に座ってパイプをふかしてた
Pyotr Ilyich Tchaikovsky (1840-1893) : Vanya sat on the divan and smoked a pipe
国境は時の政権によって引かれる。国を超えて、懐かしい響きの民謡に惹かれる。ウクライナは歌の土地。

ヴァレンティン・シルヴェストロフ:1750年7月28日_J. S. B.の思い出に
Valentin Silvestrov (1937- ): 28.Juli 1750…in memoriam J. S. B. (2004)
ウクライナの80代の作曲家。言葉による情報、大きな音、音の暴力、爆音、爆撃が日常にあるとき、今、必要なのは静寂の音。

J. S. バッハ:無伴奏組曲 第4番 変ホ長調 BWV 1010 より アルマンド、クーラント、サラバンド
J.S.Bach : Suite for cello solo in E flat major BWV 1010 -Allemande, Courante, Sarabande

休憩

ヒルデガルト:いま われらに開かれたり
Hildegard von Bingen (1098-1179): Nunc aperuit nobis
女性の解放。イザヤ書60:11「あなたの城門は常に開かれ、昼も夜も閉ざされることはなく」

カタロニアのキャロル:鳥の歌
Catalan carol: El cant dels ocells
あらゆる鳥たちが救い主の誕生を祝って歌う。イエスが地上にやってくることは平和が訪れることを意味する(なのに・・・)。

ジャン・シベリウス:私には富も名声もいらない 5つのクリスマスの歌 より
Jean Sibelius (1865-1957): Jouluvirsi - En esti valtaa, loistoa, en kaipaa kultaakaan

バルトーク・ベーラ:ルーマニアのクリスマスの歌 より
Bartók Béla (1881-1945): Román kolinda-dallamok
山の野原を通って/彼らは尋ねる、全知全能の神に/
金色の雌子羊のバラード/聖歌隊の夜明けの到着/少女たちへ/
彼らは捧げ始めた、クリスマスの日に/聖母が嬰児を抱いて座っている/
さあ、讃えよう、歌おう/東方の三賢人/さあ皆で行こうよ、ベツレヘムの街に

バルトーク:花嫁を送り出す歌(ルテニアの旋律) 44の二重奏曲より
Bartók: Menyaasszonybúcsúztató from 44 Duos
コロメイカ(ウクライナの踊り)
Kolomyika
バルトーク:ルテニアのコロメイカ 44の二重奏曲より
Bartók: Rutén kolomejka from 44 Duos
生活の中の音楽。今でもウクライナの人々が結婚式などで踊る。

J. S. バッハ/コダーイ・ゾルターン:天にましますわれらの父よ
J.S. Bach / Kodály Zoltán (1882-1967): Vater Unser im Himmelreich
J. S. バッハ:ヨハネ受難曲 第5曲 「あなたの御心がなされますように」
J.S.Bach: Dein Will gescheh, Herr Gott BWV 245-5
主の祈り。地上に平和をもたらす人に向かって唾を吐き、蔑み、十字架にかけてしまう人間たち。戦争がやめられない人間。この地上に平和を作れるよう私たちをどうぞ導いてください。口先だけでなく、心の底から(本当に難しい!)祈ることができますように。

コダーイ(富田牧子編曲):孔雀は飛んだ(ハンガリー民謡を基に)
Kodály: Fölszallott a páva (based on the Hungarian folk song, arr. by Makiko Tomita)
独裁者に抗議し、見える鎖、見えない鎖に繋がれた人々の自由を求める。人権のない人々の自由を!
イザヤ書61:1「わたしを遣わして貧しい人に良い知らせを伝えさせるために。打ち砕かれた心を包み、捕らわれ人には自由を、つながれている人には解放を告知させるために。」


ヒルデガルト:慈愛は万象に満ち溢れ
Hildegard von Bingen : Caritas abundat in omnia
愛。隣人愛。隣の国の人々も。


今回は間際まで試行錯誤を続けたので、とりあえず頭を休めたい中、遅れていた先の企画の準備や、停滞していた連絡を再開し、すぐに京都に移動。雪(それはそれで大変なのですが)の信濃町の静けさに戻りたい〜、と心で泣きながら(笑)どんどん業務をこなしています。
外ではコガラ、メジロがすぐ近くを飛び回る。賀茂川のアオサギはじーっとたそがれる者、あるいは餌を待っているのか人とお見合いしている者。カラスに追われるセキレイ、仲間が近くを飛んでうまくカラスをかわす。トンビを警戒するカラス。せっせと冷たい水に頭を突っ込む鴨たち。それぞれの生活は賑やか。

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2023年01月14日

1月29日コンサート、残席状況(1月26日現在)

1月29日の”平和への祈りプロジェクト”コンサート、残席状況です(1月26日現在)。
11時の回は満席になりました。
14時の回は満席になりました。
17時の回は残り2席です。
どうもありがとうございます!
お待ちしております。
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2022年12月14日

2023年1月コンサートのご案内「平和への祈りプロジェクト」

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先の記事でお知らせしました2023年のプロジェクトは、1月29日に始動します!
戦争が止まない今、子どもも大人も同じ空間で、音楽によって心温まる時を持てますように。遠い国やその土地の人々、今につながる人間の歴史、ひとりひとりの生活に想いを馳せ、生きる希望を見いだすことができますように。その波紋が広がって行きますように。
会場でお会いできるのを心待ちにしております。

2023年1月29日(日)
”平和への祈りプロジェクト2023” Pray for Peace 〜in terra pax〜
無伴奏チェロコンサート

ヒルデガルト・フォン・ビンゲン、コラール (讃美歌)、J. S. バッハ 、Z. コダーイ、B.バルトーク、G.リゲティ、V. シルヴェストロフ、
カタロニアのキャロル「鳥の歌」、ウクライナほか様々な民謡

【時間】3回公演 11:0014:0017:00(開場は各回15分前)14時の回は残席2となりました!(1月4日現在)
【場所】ギャラリー古藤(東京都練馬区)西武新宿線江古田駅
【料金】要予約 各回限定15名
一般 3,500円 小中学生 500円
【主催/予約】 MA企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(メールでの受付は前日18時まで。☆を@にタイプし直してください)
【当日連絡先】ギャラリー古藤☎03-3948-5328

💡チラシ.pdfはこちら
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