2021年04月30日

リサイタル終了の御礼&ウェブサイト開設のお知らせ

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4月21日のリサイタルにご来場いただいた皆さま、どうもありがとうございました。チケットをご購入いただいたのに、感染症が収まらない中お越しいただけなかった皆さま、ご支援に感謝申し上げます。
それぞれの人が大変な状況の中、音楽で心身をリフレッシュしていただけたなら幸いです。
いつも助けてくれる周りの人たち、多くの温かなお支えのお陰で、3回公演、音楽に集中できました。パブロ・エスカンデ 氏の新曲の初演が無事終えられたことも嬉しいです。3回も弾けて本当に幸せでした。
これからも一つ一つの演奏に命を与える音楽活動を続けたいと思います。
どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。

野尻にいると、季節感が身体で感じられます。夏に生き物は活発だったのが、秋にだんだん動きが緩やかになり枯れていき、冬にはすっかり眠りに入る。大地が目覚める春、今、空気が柔らかくなり、鳥も虫も賑やかに動き出し、緑は日増しに増えていきます。冬で死に、春生き返るのだと、実感します。
何百年前の芸術、シェイクスピア、パーセル、ドイツロマン派の詩や音楽などの土台にあるものや、当時の人間には当たりまえだったこと、作品の表現している意味が、より身近になっていくようです。

お知らせです!✨
新しくウェブサイトを開設しました。
https://makikotomita.mystrikingly.com
こちらのブログ記事もこれからも健在です。

イベントにおける感染予防対策は、国の指針をもとに県などの各自治体が方針を決め「イベント開催の目安」を作っています。それにイベント主催者は従っています。
大都市では人も多いですが病床も多い。地方は感染者は少ないですが病床も少なく、もともと人が少なく「知ったもの同士」のコミュニティ。誰がどこへ行ったか、何をしているか、すぐ伝わってしまう日常で、別の意味で感染を怖がるのです。これまでのウィルスではアジアの人の免疫が割合助かったようですが、変異株の強さは深刻なようです。
私が最近使っている公共ホールは、昨年度、利用者にはありがたいことに、コロナ対策で施設使用料半額でした。今年は通常料金です。昨年も今年も、定収入のないフリーランスの収入の見通しは変わりありません。公演をすれば赤字です。個人でコンサートを企画する私は、こんな状況では、まだまだ、定員を今までと変わらず半数以下にして、お客様のストレスをなるべく減らしたいと思います。色々想像して、工夫して、感染予防対策には関わるスタッフみんな本当にエネルギーを使います。
それでも、体が弱い人や、医療関係の人、家族に病気や高齢の人がいる人は、人が集まる場所に出られない。定員3分1にしても、「ぜひ来てください」とは言えない状況なのです。
では、企画をやらなければいいじゃないか、という声もあるでしょう。オンラインで見る(聴く)に耐える動画を作り、問題なく配信するには桁違いのお金がかかります。動画配信の音は体が受け付けない、という人もいます。
何かやらないと収入がない。

そして、とても大切なこと。
生の音は心を元気にして、体を生き返らせてくれるのです。芸術は、生きる希望をくれるのです。音楽の喜びを人と一緒に分かち合いたいのです。これがなくては生きていかれない。

2021年04月04日

白い馬のフィドル

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今日はイースター。
世界では、民族同士の対立、強権や独裁政権による暴力、民主化を求める運動で、たくさんの犠牲者が。難民が。
無残な死、真っ暗闇の中、終わりがないように見える紛争、ただ苦しみだけが重くのしかかる人々。
この地上で、同じ人間が生きる権利さえ奪われているときに、復活の希望があるのだろうか・・・

破壊された土地。
灰色の中から、緑が。植物の芽が顔を出す。鳥の声が聴こえる。新生児が生まれる。
地球にはいつでも新しい生命の誕生がある。
なんという、つらい、悲しい生命の循環。

言葉もないとき、音楽が心を慰める。つかの間の生きる喜びを、精一杯与えてください。

4月21日のリサイタルでパブロ・エスカンデ氏に委嘱した新曲「白い馬のフィドル」。
昨年予定していたリサイタルで初演のはずが、パンデミックが始まって延期になり・・・。この一年、本当に色々ありましたが、この曲を弾くための充実した時間が有難い。ただ「寝かした」だけでなく、身体に入る、ピタッと合うための、いい準備の期間になりました。
若者と不思議な馬頭琴の物語による音楽。大事な馬を支配者に殺され悲しみに暮れる若者。夢に現れた彼の馬が言う通りに、亡骸を使って組み立てた楽器を奏でると、その平和の調べは民衆の心を慰める。
パブロがこのイメージで曲を書き上げたとき、このモンゴルの若者と馬を題材にした民話のことは知らなかったという。彼のお連れ合いが「スーホの白い馬」の話をすると、あまりにイメージがぴったりだったので驚いたそう。
サウンドもリズムも、技術的な試みも演奏者を満足させてくれます。
素敵なインスピレーションによって生まれた、まさに生命の循環の音楽です。
死者の哀悼、受難日のための音楽、ジョン・タヴナーのトリノス(哀歌)に続いて演奏します。
どうぞお楽しみに!

2021年03月15日

独奏チェロの変遷@チェロ誕生(バロック時代半ば)

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信濃町も雪が溶けて、オオイヌノフグリや福寿草が咲き、蕗の薹が出てきました。家の周りもだいぶ雪がなくなり、土が現れました。

3月11日はどのように過ごされたでしょうか。地球上でそれぞれの祈りが行われた1日だったでしょう。
チャリティコンサート 「ひまわりの丘」、今年はライブ配信でした。いつものメンバーとスタッフに加え、配信チームのご協力により、内容の伝わる配信ができたことを有難く思います。31日まで録画をご覧いただけますので、もしよろしければ、Peatix ピーティックスにて3月30日まで購入できます。収益は原発事故の被害を受けた子どもたちのために活動する3つの団体に寄附します。どうぞよろしくお願いいたします。
教文館での信木美穂さんの「ひまわりの丘原画展」の中で行われた、きらきら星ネット主催オンライントークイベント「避難者が語る福島原発事故 今とこれから」も、ぜひご覧ください。
1970年代に須坂市の一人の女性が原発の危険性を訴える手作りのガリ版印刷の新聞を始めました。その新聞をまとめた本、坂田静子さんの「聞いてください〜反原子力発電のメッセージ」。今の現状はその頃と全く変わらないのですね。生きる権利を守るためには、誰か任せではなく、ひとりひとりが考え、理解と行動が大事だと思います。

さて、独奏チェロのための作品の移り変わりを、楽器の生い立ちや作曲家などとともにご紹介していこうと思います。シリーズの第1回。今回は、チェロが生まれたバロック時代半ば、17世紀後半のお話です。

まずバロックチェロについて。と言っても、本体は現代の楽器と同じです。バロック時代、当時使われていたスタイルに調整されたもの、という意味です。
現代の楽器と並べて比べるとわかるのは、まず指板(左指で抑える場所)の材質。木の種類が違います。現代の楽器には黒檀が使われます。これは重い木材です。一方、バロック用に調整された楽器には、もっと軽い木が使われます。楽器に負担がかからない方が音が軽くなります。
楽器全体が軽くなると、バロック音楽の特徴であった、言葉を話すように演奏する、ということがやり易くなるのです。よく響く宮廷の部屋(サロン)や教会(聖堂)で演奏するときには、音量よりも明瞭にアーティキュレート(はっきり発音する。音節(シラブル)に分ける)することが大事です。
それから、指板の長さがバロックの方が短いです。18世紀終わりから現代に至る音楽では、高い音域をよく使うので、長い指板が必要となります。
そして、ネック(竿)の角度が違います。現代の方が角度がついています。バロックの方が平らに近い。角度がついていると、弦を張った時に楽器にかかる張力(テンション)が強くなります。張りのある、フォーカスされた(焦点の合った)音になります。

実際に楽器を抱えて演奏するとすぐに気がつくのは、現代のチェリストが楽器の下から伸ばす棒、エンドピンを床に刺しているのに対して、バロックの奏法では両膝の間に挟んで弾きます。

それから、弦ですが、当時の弦楽器には羊や牛の腸をよって作ったガット弦を張っていました。20世紀以降、現代のチェリストの多くはスチール弦を張っています。私はモダン調整の楽器にもガット弦を張っていますが。ガット弦は伸びるのに時間がかかりますが、スチール弦は新品をすぐに張って音を出せるので便利です。効率的な弦や楽器は忙しい現代社会で求められるのかもしれませんが(人間がそれに合わせているのでしょうが)、音色や音質の面で失われるものも多く、音楽の本質的なところで大きな違いがあります。

この低音楽器が、一般的にチェロと呼ばれるようになったのは、1600年代終わりのことです。それ以前にも、もちろん、弓で弾く大型の低音楽器はあり、バスヴァイオリン、ヴィオローネ、バセットなどと呼ばれ、今の「チェロ」より大きなものなどサイズは色々でした。低音楽器は、他の楽器との合奏でバス(低音)パートを担当しました。その中に現代のチェロの様にテノールパートを受け持つ楽器もあり、華やかな装飾的な音形を弾くこともありましたが。
主に伴奏楽器だったチェロの前身が、次第に独立し、独奏作品も演奏するようになったのは、北イタリアのエミリア・ロマーニャ州のボローニャで巻き線の弦が開発されたのがきっかけです。ガットを芯にして、そのまわりに金属の細い線をきつく螺旋(らせん)に巻いたのが巻き線です。
この巻き線のお陰で、低い弦が、プレーンガット弦より短くても、そして細くても、同じ音程を出せるようになりました。つまり、楽器のサイズが小さくても低い音が出せるようになったのです。

そして、ボローニャやその近郊ではチェロ奏者が活躍し、独奏楽器としての地位を確立します。チェロ奏者が自分で演奏するだけでなく、教えるための作品が次々に生まれます。

続く

2021年02月12日

無伴奏チェロ作品の変遷 その2

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ガット弦を張ったチェロで弾く、オーガニック(有機的)な音楽

バロックとモダンのスタイルに調整し、プレーンガット(羊腸)弦を張った 2 台のチェロと、バロック、クラ シカル、モダンの弓を使い分け、様々な時代の無伴奏作品をご紹介するリサイタルシリーズ、第2回もまた――J.S. バッハの無伴奏チェロ組曲から現代の作曲家の新作(委嘱作品)まで――多彩な音楽を取り上げます。

クラシカルボウで弾く 1800 年前後の作品に、前回はデュポール兄弟の兄ジャン・ピエールを選びましたが、今 回は弟ジャン・ルイの作品を演奏します。チェロの名手であったデュポール兄弟との出会いによりベートーヴェン は最初の 2 つのチェロソナタを書きました。私のライフワークの一つであるベートーヴェンのチェロとピアノの デュオ作品を探求するうえで、デュポール兄弟の存在は欠かせません。いつの時代も作曲家と演奏家が互いに影響 を与え合うなかから、新しい芸術が誕生するのだと思います。

今回、新曲を委嘱したパブロ・エスカンデ氏は、アルゼンチン出身の作曲家・鍵盤楽器奏者で、オランダに学び、 現在は京都を拠点に活動しています。バロック音楽に精通するエスカンデ氏は、自身の音楽をネオ・バロックと位 置づけ、アルゼンチン独特のリズムや音楽語法をベースにしながらも、舞曲や対位法、修辞法、明解な対比などバ ロック的な要素を取り入れ、知的な遊びのような魅力的な作品を発表しています。昨年出来上がった新曲「白い馬 のフィドル」はスコルダトゥーラ(変則調弦)を使います。想像力を掻き立てる作品をどうぞお楽しみに!

一般的なスチール弦に対し、天然素材であるガット弦は、倍音成分を多く含み、自然界の音のように抑揚や陰影 に奥行きがあり、凹凸のある表現が可能です。近代以降、音楽はより大きな音と均一性を求めて発展しましたが、 現代の私たちが必要としているのは、有機的なもの、生命あるものに触れることではないでしょうか。

ガット弦のチェロで無伴奏作品を演奏することは瞑想に通じます。身体と楽器と作品のつながりに集中していく ことで、おなかの底=肚から共鳴し、より深い理解へと向かっていく。弦の羊腸、弓の馬尾毛、そして木。生命あ るものから生まれた楽器は、強引に鳴らされるのを嫌います。楽器と共に呼吸することで、音楽に新たな息吹を与 え、それをみなさまと分かち合うことができたらこれ以上の喜びはありません。

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2021年4月21日(水) 3回公演 〈昨年4月22日に予定していたコンサートの振替公演です〉
チェロリサイタル ”ガット弦の魅力”
無伴奏チェロ作品の変遷 その2 多様な音の世界
〜プレーンガット(羊腸)弦を張ったバロックと現代のチェロを使って

11:30開演(11:15開場)/14:30開演(14:15開場)/18:30開演(18:15開場)
【場所】近江楽堂(東京オペラシティ3階)
【プログラム】
[バロックチェロで1600年代後半から1800年初めまでの音楽を]
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV 1008
G.B.ヴィターリ、G.M.ダッラーバコ、J.L.デュポールの作品
[モダンチェロで19世紀から現代までの音楽を]
J.シベリウス:チェロのための主題と変奏 (1887)
J.タヴェナー:哀歌 (1990)
P.エスカンデ:白い馬のフィドル (2020 委嘱作品・世界初演)
【料金】各回限定40席  一般前売4000円[当日4500円]/学生2500円 未就学児無料
【主催・予約・問合せ】MA企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(恐れ入りますが☆を@にタイプし直してください)
【電話予約】03-6317-8916(ベアータ)
💡FAXお申し込みの対応につきまして
💡チラシはこちらからご覧いただけます
チラシ表.pdf
チラシ裏.pdf

2021年02月10日

4月21日(水)無伴奏リサイタル(昨年4月の振替公演)のお知らせ!

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昨年4月開催予定だったリサイタルの延期公演、やっと詳細をお知らせできる準備が整いました。ご案内がたいへん遅れて申し訳ありません!
下記の通り感染症予防対策をして開催いたします。
公演時間が変更になりました!同一プログラム(休憩込み約80分)、3回公演です。
💡内容についてメッセージ
💡昨年ご購入いただいたチケットについて。延期公演まで保管していただいているお客様へ。
この度、同日に3回の公演をいたします。同じ内容です。感染症予防対策のため一回の定員を40名に制限していますので、お席を確保するためにご予約が必要となります。お手数おかけしますが、ご希望の公演をお選びいただき、下記情報のMA企画(メール)またはベアータ(電話)までご一報いただけましたら幸いです。
昨年のマネジメントのアレグロミュージック、またはオペラシティチケットセンターとMA企画でご購入いただいたお客様には、改めて郵送にてご案内申し上げます。もうしばらくお待ちくださいませ。

まだまだ大規模にライヴをできない状況で、とにかく地味に、細々とでも継続し、お客さまと可能な限り大切な時空間を作ることだけ考えております。今回は余裕がなく、自作のチラシになりました。昨年のチラシは素敵だったのに・・・。
コロナ禍の中、心身が弱って外出ができない方や様々な事情でご来場できない方のために、有料配信も考えていきたいです。

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2021年4月21日(水) 3回公演 〈昨年4月22日に予定していたコンサートの振替公演です〉
チェロリサイタル ”ガット弦の魅力”
無伴奏チェロ作品の変遷 その2 多様な音の世界
〜プレーンガット(羊腸)弦を張ったバロックと現代のチェロを使って

11:30開演(11:15開場)/14:30開演(14:15開場)/18:30開演(18:15開場)
【場所】近江楽堂(東京オペラシティ3階)
【プログラム】
[バロックチェロで1600年代後半から1800年初めまでの音楽を]
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV 1008
G.B.ヴィターリ、G.M.ダッラーバコ、J.L.デュポールの作品
[モダンチェロで19世紀から現代までの音楽を]
J.シベリウス:チェロのための主題と変奏 (1887)
J.タヴェナー:哀歌 (1990)
P.エスカンデ:白い馬のフィドル (2020 委嘱作品・世界初演)
【料金】各回限定40席  一般前売4000円[当日4500円]/学生2500円 未就学児無料
【主催・予約・問合せ】MA企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(恐れ入りますが☆を@にタイプし直してください)
【電話予約】03-6317-8916(ベアータ)
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Wed, 21 April 2021 11:30am / 2:30pm / 6:30pm
Cello Solo Recital “Gut Feeling!” 2021 ~Baroque and modern cellos played with gut strings~

at Oumi Gakudo, Tokyo Opera City, 3F
[program]
J.S.Bach (1685-1750): Suite for Solo Cello No.2 in D minor BWV 1008
Pieces by G.B.Vitali (1632-1692), G.M.Dall’Abaco (1710-1805) and J.L.Duport (1749-1819)
Jean Sibelius (1865-1957): Theme and variations for solo cello (1887)
John Tavener (1944-2013): Thrinos (1990)
Pablo Escande (1971- ): White Horse's Fiddle (2020 world premiere)
[Ticket] ¥4000 / at the door ¥4500 / Student ¥2500
[Info & Reservation] MA-Kikaku 📩kikaku_ma(at)yahoo.co.jp

~新型コロナウィルス感染拡大防止対策について~
*当公演は前半、後半とも 30 分程度のプログラムとし、休憩時間に換気をいたします。
*お客様間の距離を十分に保つため、定員 120 席のところ 40 席に限定いたします。
*マスクの着用および入場時の手指消毒にご協力をお願いいたします。
*入場時に検温チェックをします。
*咳、発熱、頭痛など体調に異常がある方は、来場をお控えください。
*チケットの裏面(昨年のチケットをお持ちの方には当日用紙をお渡しします)に、来場者のお名前とご連絡先、 座席番号をご記入ください(感染拡大防止のため、購入者ではなく実際に来場された方全員の連絡先を把握する 必要があります)。チケットは公演終了後に回収いたします。

2021年02月08日

もう一度始めるんだ

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4月21日に予定しているソロリサイタルは、1日3公演で、詳細情報の最終調整に入っております。もう少しだけお待ちください!

北信は雪が朝から晩まで降り続き、あっという間に数十センチ積雪、屋根から雪が落ちて窓も埋まります。
感染症の流行は止まず、今年もまだ影響が続くでしょう。生活の事情は人それぞれなのに、行政や自治体による法規制によって人権が守られるのか気がかりです。大げさではなく、将来、権力が独裁的になる発端になるかもしれない。封建的な社会から平等と自由を自ら勝ち取った経験を持たない国の人々が、個々人の生存や働く権利などを手放してしまわないように!

先の状況が読めませんが、感染予防対策を心がけながら、客観的で長期的な視点を持ちつつ演奏活動を続けたいです。どんな状況でも、学ぶことはあります。
昨年のリサイタルは1年延期になりましたが、気がついたら、今年は東日本大震災から10年。あの時も、あまりの衝撃に、音楽をする意味を考え、悩みました。生きる上での音楽の存在が、自分の中で確かになり、なくてはならないものと再確認し、大きな方向転換をしました。
そして、今もまた。

他の楽器との共演では、プレーンガット弦をモダン楽器に張って弾くことが生かされていないように感じ、また、ヒストリカルピアノを弾くピアニストとの出会いもないという状態が何年も続きます。わかりやすく聴衆に伝えるために、そして、モダン(グランド)ピアノと弾くために、金属巻きの弦にした方がいいかもしれない、と気持ちが傾くこの頃。
音楽を聴いて自分の考えや感じたことを相手に伝える、ということをする人は少ないです。どうやって聴くかは人それぞれです。何を感じるかも人それぞれ。
演奏家でも感じることを言う人は少ない。
知識ではなく、今弾いている(あるいは、今聴いた)音楽から、思考や想像や感覚がどう発展していくのか。心にどう響くのか、あるいは全く響かないとか、好きとか嫌いとか・・・
期待する反応が得られない時にも、何が伝わっていないのか、そこから学びます。スマートではなく、見苦しいわが身を晒している気持ちになりますが。
新しい土地で単発でコンサートをして一回でわかってもらう、という「わかりやすい」音楽をやっていない音楽家は、丁寧に説明しながらテーマのあるコンサートを継続していくことが必要。コンサートというのはそんなに受け身でリラックスして癒しを与えられるものばかりではないです。決められた時間と空間で、一回きり、という芸術は、聴衆にとって結構キビシイものです。
いつまでたっても、目に見える反響はなく。それは一体なんなのか、と自問する。音楽で人並みにお金が稼げるようにならない、仕事がこない、ということか。
大事にすることは人それぞれなのであれば、人の反応を気にせず、自分が気になることや興味あることを毎日続けることのみ。コツコツ続けることが取り柄。
その覚悟。
それを楽しむ。なんて素敵な!

たとえ疲れを感じようとも
勝利がお前を傷つけようとも
ひとつの夢が消え去ろうとも
痛みに両の目を灼かれようとも
人びとがお前の努力に気づかずとも
報酬はただ背信のみであろうとも
無理解がお前の微笑みを断ち切ろうとも
たとえすべてが無に見えようとも
お前はもう一度はじめるのだ
(ホセ・マルティ)

なんと厳しく強い心根、生き方・・・

2020年11月06日

音楽で人と交流することの喜び

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photo: Shinichi Kida
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8ヶ月ぶりのコンサート、喜びの一日でした。
ギャラリー古藤のオーナー様、お客様、お世話になった方々、どうもありがとうございました!ご予約いただいた皆さんが、体調も崩されずお集まりくださったことも本当に有難いことです。当日配布したプログラムは下に載せてあります。
定員を半分以下の10名にすることで、会場の響きがなくなることなく、お客様も演奏者もゆったり余裕がある中で、力が抜けて、気持ちいい集中ができたように感じます。3回公演でしたが、疲れもなく、かえってどんどん心身が元気になっていきました。やはり、人に聴いてもらう音楽をすることは、一人で楽器を弾くのとは別のエネルギーが得られます。

コロナ禍のなか、勉強や練習に没頭するはずが、2回の引越しで、その時間は思うように取れませんでした。でも、自分の生活が変わる中で、この社会に常にある困窮や世界の動きと芸術音楽の在り方、その中で自分はどのような音楽をしたいのか、音楽や弾き方のイメージトレーニングができていたと思います。
作品が生まれたときの時代背景、作曲家のおかれていた状況を想像することはとても興味深いことです。
勉強して知識を得ることが音楽の理解ではありません。作品の音は、作曲家の精神の表出であり、その人間そのものです。演奏する私は、その音楽そのものになりきって追体験することで、その場で新しく生まれ変わることができます。その仕事が私にとって手応えのあることで、喜びなのです。

世界では、まだまだ社会活動ができない国や人々がたくさんいます。今までも、コロナ以前でも、自由に活動できない境遇にある人々はいました。
音楽によって、人が生きる希望と勇気を与えられますように!人々が芸術を体感することで、責任を伴う自由の大切さ貴重さを受け止められるよう、自分にできることを前に進めて行きたいと思います。

秋も深まり、乾燥する季節になりました。身体も楽器もケアを十分にして、みなさまくれぐれもご自愛くださいますように。

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プログラム
2020年11月3日    *今日演奏する作品について*       富田牧子

 ディエゴ・オルティスDiego Ortizは1510年頃スペインのトレドに生まれ、スペイン支配のイタリアで活躍したルネサンスの作曲家・音楽理論家。ナポリで活動していた1553年に、ヴィオラ・ダ・ガンバのための装飾音技法の教科書である「装飾論ならびに変装法論」をローマで出版。その中にあるレセルカーダの中から一曲演奏します。
 1500年代に栄え、街の人口が増えて、ヨーロッパのキリスト教国の最大の街の一つとなったナポリ。1600年半ばにペストが流行し、人口は半減してしまいます。
 17、18世紀にナポリで活躍したチェロ奏者を二人ご紹介します。
 ジュリオ・ルーヴォGiulio Ruvoについては生年没年含め詳しいことは残されていません。ナポリの伝統的なダンスなどの様式を使った5つの無伴奏作品は1700年初めに書かれました。
 スプリアーニ(シプリアーニ)Francesco Paolo Suprianiは1678年、プッリャ州(イタリア南部の「かかと」に当たる部分)コンヴェルサーノ生まれ。バルセロナの王室礼拝堂で仕えた後、ナポリに戻って1753年に亡くなるまで活動しました。トッカータはチェロ演奏のための教則本と一緒に収められています。

 J.S.バッハの無伴奏チェロのための6つの組曲は、ケーテンの宮廷で仕えていた1720年頃(以前)に作曲され、無伴奏ヴァイオリン曲と一緒にまとめられました。チェロ組曲は、バロックの古典組曲の様式で書かれ、5つの舞曲と前奏曲から成っています。組曲第5番では最高弦のA線をGに一音下げるスコルダトゥーラという調弦法が用いられています。

 20世紀から現在に至るまで、無伴奏チェロのための作品が数多く書かれています。
 アルチュール・オネゲルArthur Honeggerは1892年スイス人の両親の元にフランスで生まれ、1955年に没した作曲家。パドゥアーナは1945年7月にパリで書かれました。ゆったりしたパヴァーヌの舞曲様式で、フランスの特徴的な和声が印象的な小さな作品。
 ジェルジュ・リゲティGyörgy Ligetiは1923年にトランシルヴァニア地方(ルーマニアとハンガリーの間で度々境界線が変更された)のユダヤ系の家系に生まれ、2006年に亡くなったハンガリーの作曲家。第2次大戦の独裁政権下、彼は強制労働として徴兵され、両親と兄弟はアウシュヴィッツに送られ、母しか戻ってきませんでした。戦後の社会主義体制下では人々の自由が制限され、1956年の
10月にソヴィエトがブダペストを侵攻、リゲティ夫妻は12月にハンガリーを離れました。ブダペストの音楽院に在学中の48年に、無伴奏チェロソナタの第1楽章「ディアーロゴ(対話)」が作曲されました。彼は憧れていたチェロ科の女性にプレゼントしましたが演奏されることなく、53年に第2楽章「カプリッチョ」の作曲後、別の女性チェリストによって初演されました。

✨1時の回 プログラム

ディエゴ・オルティス:レセルカーダ 第3番
 Diego Ortiz: Recercada Tercera
フランチェスコ・パオロ・スプリアーニ:トッカータ 第1番
 Francesco Paolo Supriani: Toccata Prima
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV 1009
 J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.3 in C major BWV 1009
〜休憩〜
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV 1011より 前奏曲
 J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.5 in C minor BWV 1011 – Prélude
アルチュール・オネゲル:パドゥアーナ
 Arthur Honegger: Paduana
ジェルジュ・リゲティ:無伴奏チェロソナタ
 György Ligeti: Sonata for Cello Solo
ロベルト・シューマン(富田牧子編曲):トロイメライ
 Robert Schumann (arr. by Makiko Tomita): Träumerei

✨3時の回 プログラム
ディエゴ・オルティス:レセルカーダ 第3番
 Diego Ortiz: Recercada Tercera
ジュリオ・ルーヴォ:ロマネッラ、タランテッラ、チャッコーナ
 Giulio Ruvo: Romanella, Tarantella, Ciaccona
フランチェスコ・パオロ・スプリアーニ:トッカータ 第1番
 Francesco Paolo Supriani: Toccata Prima
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV 1007より 前奏曲
 J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.1 in G major BWV 1007 - Prélude
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV 1009 より
 J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.3 in C major BWV 1009 〜サラバンドSarabande/ブーレI, II Bourrée I, II
〜 休憩 〜
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV 1011より 前奏曲
J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.5 in C minor BWV 1011 - Prélude
アルチュール・オネゲル:パドゥアーナ
 Arthur Honegger: Paduana
ジェルジュ・リゲティ:無伴奏チェロソナタ
 György Ligeti: Sonata for Cello Solo
ロベルト・シューマン(富田牧子編曲):トロイメライ
 Robert Schumann (arr. by Makiko Tomita): Träumerei

✨6時の回  プログラム

ディエゴ・オルティス:レセルカーダ 第3番
 Diego Ortiz: Recercada Tercera
ジュリオ・ルーヴォ:ロマネッラ、タランテッラ、チャッコーナ
 Giulio Ruvo: Romanella, Tarantella, Ciaccona
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV 1007より 前奏曲
J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.1 in G major BWV 1007 - Prélude
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV 1009 より
J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.3 in C major BWV 1009 〜前奏曲Prélude/サラバンドSarabande/ブーレI, II Bourrée I, II
〜 休憩 〜
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV 1011より 前奏曲
 J.S.Bach: Suite for Cello Solo No.5 in C minor BWV 1011 - Prélude
アルチュール・オネゲル:パドゥアーナ
 Arthur Honegger: Paduana
ジェルジュ・リゲティ:無伴奏チェロソナタ
 György Ligeti: Sonata for Cello Solo
ロベルト・シューマン(富田牧子編曲):トロイメライ
 Robert Schumann (arr. by Makiko Tomita): Träumerei

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NECO QAVREENOさんが作ってくださった、ギャラリーをイメージした秋の花束

2020年09月18日

秋のソロコンサートのご案内

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長野の新潟寄り、信濃町野尻に移り、2週間が経ちました。家のメンテナンスもしながら大量の荷物を片付け中。片づかない家の中で、旅かキャンプ生活のような日々を一ヶ月半やっていると、疲れが溜まり口内炎もできてきます。。。
コロナ禍が始まって、人前で弾く機会がなくなり、さすがに精神状態は限界になってきました。
レッスンの仕事があるのが本当に有難いし、家で楽器を弾いて音楽の世界に夢中になれるのは本当に幸せ。でも、同じ空間で人のために音楽をし、人と一緒にアンサンブルし、音でコミュニケーションし、耳に聴こえない、目に見えないものを感じながら音楽することの喜びは、どんなに素晴らしいことか!

ということで、とうとう、11月3日(火祝)に小さなコンサートを計画しました。
毎年秋にさせていただいている、練馬は江古田のギャラリー古藤さんにて、午後1時から、3時から、6時から、一回60分で3公演。
クラシックコンサートの客席数を100パーセントに戻す動きがあるようですが、私個人的にはまだ密な状況は避けたい気持ちです。ですから、今回はまだ、一公演の定員は10名以下にします。

感染症対策としては、上記定員制限のほか、マスクの着用、入場の際の検温、アルコール消毒、公演の途中(25分)で換気をいたします。当日、体調が優れない方はご無理なさらずキャンセルしてくださって結構です(キャンセル料はかかりません)。
演奏中はマスクを外しますが、曲紹介は手短にします(トークがある場合はマスクをします)。

今、コロナの流行で仕事も生活も大変、頭の中も毎日の話題もそれでいっぱいです。いつまでマスクをした生活が続くのか、制限された行動が続くのか、予測ができない・・・。
少し遠くから見てみると、人間の歴史では常に、疫病や異常気象、戦争があり、困難と隣り合わせです。戦争が起こる前、伝染病が流行り、経済危機に陥り、貧困に苦しむ人々が増え、個人の自由を我慢してでも国難を乗り切ろうという風潮が生まれ、外敵を作り、政治権力者が司法やマスメディアなどの自立を抑えていった、歴史の繰り返しに呆れ、情けない思いと、憤りと、そして今現在の状況を照らし合わせて怖くなります。
そして足元や身の回りを見ると、コロナ流行以前から潜在していた問題は変わらずあり、自然災害も立て続けに起こります。
芸術に触れるとき、その作品が誕生した時代にどんなことがあったか、作家はどのような状況にあったか、何を考えていただろうか、と想像することは楽しくもあり、目が覚めるような、ハッとする気づきもあります。
そんなことを思いながら、プログラムを構成していくつもりです。
お集まりいただいた方々の心の動きや、細やかな空気の動きを感じるのを楽しみにしております。

2020年11月3日(火祝)
午後1時/3時/6時 (開場は各回開演の15分前)
富田牧子 無伴奏チェロコンサート〜ガット(羊腸)弦を張ったバロックと現代の楽器を使って〜

【場所】ギャラリー古藤(東京都練馬区栄町9−16 西武池袋線「江古田駅」西武有楽町線「新桜台駅」大江戸線「新江古田駅」)
【プログラム】
[バロックチェロで16〜18世紀の音楽を]
J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調、
組曲第1番よりプレリュード、第5番よりプレリュード、
D.オルティス、G.ルーヴォ、スプリアーニの作品から
[モダンチェロで20世紀の音楽を]
リゲティ・ジョルジュ/無伴奏チェロソナタ(1948/53)
アルチュール・オネゲル/パドゥアーナ(1945)
他、私の編曲による小品

以上の曲を組み合わせて3回公演それぞれのプログラムを作ります。3回目はモダンチェロを使う曲が多くなる予定です。近くなったらプログラム詳細をお知らせいたします。

【料金】定員各回10名以下 要予約3公演それぞれ満席になりました。ありがとうございます!
大人2500円/高校大学生1000円/小学生500円
【予約】
MA企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(☆を@にタイプし直してください)
予約のご連絡は前日夜8時までにお願いいたします。当日はギャラリー古藤さんへお電話ください
ギャラリー古藤 ☎︎03−3948−5328
💡チラシはこちら
20201103古藤コンサート表.pdf
20201103古藤コンサート裏.pdf
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2020年04月14日

音楽学者からの時を超えた贈り物

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準備して来たリサイタルは予定通りには開催できないけれど、延期した1年後までに新たな発見があることは、小さな、いや、大きな恩恵です。
ここ数週間、私の夫の伯母である亡きチェンバリスト有賀のゆりさんの遺品を片付け中。大量の本や雑誌、文献を整理しているあいだに、私が取り組んでいるバロックから古典派の作曲家やその周辺に関する読むべき物が色々見つかりました。
そのうちの一つに、1999年11月に関西で行われた、音楽学者Kirsten Beißwengerさんの「J.S.バッハのチェロ組曲の例に見る演奏実践とアーティキュレーション」と題する講演の全文のコピーが残っていました。のゆりさんが学会の会報にこの講演会の報告文を書いた、その原稿と一緒に。

J.S.バッハのチェロ組曲は、ロマン派以降、様々なチェリストが強弱や表情記号も加えて独自のスラーをつけて楽譜を出版してきました。それはこの曲に限らず、その時代の音楽解釈で古い音楽を演奏していた習慣があったからでもあります。現代では、多くの演奏家が、音楽作品が作曲された当時の楽器や演奏スタイルで歴史的にauthenticな響きを実現しようとしています。

その理解のためには、まず、音楽学の視点が必要だということ。自筆譜以外にも確かで頼れる文献に出会うことが大切。
それをわかった上で、どのような演奏をするかは演奏者個人が考え、選ぶことになります。
このチェロ組曲はバッハの自筆譜が残っておらず、一番近い妻のアンナ・マグダレーナの筆写譜は大事な資料です。彼女の筆写は、音符に関しては確実性が高いけれど、スラーはだいぶ曖昧。
スラーが音符のどこにかかるか、と言うことは、どのようにアーティキュレート(音節に分けて明瞭に発音すること)するか、ということに直接関わってくるので、演奏上とても大切なことです。
残念ながら、アンナ・マグダレーナの写譜はバッハのオリジナル楽譜とは言えません。
例えば、組曲第1番のプレリュードの冒頭3小節は同じ音形なのに、彼女の書いたスラーは全て違います。他にもたくさんの場所で辻褄の合わない、どこにかかっているのか判明できないスラーの書き方をしています。

バイスヴェンガーさんは、バッハの自筆譜とマグダレーナの写譜が残っているヴァイオリンのための無伴奏曲を見比べ、彼女の癖を調べ、解析し、そこから得た見方でチェロ組曲のスラーを考えていくわけです。バッハの楽譜を再現することは不可能だけれども、どこまで近づくことができるかアプローチし解明していく作業をバイスヴェンガーさんは行った。
彼女の講演内容では、他の研究家の例えを出しながら、バッハのアーティキュレーションには非常に統一性があることも同時に示しています。
アンナ・マグダレーナは音符は完璧に写せたのに(そして筆跡も夫にとてもよく似ている!)どうしてスラーはこんなに不明瞭なのか?
それは、彼女は演奏技法の知識が欠如していたから。
アーティキュレーションについて、スラーをつけたり音を切ったりする技術的なことや意味について、身体で分からなければ(演奏者としての視点です。例え弦楽器を演奏できないとしても!)、スラーの書き方に大切さを見出せない、書き方が分からないのではないか、ということを明解に述べておられました。

チェリストAnner Bylsma氏の功績を疑う人はいないでしょう。彼の言ったことでずっとひっかかっていたことがありました。
ビルスマ氏は、アンナマグダレーナの楽譜を信頼の置ける楽譜として、彼女の統一を欠くスラーを忠実に再現して演奏することを目指した。18世紀には同じことを繰り返さないという習慣があったから。バッハは弾くたびに色々試し、それを楽譜に上書きした・・・。

演奏体験から「そうかもしれない」「そうだろう」と推測はできるでしょう。
アーティキュレーションはこの時代最も大切な音楽の要素だし、バッハはそんなに曖昧で統一性のない話し方をチェロ組曲で用いたのだろうか、と思っていました。感覚ではなく、裏付けが欲しいのです。
まだまだ自分の中で納得いかないことだらけだし、楽器の調整についても知りたいことが山積みだけれども、核心部分のモヤモヤが晴れました。

バイスヴェンガーさんも夫君の小林義武氏も、このバッハ研究者夫妻は、ちょうど私がガット弦とバロック弓を使い始めた時期に亡くなられました・・・。

音楽学の助けによって真正性に近づくことで、音楽作品の魅力を引き出す演奏が可能になる。毎回の演奏というのは、霊感を受けた音楽家が生み出した音楽がまた新しく生まれる時。やはり、のゆりさんは学者であったのだなあ、と思います。説得力がある演奏は、その演奏家が学者でもあることからもわかります。
理解が深まり、頭と精神と身体のバランスが取れ、全てが繋がっている演奏を追求するのには、終わりがない・・・。


2020年04月03日

【重要】リサイタルのチケットにつきまして

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このたび、4月22日(水)に予定しておりました「富田牧子チェロリサイタル」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、来年2021年4月21日(水)に延期して開催することになりました。公演を楽しみにされていたお客様には心よりお詫び申し上げます。
すでにご購入いただいたチケットにつきましては、2つの方法をご提案させていただきますので、どちらかをお選びください。

💡チケットをマネージメントのアレグロミュージック にてご予約ご購入いただいたお客様
こちらのページもご覧ください。http://www.allegromusic.co.jp/cancel_MTomita.html

@お手元のチケットはそのまま来年4月21日の公演にご利用いただけますので、
お手元にて保管のうえ、コンサート時にお持ちください。

Aチケットの払い戻しを希望されるお客様にはご返金いたします。
お手数ですが、下記の要領でチケットを普通郵便にてご返送ください。

4月30日(木)までに、チケットおよび下記の内容を同公演のマネージメント、アレグロミュージック宛にご返送くださいますようお願い申し上げます。

【ご返送の際に同封していただくもの】
◎4/22富田牧子チェロリサイタル(会場:近江楽堂)のチケット
◎ご返金先詳細 (メモ書きにて以下の内容をお知らせください。)
 (1)チケットをご購入いただいた方のお名前
 (2)お電話番号
 (3)チケット枚数
 (4)お振込先詳細:
 ・金融機関名(銀行名または郵便局)
 ・支店名
 ・口座番号(普通、当座など種類も明記してください)
 ・口座人名義(カナ表記)
【チケットご返送先】 〒102-0094 千代田区紀尾井町3-29-5002 アレグロミュージック 富田牧子チェロリサイタル 払い戻し係

💡MA企画、または本人からご購入いただいた方にはそれぞれ直接ご連絡させて頂きますが、以上と同じ方法で、チケットご返送先はMA企画または本人となります。

感染症の終息はまだまだ先が見えません。この先の社会状況によりましては、こちらからのご連絡やお振込手続きが遅れる場合がございます。その節は何卒ご容赦お願い申し上げます。





2020年04月01日

無伴奏チェロリサイタル延期のお知らせ

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My solo recital, scheduled on the 22nd of April, has been postponed until next spring because of coronavirus restrictions.
東京オペラシティ内の近江楽堂で予定していました「富田牧子チェロリサイタル”ガット弦の魅力”
無伴奏チェロ作品の変遷 その2 多様な音の世界」は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、来春に延期いたします。
チケットをすでにご購入いただいている方には、払い戻しをいたしますので、追って最新情報をお知らせいたします。

残念ですが、みなさんが安心して落ち着いた気分で音楽会を楽しめる時期が来るまで、今はじっと静かに動かないでいることが大事だと思います。
今まで準備してきたことは無駄ではありませんし、この先中身を深め、また新たな発見をして、充実した音楽を多くの方々にお聴きいただく日を待ち望みます。
それまで、どうぞみなさん、ご無事でいてください。
またお元気でコンサートにお越しいただき、お会いできるのを心から楽しみにしております。

2020年02月29日

白い馬のフィドル

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新型コロナウイルスであちこちのイベントやコンサートが中止になっていますが、名古屋の無伴奏コンサートは無事終了しました。お集まりいただいたお客様、スタジオハルさん、どうもありがとうございました。また来年、コンサートが企画できたらと願っております。

そのあと京都に行って、リサイタルのためにパブロ・エスカンデ氏に書いてもらった新曲を彼に聴いてもらいました。テンポ感、旋律の節回しや抑揚、音の発音、リズムなど、詳細にわたって具体的に明快なイメージを受け取ることができました。
作品の題名は「白い馬のフィドル」。そう、これはスーホの白い馬を想起する音楽です。
上の2弦を一音下げる(CドーGソーCドーGソ)スコルダトゥーラにすることで、独特な、自然でリラックスした共鳴が得られます。プレーンガット弦によるスコルダトゥーラは特別な響きがあり、モンゴルの馬頭琴を想像させる音色を生み出します。その響きを生かした歌の深い哀しみの部分、対比するリズミカルな躍動感のある部分、広がる草原や砂漠に風に乗って届く音やメッセージなど、作品の物語が想像できてとても面白いです。
これから4月まで弾きこんで自分の身体に入れていくつもりです。

2019年12月12日

白い馬

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4月のリサイタルのためにPablo Escande氏に作曲して貰っていた無伴奏作品が完成!
題名は『白い馬のフィドル』。
タイトルから想像できるように、草原を駆ける白い馬の思い出、哀歌、亡骸で作った楽器で奏でられる音が聴く人々に平安を与える・・・
そう、絵本「スーホの白い馬」。この話を彼は知らなかったそうです。パブロが作曲途中にアイデアを彼の連れ合いに話したところ、彼女は絵本の話をすぐに連想して、その話を教えたら、パブロはあまりにイメージがピッタリだったので驚愕!
CGcg(ド−ソ−ド−ソ)の調弦、スコルダトゥーラを使った開放弦の響きは、大自然の溶け込む素朴でしなやかな馬頭琴を思わせる。楽器が無理せず自然に鳴る。私のガット弦のチェロにピッタリ!チェロの響きのイメージを彼が明解に持っているのがわかる。
知的なユーモアと遊び心、そして温かなエネルギー、身体感覚。表現と技術が合っている。音で描く世界、その想像の翼は軽やかに時空をこえて駆け巡る、イメージが鮮やかに現れる。アルゼンチンの音の並び、アジアの空気感、そして騎馬民族のハンガリー民謡の音も聴こえ、想像力を掻き立てる。

タヴナーの死者のための哀歌に合わせて、パブロの新曲は復活の内容でもあり、イースターを迎えた後の時期に、これは偶然なのか、なるべくしてなったのか、腑に落ちるプログラムになりました。
本当に楽しみです!4月の初演、どうぞご期待ください!!!!!🎉✨✨✨✨

2019年11月18日

2月24日「無伴奏チェロコンサート”ガット弦の魅力”」名古屋

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ガット弦を張ったバロックと現代のチェロを使って、バロックから現代まで、時代様式にあった音楽のプログラムでお届けする自主企画の無伴奏チェロコンサートを、来年2月、初めて名古屋で開催いたします。

会場は地下鉄東山線池下駅下車、住宅街の中の個人宅の素晴らしい、ソロや室内楽にぴったりの音楽サロン。天井が高く十分な空間があって、音質のいい、聴きやすい響きで、お客さまと演奏者の一体感も楽しめる「スタジオハル」さんです。
ご自身でも楽器を演奏なさる音楽愛好家のオーナーさんご夫妻が、年間通してたくさんの演奏会を開催され、なかなか空いている土日祝日がないほどです。ピアノの先生でいらっしゃった母上が、音をよく聴けるよう条件のいい場所でのレッスンをしたい、という理想を叶えるためにお建てになった音楽室。母上が亡くなられた後に、音楽家に解放してくださって、多くの人に音楽を身近で楽しむ機会を与えてくださっています。素晴らしいですね!
名古屋では、何十年も前から、熱心な室内楽愛好家が手作りでコンサート企画を続けていらっしゃって、特に弦楽四重奏は世界の有名な団体が何度も呼ばれていたのは有名です。室内楽好きの土壌があるのですね。
やはり、ソロだけでなく、ピアノと弦楽器の二重奏や弦楽四重奏などの小編成室内楽では、演奏家と聴衆が近い距離で演奏される時、お互いの息遣いを感じながら対話のような親密なコミュニケーションができ、繊細な音色を味わえるのが何よりの醍醐味なんだと思います。
会場の響きはとても大事です。天井が低いと圧迫感があり、歌やグランドピアノにとっては厳しい。アットホームでありながら、空間を感じる、適度な場所はなかなか見つかりません。
スタジオハルは恵まれた会場です。名古屋の学生、音楽愛好家の皆さんはラッキーですね!

さて、そのような場所で初めてソロをさせていただくので、潔く、バッハとコダーイのプログラムをご用意しました。バロックチェロでJ.S.バッハの無伴奏組曲を、モダンチェロでハンガリーのゾルターン・コダーイの名曲、無伴奏ソナタを演奏します。
弦楽器は木で作られています。そこに現代の演奏家が一般的に使うスチール弦ではなく、何百年前もから人間が生活をともにし、音楽家たちが使ってきた動物の腸からできた弦を張って弾くことで、私にとっては、音楽がもっともっと生命力のあるものになります。時空を超えて、自然の営みの中で生きる人間の温かな血の通う交流になります。
倍音成分を多く含むガット弦による、抑揚や陰影、幅の広い豊かな表情を持つ音色を、身体全体で味わっていただけたら嬉しく思います。
楽器や弓、作品の話を交えながら進めます。学校に入る前のお子さんでも、じっと座って聴いていられるのでしたら大歓迎です。未就学児は無料です。
ぜひお誘い合わせの上、お越しいただけましたら幸いです。お待ちしております。
2月にお会いできますのを楽しみにしております!

2020年2月24日(月祝)14時開演(13:40開場)
無伴奏チェロコンサート”ガット弦の魅力” 〜バロックと現代のチェロを使って
【場所】スタジオハル(名古屋)
【プログラム】
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV 1007 & 第2番 ニ短調 BWV 1008
Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタ 作品8
【料金】前売3,000円/当日3,500円/高校生以下1,000円 定員45名 残席僅少
【ご予約】☎︎03−6317−8916 ベアータ
【ご予約・お問合せ】MA企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(恐れ入りますが☆を@にタイプし直してください)
メールによるご予約お問い合わせはコンサート前日までにお願いいたします。
【会場お問合せ】スタジオハル☎︎052-752-2650
💡会場アクセスはこちら
💡チラシはこちら.pdf

2019年08月28日

リサイタル”ガット弦の魅力”無伴奏チェロ作品の変遷 その2 多様な音の世界

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ドーム型の近江楽堂の特別な音響のなかで、ガット弦を張ったバロックと現代のチェロを用いて多様な音の世界をお届けする、東京での無伴奏リサイタル第2回のお知らせです。
リサイタルによせて。

ガット弦を張ったチェロで弾く、オーガニック(有機的)な音楽

バロックとモダンのスタイルに調整し、ガット(羊腸)弦を張った2台のチェロと、バロック、クラシカル、モダンの弓(ボウ)を使い分け、様々な時代の無伴奏作品をご紹介するリサイタルシリーズ、第2回もまた――J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲から現代の作曲家の新作(委嘱作品)まで――多彩な音楽を取り上げます。

クラシカルボウで弾く1800年前後の作品に、前回はデュポール兄弟の兄ジャン・ピエールを選びましたが、今回は弟ジャン・ルイの作品を演奏します。チェロの名手であったデュポール兄弟との出会いによりベートーヴェンは最初の2つのチェロソナタを書きました。私のライフワークの一つであるベートーヴェンのチェロとピアノのデュオ作品を探求するうえで、デュポール兄弟の存在は欠かせません。いつの時代も作曲家と演奏家が互いに影響を与え合うなかから、新しい芸術が誕生するのだと思います。

今回、新曲を委嘱したパブロ・エスカンデ氏は、アルゼンチン出身の作曲家・鍵盤楽器奏者で、オランダに学び、現在は京都を拠点に活動しています。バロック音楽に精通するエスカンデ氏は、自身の音楽をネオ・バロックと位置づけ、アルゼンチン独特のリズムや音楽語法をベースにしながらも、舞曲や対位法、修辞法、明解な対比などバロック的な要素を取り入れ、知的な遊びのような魅力的な作品を発表しています。表情豊かで柔らかな音色のガット弦のために彼がどんな作品を書いてくれるのか、とても楽しみにしています。

一般的なスチール弦に対し、天然素材であるガット弦は、倍音成分を多く含み、自然界の音のように抑揚や陰影に奥行きがあり、凹凸のある表現が可能です。近代以降、音楽はより大きな音と均一性を求めて発展しましたが、現代の私たちが必要としているのは、有機的なもの、生命あるものに触れることではないでしょうか。

ガット弦のチェロで無伴奏作品を演奏することは瞑想に通じます。身体と楽器と作品のつながりに集中していくことで、おなかの底=肚から共鳴し、より深い理解へと向かっていく。弦の羊腸、弓の馬尾毛(ばす)、そして木。生命あるものから生まれた楽器は、強引に鳴らされるのを嫌います。楽器と共に呼吸することで、音楽に新たな息吹を与え、それをみなさまと分かち合うことができたらこれ以上の喜びはありません。

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2020年4月22日(水)19時開演[18:30開場]
チェロリサイタル”ガット弦の魅力”
無伴奏チェロ作品の変遷 その2 多様な音の世界
〜バロックと現代のチェロを使って

【場所】近江楽堂(東京オペラシティ3階)

【プログラム】
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV 1008
G.M.ダッラーバコ、J.L.デュポールの作品
J.シベリウス:チェロのための主題と変奏 (1887)
J.タヴェナー:哀歌 (1990)
P.エスカンデ:委嘱作品 (世界初演)
【料金】一般前売¥4000[当日¥4500]/ 学生¥2500 好評発売中!✨学生券はアレグロミュージック またはMA企画で取り扱っております。
【チケット取扱い】 03−5353−9999 東京オペラシティチケットセンター
【ご予約・お問合せ】03−5216−7131 ︎アレグロミュージック(平日10:00–18:00)


💡午後3時から1時間(休憩なし)の昼公演もあります。トークつき。
小さなお子さんもご一緒にどうぞ!
15:00開演[14:45開場]
【プログラム】
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV 1008、J.シベリウス:チェロのための主題と変奏 (1887) 、P.エスカンデ:委嘱作品 (世界初演)
【料金】一般¥2000 未就学児無料 ご予約受付中!✨
【ご予約・お問合せ】☎︎03−6317−8916 ベアータ
✨小さなお子さんが大人と一緒に静かに聴くことが出来るかどうか、ご同伴の方がご判断の上、お越しください。もちろん、途中で我慢ができなくなったら、曲の間やトークの間で出入りをしていただいて構いません。他の大人のお客さま、ご理解いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

【ご予約・総合お問合せ】MA企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(恐れ入りますが☆を@にタイプし直してください)メールでのお問い合わせは前日まで

💡チラシはこちらからご覧いただけますmaki-200422recital.pdf
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Wed, 22 April 2020 at 7:00pm
Cello Solo Recital “Gut Feeling!” 2020 ~Baroque and modern cellos played with gut strings~
at Oumi Gakudo
, Tokyo Opera City, 3F
[program]
J.S.Bach (1685-1750): Suite for Solo Cello No.2 in D minor BWV 1008
Pieces by G.M.Dall’Abaco (1710-1805), J.L.Duport (1749-1819)
Jean Sibelius (1865-1957): Theme and variations for solo cello (1887)
John Tavener (1944-2013): Thrinos (1990)
Pablo Escande (1971- ): Commissioned piece (world premiere)
[Ticket] Advance ¥4000 / Doors ¥4500 / Student ¥2500
Click here for the flyer maki-200422recital.pdf
Matinée Concert at 3:00
Babies, children and adults of all ages welcome!
[Fees] ¥2000 under age 6: free
[Info & Reservation] MA-kikaku 📩kikaku_ma@yahoo.co.jp

2019年08月13日

小さなことの価値

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野尻湖畔のイタリアンレストラン舟小屋さんでのコンサート、定員いっぱいの素敵なお客様に恵まれて無事終了しました。夏のイベントが重なってしまい、数日前までディナーの予約も埋まらず心配でしたが、おかげさまでお店の常連さんの予約もあり、コンサートのみのお客様も増えて安心しました。お店は熱気でいっぱいでしたが、夜は涼しい風が入りました(演奏者は汗だくでしたが)。
エアコン無しでの自然環境の中、ガット弦や絃楽器にとって湿度は厳しいですが、お客様にはありのままを見ていただくことができる貴重な体験だと思います。
年月を経て固く引き締まり、職人の手入れが行き届いた楽器は、多少の気温差や湿度変化にはへこたれません。もともと動物の腸は強い消化液にも強く、ストレスにも耐えてきたガットの弦も、自然環境にちゃんと反応してくれます。
演奏技術はそれに対応する形で必要です。いつもと同じでない、という状況に反応し、その場に合った音楽をする、という技術です。指板や弦の滑りが悪いときに、いつもと同じタイミングで指の移動を急ぐのではなく、それなりの時間をかけて丁寧に音程をとる。弦が引っかからないように、弓の毛との当たりに集中し、丁寧に発音する・・・。音の出し方はその場に合わせて自然と変わります。
演奏者は環境と楽器に合わせて、その場の人々のために音楽をすることで、生きた音楽になり、心の交流ができるのだと思います。
有機的です!

夏休みの混雑時、お盆休み前の忙しい時期にコンサートの場を与えてくださった舟小屋さん、ありがとうございました。
長崎の原爆の日に、音楽を通して祈りをともにしてくださったみなさま。小さな集いに、心と魂で音楽を受け止めてくださるお客様に感謝です。

翌々日の信濃村教会の礼拝では、J.メンセンディーク先生の希望のある前向きなお話で、心が温まり満たされました。先生は、アメリカからの宣教師の息子として2歳の頃から東北で生活し、仙台の教会にいらしたとのこと。マイノリティである日本のキリスト教の教会に携わる中で、「小さなことが大事であり、価値がある」ことに改めて気づかされたとおっしゃいます。東日本大震災では被災者のための活動に追われて、ついにバーンアウトしてしまった。礼拝に参加しても讃美歌も歌えず、話もできず、何も感じられなくなってしまった時、周りの人々が自分の代わりに歌ってくれ、祈ってくれた。そのことで力を与えられたそう。
弱ってしまってもありのままでいい、ということ。
自然natureと人が元気をくれるのでしょう。そして信仰が。
マタイによる福音書のあちこちから、小さなことに価値がある、真実がある例えを挙げてくださいました。
「二人または三人がわたしの名によって集まるところには、わたしもその中にいるのである」マタイ18-20
良い真珠を探すこと、そして価値ある真珠は必ずあるということ。

また、インドのヴァンダナ・シヴァ氏の言葉から:
「独裁制と全体主義の支配するこの時代にあっては、小規模な対応が必要となってきているのです。なぜなら、大きな規模を持つ仕組みや手続きは、いま主流となっている権力に支配されているからです。生命中心の文化、生命中心の民主主義を建て直すにあたっては、小さきものこそ力を得るのです。・・・小さきものは、解き放たれた民衆のエネルギーにかんするかぎり、大きいのです。」(ヴァンダナ・シヴァ著 山本規雄訳「アース・デモクラシー」明石書店 より)

私のコンサートはいつも規模は小さいですが、魂で交流する人がいらしてくださって、音楽の本質を演奏者と一緒に心の奥深いところで、お腹の深いところ(丹田)で、味わってくださるのを感じます。
興行的にはギリギリですし、売れる演奏家にはなれませんが、私は生きた音楽の伝道者であり、芸術家でありたいと思います。

2019年08月01日

災害救援 NGO「ヒューマンシールド神戸」活動支援のためのチャリティーコンサート2019

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信濃町在住の吉村誠司さん(災害救援NGO《ヒューマンシールド神戸》代表)は、阪神淡路大震災から本格的 に被災地支援を始め、東日本大震災や熊本地震ほか国内外の現場で活動を続けてきました。
この一年だけでも、大阪府北部地震、西日本豪雨、北海道胆振地震、山形県沖地震など、 大きな災害が続いています。当日は吉村さん自身から各地の状況や今後の活動についてお話を伺う予定です。
災害救援のエキスパー トとして活躍される吉村さんをサポートするチャリティコンサート、信濃村教会をお借りしての開催は、一昨年に続き2回目となります。昨年は東京の富ヶ谷にあるベテル教会で、リードオルガンとのデュオで開催しました。今年は無伴奏チェロです。
J.S.バッハの無伴奏組曲から、 20 世紀ハンガリーのコダーイの無伴奏ソナタより第1楽章、ハンガリー民謡の編曲、フィンランドのシベリウスの無伴奏チェロ作品、カタロニア民謡「鳥の歌」を、ガット(羊腸)弦を 張ったチェロの音色でお楽しみください。
コンサートの最後に、義母木田みな子によるリードオルガンと一緒に、みなさんで讃美歌を歌いたいと思います。
みなさま、ぜひお誘い合わせの上お越しください。

【災害救援NGO ヒューマンシールド神戸(代表:吉村誠司)】 地震や洪水などの災害時に、いち早く現地に駆け付ける災害救援NGO。現在は Open Japan の一員と して東日本大震災の復興支援を継続しつつ、多くの団体・個人と連携しながら各地で相次ぐ水害や震災の 救援活動を行っている。ネパール地震やフィリピンの台風など海外での活動も多い。代表・吉村誠司氏は信濃町在住。
💡吉村誠司の地球日記
💡吉村誠司 Facebook


2019年8月25日(日)15:30開演(15:00開場)
災害救援NGOヒューマンシールド神戸活動支援のためのチャリティコンサート 2019夏
【場所】日本キリスト教団 信濃村教会(長野県上水内郡信濃町柏原369-2)JR信越本線 黒姫駅
【料金】一般2500円/小中学生500円 未就学児入場可
    ★コンサートの収益は《ヒューマンシールド神戸》の活動のために使われます
【主催・予約・問合せ】チャリティコンサート事務局 ☎︎03-6317-8916 (ベアータ)
【チケット取扱い】日本キリスト教団 信濃村教会 ☎︎026-255-2075
【協力】日本キリスト教団 信濃村教会、ヒューマンシールド神戸、ぼーしやジャム工房、萬屋酒店
💡チラシはこちらからご覧いただけます20190825信濃村教会チャリティコンサート .pdf

仙台びすた〜り2019 無伴奏チェロ ティータイムコンサート〜バロックと現代のチェロを使って

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ゆっくりと時が流れる居心地のよい古民家レストランで
表情豊かなガット(羊腸)弦の音色を!

「長町遊楽庵びすた〜り」の落ち着いた雰囲気と、代表の菊田さんの考えや想いに共鳴して、2017年、18年と連続で《羊とヤギ》でコンサートをさせていただきました。今年はソロで、バロックとモダンの楽器2台持って仙台へ行きます。
築約130年の古民家を再生したレストラン、「長町遊楽庵びすた〜り」では、障害を持った人も一緒に働き、ゆっくり時が流れています。びすた〜りとはネパール語で「ゆっくり」の意味だそう。働く人がゆっくりのペースでも確実に、丁寧に、作り上げたものには、食べ物なら身体に優しく、きっといいエネルギーがあると思います。イタリアンをメインにした料理には、障害のある人が働くびすた〜りファームで作られた野菜も使われています。震災後の大変な時期を乗り越えて、美味しい食事を提供するだけでなく、人と人がつながる場として、多くの共感を得ながら続けてこられたことが素晴らしいです。その柔らかな雰囲気がとても居心地よく、一年経つとやはり懐かしく、今年は《羊とヤギ》で計画はできなかったけれど、「そうだ、ソロで行こう」と公演を企画しました。
ガット(羊腸)弦を張ったバロックと現代の楽器を用いて、17、18 世紀のバッソオスティナートによる変奏曲、 J.S.バッハの無伴奏組曲、19 世紀フィンランドのシベリウス、20 世紀ハンガリーのコダーイを演奏します。
 休憩時間にケーキセットをお出しします。ゆっくりお茶を飲みながら、チェロ一本で奏でる世界を味わっていただけたら嬉しいです。
ぜひ、お越しください。「びすた〜り」でお会いできるのを心待ちにしております!

2019年10月13日(日)3:30開演(3:00開場)
【場所】長町遊楽庵びすた〜り(仙台市太白区長町3-7-1)
【プログラム】G.B.ヴィターリ、グリーンスリーヴス変奏曲、J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第2番ニ短調、J.シベリウス:主題と変奏、Z.コダーイの無伴奏チェロソナタより第2楽章
【料金】 ケーキセット付き 大人(高校生以上) 3500円/中学生以下1500円
【ご予約】要予約 びすた~り☎︎ 022-352-7651
【ご予約・問合せ】MA 企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp(☆を@にタイプし直してください)メールによるお問い合わせは2日前までにお願い申し上げます。
チラシはこちらからご覧いただけます20191013soloびすた〜り.pdf

✨富田牧子 (チェロ奏者) Makiko Tomita, Cellist
 東京芸術大学在学中にリサイタルを行い、演奏活動を始める。イタリア、フランス、ドイツ、オーストリアの音楽祭や講習会に参加、ニューヨークでH.シャピロ氏の指導を仰ぐなど、ソロと室内楽(弦楽四重奏、ベートーヴェンやロマン派のソナタを主とするピアノとの二重奏)の研鑽を積む。大学院修士課程修了後ハンガリー・ブダペストに留学、バルトーク弦楽四重奏団チェロ奏者L.メズー氏に師事。
 NHK-FM「名曲リサイタル」、ORF(オーストリア放送)の公開録音に出演。弦楽四重奏団のメンバーとしての活動(古典派のハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シェーンベルクやウェーベルンなど20世紀初頭の新ウィーン楽派をレパートリーとする)を行う。
 ピリオド(各時代や様式に合った)奏法への関心を深め、バロックと現代の楽器にガット(羊腸)弦を張り、様式の異なる弓を使い分け、17世紀から現代までの無伴奏チェロ作品を集めたソロリサイタルを継続中。様々な楽器との組み合わせによる「充実した内容の音楽を間近で味わうコンサート」の企画を続け、室内楽の楽しさを広める活動をライフワークとしている。パーカッションのコスマス・カピッツァ氏とのデュオ《羊とヤギ》で、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンなど中世の音楽や民俗音楽を土台に即興を織り交ぜながら独自の世界を展開している。2017年CD「O Terra(大地よ)」をリリース。身体と演奏の繋がりを探るワークショップも行っている。http://tomitamakiko.seesaa.net

💡別サイト「古民家びと」で代表の菊田さんへのインタビュー記事「古民家オーナーインタビュー」を見つけました。
http://cominka.jp/sp_future_bistari_1/ (前半)
http://cominka.jp/sp_future_bistari_2/ (後半)

2019年07月22日

夏の夜の湖畔の舟小屋コンサート

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8月は信濃町で2つコンサートをします。
まず、野尻湖畔のイタリアンレストラン「舟小屋」さんの、美味しいディナー後のコンサートです。
湖のすぐ脇にあるレストラン。昼間はテラスで、水と緑、光と風を感じ、弁天島を眺めながらいただく・・・その食事は!元気な野菜、色鮮やかな新鮮な食材を使った、口にも目にも楽しい、カラダが喜ぶイタリアンです!私はまだランチしかいただいたことがないのですが、さらにコース料理ですから、ああ、きっときっと素晴らしいんだろうな!!!
北イタリアで修行されたシェフのコース料理を堪能したあとに、お腹の中に落ち着いていくのを味わいつつ、ゆったりと音楽をお楽しみいただけたら幸いです。
ガット(羊腸)弦を張ったバロックと現代のチェロ2台を使って、J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲、19、20世紀の音楽を演奏します。この日は長崎の原爆忌。カタロニア民謡の「鳥の歌」で、鎮魂と平和の祈りを願います。1時間のプログラムです。
羊の腸による音が、お腹によ〜く響きそうですね!
ディナーは夕方5時から。ゆっくり日が暮れていくのとともに。
そして、6時半からセッティングを変えてコンサートの準備して、開演は7時からです。
コンサートからお聴きいただくことも可能です。その方はワンドリンク付き(2杯目のワインやお茶をご希望でしたら別途ご注文ください)。
子育て真っ最中!輝くお日さまのようなチャーミングで元気なお連れ合いがサポートしてくださって、この素敵なオーナーファミリーとご一緒に開催するのが嬉しいです。
お近くのみなさま、黒姫、野尻やその周辺に滞在の方、まだ夏の予定は決まっていらっしゃらない方々、ぜひお越しください。

2019年8月9日(金)19:00開演
イタリアンレストランFunagoya −舟小屋− 無伴奏チェロ コンサート

【場所】Funagoya −舟小屋− (長野県上水内郡信濃町野尻258−4)
★ディナースタート 17:00
コース料理付き[限定15名様/要予約] 6900円(税込)
★コンサートスタート 19:00[開場 18:45]
食事なし1ドリンク付き (席が埋まり次第閉め切らせて頂きます) 予約2500円/当日3000円/学生1500円
【プログラム】J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番、シベリウス:主題と変奏、コダーイ:無伴奏チェロソナタより、カタロニア民謡「鳥の歌」
【ご予約】 ディナー要予約8月7日(水)まで 舟小屋 tel 026-258-2462

2019年06月14日

茶房ライヴシリーズ その3 SOLO CELLO!

《築140年の蔵と227歳のチェロ》
蔵シック館『茶房』の床や梁に使われている木材は、長い年月を経て硬く締まり、チェロを弾いてみると、想像以上に低音がよく鳴り、高音も柔らかく、気持ちのいい響きです。
築140年の蔵と227歳のチェロが織り成す特別なハーモニーを皆様にも味わっていただきたく、コンサートを企画しています。
第 3 回は 16 世紀から現代までの無伴奏作品を演奏します。プログラムは、ディエゴ・オルティスのレセルカーダ(パッサメッツォ アンティグオ)、有名なグリーンスリーヴス、マラン・マレのシャコンヌとスペインのフォリアなど16世紀から18世紀のバッソオスティナート(固執低音)による変奏曲。バッハの無伴奏からフーガのある5番のプレリュード。20世紀のブリテンの無伴奏から歌とフーガの楽章、そしてコダーイの無伴奏から2楽章です。
変奏曲と対位法(フーガ)。チェロ一本で多声の音楽。どうぞお楽しみに!
みなさまのお越しをお待ちしております。

2019年7月15日(月祝)15:30(15:00開場)
茶房ライヴシリーズ その3 SOLO CELLO!「無伴奏チェロ〜ガット弦の音色」
【場所】中町・蔵シック館 茶房(長野県松本市中央2-9-15)
【曲目】パッサメッツォ、グリーンスリーヴス変奏曲、M.マレ:スペインのフォリア、J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第5番よりプレリュード、B.ブリテン:無伴奏チェロ組曲第1番より 第1のカント(歌)とフーガ、Z.コダーイ:無伴奏チェロソナタより第2楽章
【料金】要予約
一般3500円/高校生以下1500円
1ドリンク付き 未就学児の膝上鑑賞無料
【予約・問合せ】
070-4314-3735(えびはら)
MA 企画 kikaku_ma☆yahoo.co.jp (☆を@にタイプし直してください) [前日まで]

チラシはこちらからご覧いただけます。20190615茶房ライヴ3.pdf
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